新潟撤退前ラストスパートです!

千葉県松戸市で築40年になる、2×4住宅の土台揚げ工法での沈下修正工事をさせていただいています。
土地が団地の角地にあってちょうど擁壁で作られた、島になっていましたので「これは薬液注入工法で施工された方が良いですよ」と一旦、ご依頼から外れました。
しかし数日後に「薬液注入工事業者さんに視てもらったら敷地内にピットがあるので(そこから薬剤が漏れ出てしまう)施工不可能と言われたので改めて土台揚げ工法での沈下修正工事を見積もりください」とグリーンアップフォームの島田さんからお電話!

※島田さんは流通大手の住宅部門に35年勤めてから独立された方です。真面目なだけでなく知識や人脈も凄いです。


土台揚げ工法だと、床下に潜れないといけませんが、基礎梁が26cmしか無くて匍匐前進出来ないので床を解体して頂きました。
普段は床もそのまま引っ越しせずに工事させていただいてますので申し訳ない気持ちです。床下の深さは重要です。

今回は浦安市や新潟市西区のような液状化現象による沈下では無くて、不同沈下です。
全体的には、道路側に向かって下がっているのですが、ほほ中央の玄関部分が特に下がっています。
毎回書きますが、下がっているとそこに向かってより荷重が集まりますから、玄関部分が極端に重いです。


年式的にまだホールダウン金物は使われていないのですが、その分、アンカーボルトが多いです。
特に玄関部分の2階のトイレの配管ボックス周辺は作業環境も悪く、ここだけで2日間かかりました!

2×4ですので下枠がありますので、今回はいつもの「伸ばしナット」使えませんゆえ、アンカーボルトは全て斫りだして途中で切断となります。
この下処理にも時間がかかっています。


堅田さん、宏くんにジャッキアップの最終準備をしてもらっている間に、千葉県花見川区にある輸入木材店の処分品市にハードウッドを仕入れに行きました!
使い勝手の良いオーストラリア檜(サイプレス)は無論ですが、今回で輸入終了となる「ジャラナデッキ」も使ってみたいので買いました!
4月からの新潟で使う分も大人買いです(笑)

事前に買いたい材木は決めて行ってましたので購入はすぐに済んだんですが・・・自分の目には光輝く大きな角材が誰にも注目されず鎮座されています。
担当さんに「これは何ですか?」と「ウリンです」と。ええええええ!こんな大きなウリンなかなか見ることありません!
続けて担当さんが「これはどこかのお寺の改修の際に輸入したものの残りなんですけど、もう自分が入社した時からここにあるんですよ。買ってくださるならお安くしますよ」
そうなんだよ!!こういうのは切り分けて小さくすれば買い手は付くだろうけど、こういうものはそういう使い方をしては罰が当たります。
市場の方も買う方も、この材を活かした使い方をしなければ買ってないけません!!
来年には引退する自分が買うと使う場面が無いまま倉庫で眠るかもです。
悩むなー。
現場に帰って堅田さんに買ってきた材を見せながらニヤニヤしつつ、このウリンのことを話ししたんですが「買いましょう!」。
あああ~~曳家岡本の馬鹿スピリッツは永遠です(笑)


江東区の自宅から現場までは僅か21kmなんですけど・・・流石は大都会!!朝は5時30分に出て55分。帰りは70分かかります。
都会は通勤がきついですよね。暴走車もいるし・・・
ps
クラフトバンクの高木さんが建設業界のガイド本「建設ビジネス」を出版されました!
曳家岡本も取材していただいてます。
建設ビジネス | 髙木健次 |本 | 通販 | Amazon
ps2
キャンセルがあったんで、年末に予定してました高知県高知市のアパートの沈下修正工事に2月半ばより入ります。
四国近隣の皆さま、千葉から高知までの移動中に現地調査して行って欲しいというご連絡お待ちいたします!!
今すぐだと4月に入ることも可能です。
hikiyaokamoto@gmail.com

高知県高岡郡佐川町にある旧・青山文庫の修復工事

まずは礎盤を取り換えるための鋼材を組みます。

台座が出来ましたら、その鋼材を反力として、添え柱を取り付けます。


大工さんにも手伝って頂きます。
作業員6名、監督者2名です。



建築士さんからは、柱を持ち揚げるためにボルト穴を開けても良い。という指示書を頂いてましたが、
ボルト穴を開けずに持ち揚げることが出来たならそれに越したことない。

 

