2025年9月9日 14:50

いまさら聞けない建築講座「建築士が沈下修正工事を相談される前に聞く話」レポートです!

9月6日(土曜)新潟県建築士会 新潟支部による「今さら聞けない建築講座」シリーズの一環として住学との共催で「建築士が沈下修正工事を相談される前に聞く話」とタイトルの座談会が開催されました。自分はゲスト参加です。

この座談会は、能登半島地震から1年8か月を過ぎて、新潟の建築士で工務店業務もされている(株)山川建築事務所の山川さん(土台揚げ工法2棟、耐圧板工法2棟)、にいつ住宅研究所の大平さん(土台揚げ工法2棟、うち1棟は一部下げ。アンダーピニング工法1棟)をご担当,、監理をされたお2人の想定外や沈下修正業者との意識のずれ。を今後のために伝えておこう。と企画されました。

まず単純にファシリテーターを務めてくださった新潟県建築士会新潟市支部長、ネイティブディメンションズ一級建築士事務所 鈴木淳さんの仕切りが素晴らしい!
冒頭の「自分の体験ですが、早い段階であるお施主さんからの相談で、沈下修正工事の見積書を視て欲しい。ということがあったんですが。見ると肝心な沈下修正工事の金額は全体の3割程度なんですが、それ以外の外壁や内装のいわゆるお化粧直しの部分が分けられることなく混然と掲載されていました。これを親切と考えるのか?悪意がある。と解釈するのか?難しいんですけど、相談にのれる建築士がどれだけ知識を持っているのか?問われると予感しました」と来るべき混乱の始まりをお話くださいました。

続く山川さんからは、工法の選択について、2000年以降のホールダウン金物や、ピン構法で施工された建物の場合は金物の再緊結がたいへん難しいので、基礎ごと揚げる「耐圧板工法」を選ぶことを考えがちだが、地域によっては水位が高く掘削していると水が沸いてきて工事が出来なくなる。および木部に湿気が入る可能性もあるため単純には決められない。と深い話。


大平さんも基礎ごと揚げるアンダーピニング工法で水が沸いてきて、水を抜くための検討をするために工事が2か月止まったこと。工期1か月と説明していたものが4か月を越える期間となったこと。

基礎形状が一般的な逆T字型でなく逆U字型だったことを事前調査で読み込めていなかった為に掘削して搬出する土の量が通常の2倍を越えたことなどの想定外が次々と起こりました。という話には会場中が静まり返っていました。
それでも何とか最期には井戸屋さんに来てもらって5か所に排水ポンプを設置して水を抜くのですが、それでも30分ほどで水が溜まるのでまた抜けるまで外で待機してて、仕事していないように見られるのが辛かった。そうです。


トドメは見積書には掘削したトンネルの埋め戻し、充填工事費用が含まれていなかったことを認識していなくて、施工中に充填工事をしてくれる業者を探す+お施主さんに追加費用の相談をしなくてはならなかった。という、たいへんなご苦労の吐露がありました。

今回は「建築士のための建築士によるセミナー」だと思いますので実務者の自分は登壇をすべきでない。と一旦はお断りしたのですが、鈴木支部長から「他の被災地との違いを話して欲しい」と言っていただいて出させていただきました。

新潟県での沈下修正工事全般に云えるのは、基礎ごと揚げる工法では充填工事、土台揚げではアンカーボルトの再緊結と基礎修復を他社任せにする業者がまあまあいて、「据え付けて固定するところまでやらないとあまりにも無責任。責任の所在が明確でない」とお伝えしました。

会場を後にする山川さんと大平さんが「もっと伝えたいことあったけど、時間が足りなかった」と言われてましたが、そう思うだけ新潟の一部ではありますが、建築士さんが沈下修正工事に関して学ばれたのだと思いました。

懇親会で事務局を務めてくださった神田さんが他の方に「読んだ方が良いよ。建築士としての責任を考え直せる」とお薦めしてくださっている光景が嬉しかったです。いつか2024~2025年に、当時、「曳家岡本」という昭和南海大地震の住宅復興のために興隆した技術者の末裔が新潟で少しだけ活躍してたよなーと若い建築士さんたちが話してくださると嬉しいです。

年末からは能登半島での工事が中心となります。
神智学だったかな?の本に「奉仕するために学びます」という言葉があったんですけど、職業ですからボランティアは出来ませんが誠意をもって学び、それを社会に還元して気持ち良く死んでゆきたいと思います。

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。