2026年4月17日 6:26

高知県宿毛市の土台揚げ沈下修正工事 完工 :技術的な解説書いてます。

これから引退までのブログは、曳家職人もしくは土台揚げ沈下修正工事をしてみようと考える大工さんたちに向けてなるべく技術を伝えてゆきたい。と意識して書いてゆきます。
最近は堅田さんの子方である宏くんにも越権行為ですが、曳家の細工を指導することもあります。

高知県宿毛市での土台揚げ沈下修正工事終わりました。


水平が直りましたら、土台下端にレーザーポインターを当てて確認を建築士さん、お施主さんのいずれかにしていただきます。

これは20年以上前のお家の床貼りの精度はそれほど高くなくて、意外と20mmくらいまでの高低差があったりするものです。
建具屋さんならご存じかと思いますが、それゆえ昔は現地合わせが当り前でした。
ですが、多くのお施主さんは新築時の床貼りや建具の品質を完璧とイメージしています。
それゆえ、この機会に直しておかないと2度といじれないにも関わらず、建具の開閉を優先して構造を蔑ろにしようとします。
で、床下で土台の水平精度を確認していただいたうえで構造を正すのか?建具や床を優先するのか?を選んでもらうようしています。

建具調整と云えば、玄関扉が引き戸の場合は施工中の鍵がかかるように調整も、沈下修正工事業者が行います。
これが案外、手間のかかる作業です。
長期、傾いたまま置かれていたお家はお施主さんの記憶にもないまま車輪の調整がされていたり、フレームが歪んでいたりしてなかなかラッチが当たらず鍵をかけることが出来なくなったりします。
今回は最期の調整に3時間ほどかかってしまいました。

悔しいこともありました。
玄関部分は土台が回っていない(つながっていない)ゆえにアンカーボルトを切断すると形状が崩れることがあります
(土台が動いて元の基礎梁から何㎝か?ずれてしまう)

こういう時は曳家職人は「かやし」(もしくは突き掛け)をしてジャッキをわざと倒れるようセットしてその倒れる動きで位置を修正します。
きれいに元の位置に戻せましたが、出来れば散歩しないよう上手くジャッキを細工したいと思いました。

もう一つ、悔しいこと。
沈下修正工事の契約書には、人間の手術と同様で、「ベストを尽くしますがやむを得ず傷みが出た場合はその責任は負わない」と書いてはいるのですが、今回は弊社の読みが上手く嵌らず在来浴室のタイルにクラックが入ってしまった分についてはこちらで費用を負担して左官さんの補修費を出させてもらうことにしました。

これは浴室部分はほぼ傾斜がないので費用対効果を考えて触れずに置いておこう。但し、隣接するトイレは傾斜の症状があるのでそこだけは僅かに揚げようと説明したうえで施工させていただいていたのですが、土台が非常にコンディションの良い4寸角の檜だったせいなのか?どうやら引っ張られて僅かに浴室まで揚がってしまい、その影響が出てしまいました。
少しでも水平を目指したいという職人の性ゆえのダメージです。
これが3寸5分の杉や集成材なら「なやし」があるのでクラックは入らなかったと思います。



確認が終わりましたら、アンカーボルトの再緊結です。
今回は「伸ばしナット」を使わず溶接という選択となりました。
お施主さんの奥さまもご心配されてましたが、溶接は火災のリスクがあります。
土台下に降りたアンカーボルトを溶接しているうちにボルトを通じて熱が土台上のホコリに伝わり発火するわけです。
曳家岡本では、溶接が終わるとすぐさま水をかけて冷ましながら、また時間を置いて宏くんが戻り水をかけて、夕方には早めに作業を終わらせて他のことをしながら煙が出ていないか?を見ています。


溶接はアンカーボルトの両側にD13を抱かせて、被りを30mmづつ付けています。
揚がり幅で使用する鉄筋の長さが異なりますので、各位置に養生テープで必要な長さを書いてマーキングしておきます。
これを面倒がって適当に事前に切っておいておいて溶接してゆく方もいますが、それでは被りが少なくなったり、逆に鉄筋に合わせて余分に斫りをしてしまったりで良いものにはなりません。
堅田職長が神経質になる作業です。



床下での基礎補修は室内側でさえも根気のいるきつい作業なのですが、廊下側は90cm幅の中に入ってゆき身体の動かしつらいものです。

こうした配管があるだけでも手間は変わります。




宿毛市撤退最終日はXでお教えいただいた田ノ浦漁港のすぐ前にオープンした「海のはた」さん。
尼崎から移転されてきたそうです。「高知ぽい」味ではなく、やや近いもので云うと和歌山ラーメンかな?

 

自分は、基礎修復の頭だけ参加させておいてもらって、その後は自分のみ高知県土佐町の倉庫へ戻りました。
石川県珠洲市の現場の予定が入りましたので、急遽、珠洲市行きと千葉県いすみ市行きの荷物の仕分けをしています。
溜まっていた鉄屑はリサイクル工場に持ち込みました。

その後、高知県でたいへんお世話になっています(株)新改エンジニアリングの城山会長のところに顔出させていただい来ました。
重量物の移設の際に使っているというベアリング入りのソロバンを見せてもらいながら「これは小規模な建物の時に使えないかな?」と考えたりしました。


来年2月末に終わる現場を持って「曳家岡本」の実作業からは引退しますが、残り2~3棟は受注させていたきたい空スケジュールあります。
そして自分が「曳家岡本」卒業しましたら、翌日からは堅田さん親方の「曳家堅田」が始まりますので土佐派の曳家のタッチでのお仕事の依頼はこれからもどうぞよろしくなんですけど。
そんなわけでお気軽にお問い合わせください。
hikiyaokamoto@gmail.com
090-5143-0607

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。