谷中の嵩揚げ現場 据え付け完了しました!

千葉県柏市で、またまた沈下修正+基礎修復工事をさせていただいています。

今回は、「不同沈下」と言いまして、一方向に下がっているのとは違い。不揃いにあちこち沈下しています。
他にも一般的では無い施工をしている部分がままあります。
こういうお家は、自分のように気の長いのんびり屋さんでないと良い工事にはなりません(苦笑)

宏くん。雨の中、冷たい床下を這ってくれてます。

頭上では、更にこの後、配管屋さんを床下に送り込む打ち合わせをしている、(株)インテックの田所さん。柏市増尾台|お家の小さな修理、リフォーム:インテック株式会社 (intech-inc.jp)

配管屋さんに、説明するために堅田さんもいざ床下へ!

床下点検口から覗いた時に、ただの大引きの下(家の荷重を受けていない部分)に、なぜか?立派な立ち上がり(コンクリート基礎)が、あって。なんなんだろう?途中で設計変更した残骸なのかな?

ともかく隅柱の部分に、ジャッキを掛けなくてはなりませんから。進入を阻む、この余計な基礎を解体してみると・・・
ありーーー?隅柱の下のみ。ブロック基礎になっている!!


まあ、悪い自分なら、余計なことを言わず、このまま見てないことにして作業を進めてしまえ!
自分たちの仕事が終われば良いんでないか!と「男は黙ってサッポロビール」ですが。
正しく選択肢をお伝えするを信条とする「曳家岡本」では、このまま施工すること、やらないことの説明をさせていただきました。
で・・結局、この部分はブロック基礎を撤去してコンクリート基礎に変更することとなりました。

工事が、始まってからの追加工事はなかなか申し訳なくて言い辛いものなんですが・・。
やはり現在ではブロック基礎は法令で禁止されていますから、やむを得ないご判断かも知れません。

 


「悪い人」と言うなら、自分がもし悪い人であったなら。
このお家が猫土台となっていることを告げないで、風窓あるんだから、チャッチャッとコンクリートで埋めてしまえば面倒な飛び飛びの天端を復元する提案も、しません。

でも、このお家を建てた大工さんは基礎パッキンの無い時代に、床下の通気や耐久性を考えて木片を挿入したんだろうな。
あなたのお気持ちを継承して、曳家岡本一同、今回はこうした方が良いだろう。沈下修正工事+基礎修復をさせて頂きます。

こういう細工も、黙ってビール飲んでいれば作業は簡単になるし。
作業日数も減らして安く出来るから、もっと受注も楽になるんでしょうが・・。
あいにく、「劇的に売上を伸ばす経営方法を無料で教えます」等の広告メールを来ても「それは自分の幸せとは違う」と醒めた気持ちで見てしまう敏腕経営者になれない自分としては、受注するための施工品質の落ちる見積もりを書くのは、したくないです。


ここのところ、コンクリートブロックの擁壁の上に盛り土して、その上に建てているお家をどう直すか?の相談が続いてます。
コンクリートブロックを利用して土留めしていると、薬液注入やアンダーピニング工事をしたくとも、ブロック土留めが開いてしまうリスクがありますから・・・施工できません。
それゆえ土台揚げ工事の出番となるのですが、それも「傾いていた側に集まっていた荷重を水平にして分散するので、再沈下の確立をやや抑止する」という程度と理解していただけるなら施工させて頂きます。
と言う卑怯なスタンスです。
根本的な解決策は、ブロックを解体、撤去しておいて正しくコンクリートで擁壁を築いてから、基礎形状に合わせて検討です。


3月15日(水曜)
千葉への移動の途中で、大阪に立ち寄らせて頂きました。
NPO法人日本ホームインスペクターズ協会近畿エリア部会(松田貞次部会長)の研修例会で、沈下修正工事の6種類の各工法を曳家職人目線でお話させて頂きました。
質疑応答では、かなり突っ込んだ質問や意見が出るほど集まってくださった皆さんのレベルが高く、それに煽られてたぶん自分史上1番か?2番と思える良いセミナーとなりました。
妹尾和江会長を含め、皆さま本当にありがとうございました。


お仕事もそうですが、セミナー講師のお声かけもウエルカムですので、どうぞお気軽にご連絡ください。
hikiyaokamoto@gmail.com

子育て想造工務店-まつゆう-松雄建設株式会社

子育て想造工務店-まつゆう-松雄建設株式会社

どうしても建て替えで無く、現状のまま移設したいというご要望の納骨堂をレッカーで吊れる仕様にするお仕事をさせて頂きました。

吊り揚げるわけですから、根伐りからスタートです。
ここらへんは「耐圧板工事」と同じ要領です。




コンクリートブロック製の納骨堂の基礎ですから、もっと薄いベースが打たれているとイメージしていたんですが。
まるで「蔵」のベースくらい厚い40cmほどの棄てコンが出てきました!!
しかも、30cmクラスの玉石を並べた上に生コンを流しています。



