2017年12月18日 21:27

曳家のテレビ出演について思うこと

今日は、横浜の現場の曳家の最期の一方向の作業日でした。

やはり、新しい基礎の上に乗り込むと、しびれるほどきれいにスムース動いてくれます。

この様子を撮影するために、今日はテレビ局のスタッフも10人前後入ってくれてなかなか大所帯の瞬間でした。

今回はタレントさんがゲストで参加されていて、作業の合間にインタビューを受ける。と云う初めての体験でした(笑)

テレビ的には、一般視聴者の方に短い時間で判り易く伝えるための質問なのですが、「曳家の相場って幾らくらいなんですか?」と云う問いには、

「ファミリーレストランのパスタと、専門店のパスタでは価格も違いますから、どういう施工品質のものを提供するかで価格は変わります」とお答えさせてもらいました。

今までの曳家職人のテレビ出演は、見てて派手な部分だけを、まるでショーのように採り上げているものが多かったです。

そしてメディア出演に不慣れな職人はついついテレビスタッフの要望に添う発言をしていたように思えます。

自分は21世紀の曳家職人でありたいと思っています。

家が動くショーで無く、相判で一緒に頑張ってくださっている大工棟梁の細工や、それを承けて、かなり面倒な据え付けの手間など説明させていただきました。

世の中の多くの人は、「あの大工さんは、日当15000円で来てくれる良心的な人だ」とか「うちは職人に安く協力してもらってますから、この値段で出来ますよ」とか言います。               ですが・・本当は1日30000円であったとしても、15000円の大工よりも3倍の仕事をこなせる棟梁たちを自分は知っています。

建築はショーではありません。

「土佐派の曳家を残したいですが、それはお施主さんたちに選択の余地を拡げるために必要だと思うからです」

土佐派の曳家が最高ではありません。                                    土佐派は重量物に弱いです。他にも向いていない建築物も多々あります。                 真摯に自分たちに合った現場を担当させていただけて、頑張ってゆきたいと思います。

 

ps

今日は現場の近くに住むSMASHの石飛さんご夫婦が顔を出してくれました。              石飛さんとは同い年なんですが、20代の頃にROCKを通じて素晴らしい時間を共有させていただきました。

SMASHと云えば巨大野外ミュージックフェス「FUJI ROCK」の運営会社として、有名です。石飛さんは、もう少しマニア向けの「朝霧JAM」のプロデューサーも、されています。

自分が上京して、上手くゆかなくなっていた頃、悩みを聞いてもらっていただけに、今日の姿を見て石飛さんに「親方良かったよね」と言ってもらえて嬉しかったです。

石飛さんありがとうございました!!

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。