ですから、丸柱であることが懸念事項ではありましたが、一旦は摩擦力のみで揚げる。にチャレンジしてみました。
通常は摩擦力で2トンくらいまでは対応出来るのですが、今回は丸柱ですので、どこまで持ってくれるのか?心配でした。


摩擦力のみで、上手く持ち揚がりました!
前回の移築時の根継ぎ部分に隙間が出来ていることでも判ります!!
ちなみに本体部分を嵩揚げするわけではありませんので、この2本のみを高く揚げることは仕口が傷みますので出来ません。
僅かに揚がったか?どうかの確認は根継ぎより上部にテープを貼っておいて、それにレーザーポインターを当てて確認しました。


移築の際の資料が充分で無かったり、根継ぎを2本とも同じ高さでしていたり。と意匠系の建築士さんが監修したのだろう。と話しながら、工事を進めます。
持ち揚がっていることを確認してから、礎盤を取り外します・・・・



礎盤を取り外そうとしたら・・・芯材を置いて、その周りを貼り合わせした細工でした!!
急遽、施工計画を変更するか?建築士さんと施設の管理者との話し合いとなりました!!

国道33号線愛媛県と高知県の県境も近く寒いです。

方向性も決まり、大工さんの作業も再開です。
ちなみに今回は礎盤に使う45cmの檜の根っこを探すところから始まりました。
嶺北の銘木店に長く待機させられていた材が陽の目浴びて喜んでくれてます

礎盤の下には新たに鉛を敷いて据え付けです!!

H鋼の解体は都合で堅田さんと、2人でやりました。
時おりですが、都合で2人きりで作業することもあるんですが、これはこれで良いもんです。

自分たちが撤退した後には塗装工事が始まります。


「司牡丹」さんの平成蔵からあがる蒸気を見ながら佐川町から撤退です。

1月13日(月)は高知県内の議員さんの勉強会にゲストとしてお招きいただきまして、南海トラフ地震に備えての自分の思うことをお話させていただきました。たいへん熱心に聞いてくださり、終わってからもたくさんの質問をいただけました。
段取りしてくださいました、高木妙先生ありがとうございました。

翌日14日(火)は高知県建築士会の1月定例会へのゲストでした。
こちらは、ちょうど今、新潟での体験談を執筆中でしたので、そこで調べ直したことを含めて、地震のあとの建築士としての立ち位置や実際の施工相場価格、地盤と上部構造の一体修復についてお話させていただきました。

※会場は2日間とも、ちよりまちテラス。きれいです><

昨年、出版した「構造から直す本気の住宅再生」(創樹社)は類書が存在しない傑作だと思っているんですが、なかなか売れなくてこりゃセミナーやりながら手売りしないとどうしようもなかじゃのー。
と思うちょりますけん・・全国からのセミナーのご依頼をお待ちしております。
本当によろしくお願いいたします。
hikiyaokamoto@gmail.com

新年一発目の現場は、高知県高岡郡佐川町にある旧 青山文庫の修復工事です。


鹿鳴館時代の面影を残した、高知県最古の木造洋館。
須崎警察署の佐川分署としてもともと上町西方の山側にあった。青山文庫、佐川文庫、民具館と用途を変えながらも町民に愛されている。平成21(2009)年に現在の場所に移築されたバルコニーを支える柱脚の載る礎盤が傷んでおりまして、その入れ換えのために呼んでいただいてます!!


こうした工事の肝は、どう?ダボを挿入するか?です。
粗悪な工事業者はすぐに容易に施工出来る横付けの金物で上部との連結を採ります。
それが将来的な結露の原因になり部材を傷めることなど考えず、その場しのぎの工事をします。

自分は、相談の図面を拝見した時に柱の下に穴を掘ってそれを耐圧板工法の要領で下から持ち揚げることで解決させようと考えました。
参考画像(曳家岡本施工です)


しかし・・実際に大工さん(今回は堅田さんの釣り仲間で、高知県で文化財修復を手掛けられている片岡棟梁)と、元請けさんと現地調査に行くと・・どうやら礎盤の材は最低でも両側から幾つかの材で張り合わされていることが判りました。それならば、手順をやりくりすれば掘ることなく、ダボを挿入できるな。とホッとしつついよいよ現場開始です。

高知を代表する名酒「司牡丹」さんの平成蔵前で枕木を降ろすところから始まりです。

高知県建築士会の定例会に登壇させて頂きます!
建築士会会員以外もご参加できます。
しかも!!無料!!