なるべく平になっている部分を探して、尚且つ、楔や軍手で詰め物をして様子を探ってゆきます。

そのまま40cmほどジャッキアップした後に、玉石を避けながら底面を支える鋼材を組んでゆきます。
※ジャッキアップ一日目の終わりには、一旦、仮にH鋼や枕木を挿入して帰りました。

ここまで組めたら、後はまずまず簡単です。


自分の計画では、もっと大きくH鋼を組んで、H鋼の交差する部分のボルトや金具の押さえを悩まず仕上げるつもりでしたが。
お話をくださった(有)ゼネラル物流の片山社長からレッカー車の対応荷重をお教えいただいて、なるだけ少ない鋼材で組まなくては~となりました。
この組み方は、高知出身・名古屋在住の頼れる男 「曳家岡本」の堅田部長が考えてくれました。
自分は交差部分の逃げを作るために何本か?サイズ違いの鋼材を造ろうと翌朝、切断の手配をしていたんですが。
19時30分頃、帰省していた長女と「おむすびよこやま」で夕ご飯食べていると、電話掛かってきて。
「親方。あれから何度も測って組み方 考えました。大丈夫です。」
助かるな~(笑)


いよいよレッカー移動当日です。
ジグ、チェーンブロック、ワイヤー、養生材を持参して、(有)ゼネラル物流が4人で登場です。
前日には、我々の組み上げた鋼材の確認に来てくれた、(有)ゼネラル物流の池知部長が、交差部分のボルトの耐荷重の質問をしてくださったり、角度的にボルトを使い辛い部分をお借りしたブルマンで締めているのを説明しました。

棄てコン部分が2・5トン程度あったこともあって。レッカー車での計量では、8トンと出てます!
これは自分らが前日まで予想していた重さとぴったりでした。
で・・70トンレッカーで吊り上げます。

浮き揚がりました!
オペレーターさんがたいへん丁寧で、揺れることなく、本当に静かに揚ってくれました。

兵たちの夢の跡。です。

旋回できる距離が13m程度ですので、5回ほど降ろしては揚げてを繰り返して移設先に移動してゆきます。



ここで最後の据え付け位置の確認の為に、建築士さんと発注者の到着を待ちます。

主に四国島内で、重量物の搬入、据え付けを専門とする(有)ゼネラル物流の片山社長とは、自分が30年前、親方を継承したものの、若造すぎて受注が出来ず困っていた時代に、片山社長のお父様である先代様に作業員としてアルバイトに使っていただいていたご縁があります。徳島クレメントホテルのダクト取り付け助手もご先代様のご手配で行かせていただきました。
自分たち夫婦の結婚式にもご出席いただきました。
月日は流れ、今回、自分は、曳家岡本の親方として難工事のご依頼を頂きました。
事務所ではご挨拶させていただいたのですが、現場を見ていただけなかったのが残念です(苦笑)。

関係者が到着いたしましたので、工事再開です。

約100mほどの移動を半日で済ませました。

まずは、「鳥籠」の解体~撤去です。


ここから、最期の仕上げです。
鋼材の上に挿入した枕木、楔を抜いてゆきます。



今回の工事の反省点。
施工は問題なく完了しましたが、次回からは底面にモルタル補修を行って、平面をもっと作ってから持ち揚げる予算と工期を検討するべきでした。日々精進ですね。

ps
この工事は、4年ほど前に、この工業団地の開発担当である行政職員からの打診で現地調査に伺わせていただいたことがありました。
その際に、自分は「新築にした方が安価ですよ」とお答えしたところ。「やっぱりそうか。はいはい。ご苦労さん」と犬を追い払うように返された嫌な思い出があります。
それ以来、行政からの相談依頼は、有償対応しか受けつけない。と強く心に決めました。
コンサルにはプラン料を支払うのに、職人には無償というのはあまりにおかしいです。

 

京都で家起こし工事も、ようやく完工です。

ジャッキダウン~据え付けをしますと、見通しの悪い中での根伐りをした柱。不同沈下した布基礎のようなものの周辺を補強して造った独立基礎ゆえ、ぴったりと座ってくれるか?心配していましたが。
2本の柱にパッキンを挿入させてもらった以外は、30本の柱がきれいに収まってくれました。

烈しい雪の中。曳家岡本名物(笑)しつこい微調整です。

さあ!かけやで、しばきまくります。嘘。
このコンディションでは、そんなことしたら折れる柱も出ます。


跳ねて癖が付いている柱を降ろす為に、桁と鋼材の間にレバーブロックを入れて引き込みます。

更には、柱の足元をジャーナルジャッキで真横に押してスルスルと動かします。
反力は、井形に組んだH鋼から獲っています。


画面をよく見ていただくと床下で、ジャーナルジャッキを巻く、宏くんの姿が!
ジャーナルジャッキはギア式ですから真横に押せるのが便利です。
鼻天で、DIY自慢の方たちが、サッポードにオイルジャッキもしくは建築ジャッキを使って揚げている投稿を見ますが。
本当に危ないから止めた方が良いです。