岡山~群馬~千葉で行ったセミナーです。

■1月定例勉強会(2)
テーマ:曳家岡本口伝、構造から直す本気の住宅再生
日 時:1月14日(火)19:00~20:50
場 所:ちより街テラス3階 会議室1
講 師:有限会社曳家岡本 岡本直也氏
出席表:chouseisan.com/s?h=cef2cdf57c814175be0bd2f46fa94553
 ※ 懇親会の関係で〆切は1/10(金)迄とさせて頂きます
 既存ストック活用が叫ばれる世の中です。しかし古い建物は、傾いていたり捻れていたり沈んでいたりと一筋縄ではいきません。そんな建物を地道に丁寧に直されている曳家岡本氏を講師に迎え、勉強会を開催します。今年2月の書籍出版祝賀会に参加した方も居られると思いますが、今回は石川県の報告も加わって、もっと近い距離で技術的なことまで聞ける会となっております。どうぞご参加ください。


ps

年末年始に故郷に帰省していた家内も東京に帰ってしまってシーンと静かになった自宅ですが。
テーブルの上には家内からのメモがありました。
「パパお疲れ様。年末の四万十旅行愉しかったね。冷蔵庫の中に煮物をいくつか入れているから順番に食べてね。じゃがいもは傷み易いから今夜食べるように!」
と云うのは嘘。実態は・・・


写真は、太平洋で難破してアメリカからの捕鯨船に援けを求める岡本和美さん(涙)さよなら~~。

ps
お気軽にお問い合わせください。但し、今少し予定が埋まってますので秋以降頃となります。hikiyaokamoto@gmail.com

新年あけましておめでとうございます。

昨年2024年は、新潟の年でした。
東日本大震災のあと千葉県浦安市に4年間住みましたが一か所にこんなにも長くとどまるのはその時以来でした。
テレビで新潟のニュースを見ると既に懐かしいし、みんな雪の中で現場は大丈夫なのか?と勝手に心配するくらい心は新潟県民です(笑)
新潟では9か月間で、10棟の沈下修正工事を施工させて頂いたのですが、1棟を省き全て「住学」に参加されている建築士さんからのご依頼でした!


これは本当に嬉しいことでした。真摯な建築士グループにご評価頂けたのは、寒い日に「だいろの湯」に入る気持ち良さです。
そして「住学」の皆さんは準備や付帯工事についてお互いに申し送りして下さっていましたので打ち合わせもスムーズでした。
また新年も4月頃から新潟に戻ります。新潟のみなさまよろしくお願いいたします。
他県でも「曳家岡本さんってどこに住んでいるんですか?」と尋ねられると「新潟じゃけえ」と答えちょります。



↑休日にホームセンター巡りでは、こんな地区まで行きました。西区、西蒲だけじゃないぜよ!

さて年末、高知県に移動する途中で一旦ご依頼を頂いていたお施主さんからキャンセルのご連絡が入りました。
「友人から、わざわざ県外から職人を招聘して工事をするのは身の丈に合っていなのではないか?近隣の業者で充分だろう。と言われて考え直しました」というメールでした。
以下は当職からの返信を抄録します。

「〇〇様

お子さまのために貯蓄をしておきたいので工事を止める。というのであればそれは致し方ありません。
それを否定できる人はいないと思います。

しかし「身の丈にあった近場の人に頼む」というのであれば。
それはちょっと。おいおいと思います。
何しろ、近隣というか全国的に視ても、〇〇さんのお家を屋根を取り省くことなく、きちんと構造から直す工具や実績のある施工業者は少ない。と思います。
すると、構造的には意味の無い化粧直しのような工事をされてしまいます。
それでは沈下修正をしたい。という当初の目的から大きく外れたものになります。

ご友人のアドバイスを聞くのも良いことですが、ご友人は建築のプロではありません。
近隣の業者に依頼されて見た目きれいになったけど、抜本的な解決になってないのであればそれは安物買いの銭失いです。

前回のメールでも書きましたが、改修工事をするならば「工学的に正しいこと」をしなくてはなりません。
この後、〇〇さんのお家を現地調査に来る業者さんがいて、その方は「これぐらいだったら大丈夫ですよ。きれいに化粧直ししたらすっきりしますよ」と云うかも知れません。
それは単なる感覚で話されているわけです。
斜めに建っているものは真っ直ぐに建っているものより倒れやすい。接地圧が少なければ沈下は起こり易い。ことは構造計算しなくとも判ることです。
改修工事とは、「安心して暮らせる居住空間」を作ることが第一義であり、他は全て付随するものです。

しつこく弊社にご依頼ください。と云うつもりはありませんが。
他社様にご依頼されるにしても、どうかはじめの傾きを直したい。という本筋を忘れないでください。
コンクリートブロックの上に載っている大切な隅柱を意味なく「補強する」と云っておかしな添え柱を取り付けて結露の原因を作ったり、柱にボルト穴を開けて繊維に欠損を造るような大工に依頼されないことを願います。

〇〇さんの判断に任せますが、今後、来ていただいた業者に上の文章や訪問した際に自分が云ったことを伝えてもらえば少しは真面目に取り組んでくださるかも知れません。

心から良い工事になることをお祈り申し上げます。


みんな耳に「もも太郎」のような甘い言葉を聴きたがります。
しかし、曳家岡本はこれからもずっとV-doscのようなパンチの効いた仕事を続けてゆきます!

V-doscは、かつてHIGE-LOWSがツアーで使っていたPAシステムです。小ぶりですが驚くほどのエッジがくっきりしていて、尚且つ鬼のように低音が強いスピーカーでした。


年末は家内との出逢いを作ってくれた友人に挨拶に行って、
その後、土佐清水市で「鮮魚一八」さんで新鮮な丼と烏賊の一夜干しを頂きました。
予約を「宮村ストア」(ここの、ぶり飯も絶品)の宮村圭祐くんに予約してもらいました。
宮村くんの造っているタレは上野や新橋の「土佐清水ワールド」でも使われてますのでよろしくだよ。

本年も曳家岡本をよろしくお願いいたします。

錦糸町駅から徒歩10分の鉄骨4階建て沈下修正工事現場続きです。
top画像は、2階に上がって、取り外した室内エレベーター跡から写したものです。

少し浮き揚がりましたので、プレートと底部に隙間が出来ました。
これで空気が入りますので、鉄工所さんにプレートの中を大きくして貰って高ナットで繋ぎアンカーボルトを伸ばします。


↑H鋼の間に鉄工所さんの姿が視えます。




ボルトとの間には、先に加工して頂いていた75mm角の鋼材を芯材として挿入します。

微調整用には、2mm  ,4・5mm,6mmのライナーを準備しておいて貰いました。

目標の高さに揚げるまで、H鋼や枕木の軋み音に耳を澄ませ、肝を冷やしながらジャッキを押します。
終わった瞬間には嫌な冷汗を感じます。

順調に揚がってくれたし、揚げるの当り前なんですけど、より安全安心に余裕ある工事をどうするべきだったか?堅田さんと現場で反省会です。


レベル確認をお施主さん、建築士さんにして頂いてOKを貰いました。
経年でのプレートの癖づきがありますので完璧とは言いませんが、誤差1mm程度で収まりました!
こちらの現場では思うところがあり、施工者としてより良い施工を考えてたまたま?ご一緒させていただいた五〇建設、大〇組、前〇建設の構造設計部の皆さんにご意見いただきました。
改めて自分たち曳家の技術って凄いもんなんだな。と気づかせていただきました(笑)。

撤退です。

 

12月6日(金)仮据え付けが終わった、この夜は六本木ヒルズ 52階で行われた「大工の会」に参加させていただきました。

木村光行棟梁が「大工ってカッコいいんだ!」と仲間に思ってもらうためにセッティングされた会場で、気持ちのある40代前後の若手大工さんたちが日本各地から集結されてました。
自分も実年齢とは違って職人としてはまだまだですが。曳大工の技術を次世代に知っていただく努力はしなくてはな。

ps
お気軽にお問い合わせください。ですが・・・今、少々スケジュールが埋まってます。
待っても良いよ。という建築士さん、お施主さんからのご相談よろしくお願いいたします。
hikiyaokamoto@gmail.com

錦糸町駅から徒歩10分ほどの大都会で鉄骨4階建ての沈下修正工事やってます。

仕事を受注する前は、「やりたい!」気持ちが勝ってつい安価な金額を出してしまうものなんですが。
いざ始めると順調に進めば良いのですが、何らかの不都合が出た際にはたちまち莫大な損金が出る可能性を秘めた作業ですので、なんで、もう少しリスクに対する余裕を書いておかなかったんだろう。と滝汗になります。

今回もそんな現場な胃の痛い現場です。
地盤補強がされてない時代の鉄骨、そして錦糸町近隣の深さ50m行かないと支持層が存在しない地盤。
それゆえ古民家再生をするような工法での修復を選択されました。

こういう工事は、柱を踊らせない」ことが肝です。

柱と鋼材を締め込みます。
少し角度を変えて見てみてください。

「まな板」と呼んでいる樫の板をH鋼の腹に嵌め込んで、それで柱を固定しています。

そして、出来る限り柱に近い部分で梁を受けられるように枕木を組んでゆきます。

判りますでしょうか?
柱の傍に寄せるために掴んだ鉄板の上に枕木を置いてます。
それに高さを合わせるために左2本にはH鋼の上に樫板を置いて調整しています。

右端の囲みの部分と真ん中、左橋の囲みの下部の違いが判るでしょうか?
曳家職人なら、こういう細工は息をするように何も考えずに手が動いて当然です。
耐力勝負となると最早、シルバー人材センターから来る活きの良い老人にさえ勝てないだろう自分もこういう細工をさせれば、
堅田さん曰く「親方のイキイキ作業している姿を視れて嬉しいです」な動きは出来るわけですよ(笑)


枕木をわざと3段組んだところから、ジャッキをセットしているのは、接地面を拡く獲って反力を安定させるためです。
そして上部にもたくさんの枕木を井形に組んでゆきます。倒れ辛い柱を増やしているとイメージしてください。


高知の倉庫と、来年も新潟に伺うために、新潟で家を建てるなら、注文住宅、自然素材の木の家 山川建築事務所 に間借りさせていただいている赤塚の倉庫にジャッキを残してきているため。
千葉県の倉庫には80台ほどしか遺していませんでしたので、荷重の少ない部分は建築ジャッキさんにも担って頂きました。


※建築ジャッキは一般的なものであれば5トンまでしか耐荷重ありませんので、この建物の重い部分であれば簡単に破壊されます。

重い部分(想定だと、外側はそれぞれ15トン、中の2本はそれぞれ30トン)は安定のジャーナルジャッキです。

重い建物を揚げるためには使用中に絶対、下がらない+壊れない信頼できるジャッキを使わなくてはなりません。
自分は例え耐荷重が30トンであったとしても耐えられなくなったらパッキンから油が漏れて下がるオイルジャッキは、このような現場の場合は荷重を分散させるための「追いジャッキ」としては使いますが。
メインの部分では使いません。

いつもよりさらにキリキリと緊張しながら、ジャッキを「巻きます」。
揚がり始めました。

以下、続く。

ps
いよいよ師走となりましたが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?
自分は昨夜12/4はしばらくぶりの千葉県建築士会でセミナーでした。
休憩時間に「もっとテンション上げて!」「烈しい怒りを出して!」と指導が飛びまくりでしたが。
帰り道、家内から知り合いも多いし、地元でやってる感じのセミナーだったよね」との講評でした。
まあねー。でも千葉県では5年ぶりのセミナーだったんです。
イエサブユナイテッドの荘司さんから「相場が判らないから見積もり見た時にこんなにかかるの!と驚くけど工事が終わる頃には、この金額でここまでやってもらって良かったのか?と思ってお施主さんに追加を出してもらうよう言ってしまった」というエピソードを披露していただきました。
いやーほら少し安いかな?くらいだと下手でも赦して貰えるでしょ(苦笑)
来年こそはもっと上手くなって高額請求出来る立派な職人になります。

前回のブログの続きです!

立派な山門の右奥。


10段程度ですが、H鋼や枕木を手運びで揚げるのは地味に身体に堪えます。
今回は高知の倉庫に保管している分のH鋼なんでいつもより10kg重いし(泣)

ボルト穴を貫通させてしまえば楽ですが、ご住職が大切にされている柱に穴開けないよう挑戦です。
「掴んだ添え柱」とまあまあコンディションの良い「足固め」で揚げてみることにしました。
もちろんジャッキアップ前には、もう一度、添え柱を取り付けているナットの締め直しをします。

少し浮き揚がりました!
摩擦力のみで揚げるコツは、接触面を出来る限り拡くすることです。
そして添え柱を厚くし過ぎるとボルトが長くなり締める力が弱くなるのでここらへんが限界かもです。

↑これ穴の真正面側にも枕木を組んだので同じ角度から撮影出来ませんでした。

組み方を変更したので、短い4寸角が足らなくなったので、自分は高知の倉庫まで再びドライブ。
「あった方が良い工具は運ぶ」という考えなんで、ここはやむを得ないです。

戻ってくると、大工さんがもっとも腐食していた柱脚に合わせて切り上げてくれてます。
もちろん即、柱の下には安全性を得るために「建築ジャッキ」を挿入します。

これでジャッキアップする間に添え柱がずれたりは起こりません。



全体を60cm揚げました!
腐食部分を25cm切り上げましたので準備していた沓石だと鐘楼が低くなるので、もう1枚、礎石を準備して重ねることに変更。

大工さんに戻って来てもらって、今度はダボ穴を開けてもらいました。

次は、白蟻屋さんに防蟻処理もしていただきます。

防蟻屋さんが終わりましたら、次は待ちかねていた石屋さんの到着です。

トラック荷台の後方に視えているのが沓石です。

鐘楼の柱は四方転びとなってますので、降りてくると外に拡がります。
それゆえ、墨出しが難しいので残り10cm程度までに降ろしてきてから、もう1度 石屋さんに来ていただいて正式に据え付けです。



何度も柱の角度に合わせて沓石を動かして、そして定位置とレベルを決めます。


今回は段取りの都合でジャーナルジャッキの台数が少なかったこと。
石壇のスペースの都合から枕木を拡く組めず変則的な組み方になりました。
今の手慣れた3人のみでやるから出来ること。
かつて「お前がいないと再現性の無いものは会社の業務とは云えない」とご指導頂いたことがあるんですが。自分は、「自分たちだから出来ること」を意識してきました。
大きな会社には成れませんでしたが、自分の性格ではこれで良かったと思ってます。

接着剤とモルタルの乾燥を待つ為に、再び待機して。ようやく解体です。


いつも堅田さん、宏くんご苦労様です。本当に感謝です。


撤退作業をして貰っている間に、来年の打ち合わせ。
広島県の宮島と、静岡県藤枝市。宮島のお施主さんに「岡本さん、もっと小さい人と思ってたんですけど、案外大きいんですね。一緒にいる堅田さんが大きいからなんですね」と言われました。

ps
徳島でのセミナーは、参加者8名。
しかし少人数で聞いていただくと伝わり易く、リアルな質問も飛び交いました。
帰り道、若い建築士さんに感想を伺うと「専門用語が判らない部分もありましたが、こういう業種があるんだ。と知れたことが一番の収穫でした」とありがたい感想。
まだ暫くは水戸黄門のように警鐘活動を続けてゆかねばな。カッカッカッカー(笑)

12月4日(水曜)は千葉県建築士会でセミナー登壇させて頂きます。
snsで公開出来ない問題施工事例の画像やかなり生々しい話をしてます。ぜいぜひご参加ください。
chiba-kenchikushikai.com/newinfomation/241004course/241004course.pdf

想定外の事態が起きた時に、解決させることが出来るようなれば一人前。と云いますが、それなら曳家岡本には一人前が2人います。元旦の地震の影響で多くの曳家および沈下修正工事業者が多忙になり、派遣さんを依頼してやりくりしている中、自分たちは愚直に「ほぼ」オリジナルメンバーのみで施工を続けています。

徳島市眉山の麓はなかなかの寺町ですが、そんな中で瑞巌寺さんの鐘楼の修復に呼んで頂きました。
さだまさしさんの小説、もしくは松嶋菜々子 主演の映画「眉山」をご存じの方もいるかもです。

瑞巌寺さんの、立派な鐘楼の柱脚が傷んでいるので沓石を履き替えして頂く為の嵩揚げです。

自分は、正月開けに開始する高知県での文化財修復の打ち合わせがあって、1日遅れでの参加です。堅田さん、宏くんが先に工具を降ろしてくれて、H鋼を組んでいる途中から参加です。

久しぶりにH鋼を組んでいるんで堅田さんも「嬉しい」「愉しい」を連発しつつも「やっぱり重い!」と嬉しい悲鳴です(笑)

自分も枕木を運びながら「お金もらって筋トレさせてもらって最高だよなー」と調子にのってまあまあ働いていたら、夜中に首振り地蔵になりました(重いものを持ちすぎると肩こりになるもんです)

今回は、柱脚の細工の都合で、足固めより上部で掴んで欲しい。というリクエストですので、なかなか枕木、組んでいます。さらに、足固めも!転ばせてますのでどう荷重を逃がすか?を、堅田さんと話し合いますが。基本は堅田さんにお任せです。
相談相手くらいです。



自分は今回の現場用に新たに造った鉄板とボルトの設計と注文くらいです。

京都宇治の家起こし現場でも手伝って貰った日浦棟梁に添え柱の取り付け、加工に来て貰いました。

斜めのカットを現地合わせでして頂きます。

日浦棟梁が作業中の岡本を撮影してくれました。
足腰に来ますが、なかなか気持ちの良い疲れ具合です。


鐘楼の場合、鐘の重さで固定していますが、持ち揚げるためにはその重さを一旦、逃がさなければなりません。
本来であれば、いつものように桁を持ち揚げて荷重を分散させたいとことなんですが、腐食もあって下手に押すと割れるリスクが高い為、色々と荷重をどう受け止めるのか?相談します。

曳家岡本では、出来る限り柱など構造材に穴を開けないよう努力してます。
いや。どうしても上手く揚がらない時は、ボルトを貫通させねばなりません。
大工さんや石屋さんを危ない状態で現場に入れてはいけません。

いよいよ明日からジャッキアップです!続きをドキドキしながらお待ちください。

ps
徳島でもセミナー行います。
よろしければご参加ください。

第55回ArchiCafeのご案内です。
今回のArchiCafeは『曳家岡本さんレクチャー』
傾いた建物をどう扱うか。
今後はストック活用が主流になり、
非常に重要になってくるのではないでしょうか?
どなたでも参加可能です。
参加希望の方は11月18日までにご連絡下さい。
日時:11月 20日(水)19時より
場所: Bar Dining ARELY
   徳島市一番町3丁目9番地TSBビル5F
www.bar-dining-arely.com/
会費:3,500円(飲み放題・食事付き)

CPD 2単位

お問い合わせ先
環境デザインワークス 一級建築士事務所 | Home  清水さん

64歳になりました!
ずっと前から65歳のうちに引退する。と宣言してましたので、ここから最長2年です。
実際には夏がきついんで2026年夏前に辞めようと思っているんですけど、それは近くなってから手掛けてさせて頂いている現場の状況で前後しますが、とにかくそろそろネクストステージです(笑)

13年前に高知県を出てから色々な経験をさせて頂いたのですが、今では一般性のない曳家業で地元のみで継続しようとすると、仕事が切れることを畏れて金額面で忖度をするうちに低品質な工事を「予算が出ないから仕方ない」と受容している自分に気が付きました。

※54歳頃です。

これでは良い工事なんか出来ません。
それもあって「依頼したい」と言ってくださるなら全国どこにでも出向いておりましたが、それがきつくなってきました。

今回、新潟で9か月もの間、続けて一地域で他業者さんとも競合しつつ仕事させていただいて思ったのですが。
競わないと向上しない!そして建築士も沈下修正工事の深いところまでは知らないということです。
判らないと唯一、判る金額だけで判断します。
なので、来年、もう一度「建築士が沈下修正工事を相談されたら読む本」(仮)を出版します。
現在、苦しみながら執筆中です。

話は変わりますが・・・自分はやや音響(PA)が好きです。
近年は大規模会場でのコンサートでは、ラインアレーシステムのスピーカーが使用されることが主流になって、前方席も後方席もほぼ均一に同じ音量で快適にライブを愉しめるようなりました。
しかし、ガツンと腹に来る重低音(しかもエッジの効いた硬い音で)は感じなくなりました
かつてミッシェルガンエレファントが、ARBやラフィンノーズが90年代のツアーで使っていたデルタマーチンのスピーカーが徳島県のPA会社に遺されていることを知って、わざわざツアーに採用していた事例もあります。

自分の仕事も、太い骨の入った仕事でありたいと願います!
しかしながら、KISSは活動終了して、シンディ・ローパーもさよならツアー中です。
自分も若いメンバー(堅田職長)に援けられながらツアー中ですが、いつまでも池畑潤二さんのようなドラムは叩けません。


※64歳前日 若手(笑)メンバーと。

新潟入りした2月から3月頃は、空咳が治らなくてみんなに心配されてMRI検査に行きました。
その後はトラックが何度か故障して随分と修理費も掛かりました。
それでも大きな病気も事故もなく新潟撤退です。感謝です。

この後のスケジュールです。近くにいる時に現地調査のご相談等頂けましたら幸いです。

11月10日~11月23日 徳島県徳島市 眉山のお寺で鐘楼の柱脚直し(岡本は先に移動して広島宮島にて打ち合わせ)
11月27日~12月20日 東京都墨田区錦糸町 鉄骨4階ビル沈下修正工事

1月  6日~ 1月15日 高知県佐川町 鹿鳴館風の洋館のバルコニー柱脚礎盤入れ換え
1月20日~ 2月15日 千葉県松戸市 沈下修正工事
2月16日~ 3月  3日 東京都内 (仮押さえ)
3月10日~ 4月20日 広島県で相談中
4月30日~ 5月10日 新潟市西区 土台揚げ沈下修正工事
5月11日~ 6月20日 新潟市西区 土台揚げ沈下修正工事
ps
年末は、家内と高知県宿毛市~愛媛県愛南町でボーとします。
家内も子育て終わって「あしたのジョー」のようになってます><

お気軽にお問い合わせください。
hikiyaokamoto@gmail.com

 


この9か月でもっとも重くてジャッキの台数を使ったお家もなんとか持ち揚がりました。
帰りは戸締りと安全です。


土台下に楔を打ってゆきます。
自分たちが離れている時に震度5くらいの地震が来ても心配ないよう細工してゆきます。
実際には震度6を経験しましたが傷んだりは無かったですが、同じ震度6でも揺れ方に依ってはまた違うんで、ここは震度5と書いておきます。
ところで施工中に大地震が起きた場合の責任の範囲はどうなるのか?と云うとこれは各社、契約書によりますが。
弊社の場合は「免責とさせていただきます。」「そこまでの作業にかかった実費は請求させて頂きます」と明記させて頂いています。





今回は約60本のアンカーボルトを伸ばしナットを使用して切断することなく緊結しましたが、それでもサッシや敷居、上り框下に25本ものアンカーボルトありました。そこは溶接して頂きました。
※敷居やサッシの下は荷重を受けている場所ではありませんので、切り飛ばしたまま。もしくは金物で留めるだけを選択される建築士さん工務店もいる中、m-studio(エム・スタジオ) – 女性建築家とつくる新潟の新築注文住宅・リフォーム 人見さんが緊結にこだわった施工を選ばれました。

※前回のブログでも書きましたが、予算や築年数で選択肢は変りますので「絶対」はありません。



水平になりましたら、基礎修復です。
まずは基礎パッキンを土台下から貼り付けてゆきます。
この時も、基礎パッキンがキマルように下から楔を叩き込んでゆきます。

堅田さんに「親方、楔使いすぎですよ」と指摘されますが・・・心配症なんで(汗)


※浴室は先にほぼ仕上がりました。3枚前の画像と比較してください。
基礎修復を左官さんに任す方、多いですが左官さんは化粧を整えることを仕事としてます。
基礎梁という構造を復元してくださるよう伝えているのかな?

人見さんは過去に同業他社と仕事された経験があって、今回、我々と仕事をする中で。
「こんな風に相談しながらより良くしよう。という話が出来るのは良い経験だよ。判らないとただ業者にお任せにしてしまうけど。なんでもそうだけど、」と言ってくださいました。

10月25日(金)住学の皆さんが送別会を開いてくださいました。
司会はもちろん庄司さん、建築士会から相田さんも来てくださってほぼ脱線することもなく、ずーっと沈下修正工事に関する議論。


最期は、堅田職長と感謝の言葉。ここもすごく簡潔でさっぱり終わりました。

新発田を「しばた」と読めるくらい新潟成分が強くなった曳家岡本一同ですが
硫黄泉成分強めの「だいろの湯」のスタンプカードも満杯です。

ps
12月4日(水)千葉県建築士会主宰で「構造から直す本気の住宅再生」セミナーを開催して頂きます。
ブログ等では公開出来ない画像も含まれますのでぜひご参加ください。

能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。