もちろん添え柱にジャッキを斜め掛けして「かやし(突き掛け)」とかもします。


修正が終わると、解体です。

礎石(今回は既存基礎を補強する形での独立基礎)の上には御影石を設置することが多いですが。
今回はルーフィングを敷きました。



↑添え柱を抱かせた部分は基礎を大きくしました。

今回は、お隣のお家にに触れるかも?というほど接近していたので施工環境に制約が多かったです。
そんな中、ジャッキアップしながら並行して、家起こしをしなければなりませんでした。
詳しく書くと長くなるので何となく読んで欲しいのですが、そうすると万が一、施工中にお家が揺れた場合のバックアップが獲り辛くたいへんリスキーでした。

据え付けてから何度も、堅田部長とどう安定安全な「家起こし」をするか?を話し合いました。
家が移動する。という曳家に比べれると一見地味な工事ですが、家起こし(軸組補正)は本当に難しいです。

 

はてさて、基礎コンクリートの養生期間を使って、完成お披露目会前の、東大寺の隣地の茶室を見学させて頂きました。
2年前の年末に曳家させていただいたものです。
当時の画像です。

詳しくは、当時のブログをご高覧ください。
築200年の茶室の曳家+家起こしです。 -曳家岡本- (hikiyaokamoto.com)



全く鴨居の垂れが見えないのは、小屋裏で跳ね木で細工しているから・・だと思います。

廊下には、台湾檜を使ったと伺いましたので、思わず突っ伏して「石鹸の匂い」するかな?とクンクンしてみました(笑)

お披露目会は、節句となるゆえ、たいへんご立派なお雛様飾りをされてました。

自分は、娘たちにこんなことしてやれなかったですが、夫婦なりには精一杯頑張りました。
この春、目出度く大学卒業となります。
これからは、家内との老後資金を頑張ります!

ps
3月頭から半ばまで高知県でお仕事です。
その後、千葉県で沈下修正工事をさせていただきます。
曳家岡本は全国対応です。
どうぞよろしくお願いいたします。
hikiyaokamoto@gmail.com

京都で家起こしです。

歪みが直りましたので、全体をジャッキアップします。



基礎の補強、レベル調整を始めます。

それと併行して、構造材の修復工事を進めてもらいます。



相変わらず宮大工に向かって、金物を使ってくれ。とお願いしてます。

宮村棟梁は、「仕事だからね(笑)」と粛々と進めてくださいます。
「曳家と相判だと、根継ぎも入れ換えも危険なく進められるから愉しいですよ」と笑ってくれます。




2階の柱が載っていなかった部分も今回、入れてます!

腐食している柱を伐り上げます。
柱の長さを決めるのに、寺川先生がご苦労されてます。
「これは究極のブリコラージュだなー」と云いながら「でも俺はブリコラージュ得意なんだなー」とにやけてます。
古民家を直すには臨機応変する脳みそ無いといけませんから、
自分も含めてブリコラージュ脳が良いんでしょうね。

ブルース・リーなら「考えるな!感じるんだ!」と諭してくれます(笑)



活きている位置で伐り上げます。
↓切り落とした小口です。

東大や京大の先生を含めて色々な建築関係者が見学に立ち寄ってくださいます。
うーん。学歴コンプレックスの肉体労働者としては、身に余る光栄です。
気分は三船敏郎版「無法松の一生」かな?

↑今回は混ぜるので無く、塗布するタイプのコンクリート接着剤を使用してます。

さてもさても。
隅柱の下を掘っていたら直径10cm程度の目玉の模様が入ったガラス球が出てきました。

google先生にお教えいただくと、こちらは「蠱」というものだそうです。
トルコなどでも魔除けとして使われていたそうです。
元の位置に埋め戻すか?コレクションにしていただくか?
お施主さんに御預けしました。

ps
夜、マンスリーマンションに帰ると、次の現場や、そのまた次の現場の獲得のためにちまちまとメールの返送したり。
見積書を書いたりしています。
ガス、電気代の高騰の中、宿泊費をご負担いただいてご招聘いただけているありがたさを感じてます。
3月後半には東京に戻ります。曳家岡本は全国対応しておりますので、私どもでよろしければお気軽にお声かけくださいませ。
メールは、hikiyaokamoto@gmail.comまで。

 

京都で絶賛 家起こし中です。

いよいよ、奈良から宮村棟梁、三好棟梁。そして昨年末の徳島から引き続きの日浦棟梁に参加していただいての家起こし本番です。



烈しく雪が降っているんですが。大工さんたちのスケジュールの押さえの都合で休みには出来ません。

雪の中での闘いと云えば「キルビル」に於けるユマ・サーマンとルーシー・リューの闘いです。
頭の中は布袋寅泰の「新 仁義なき戦い」が流れてます。



しかし、静かに家起こしした建物が、元に戻らないように仮筋交いが決められてゆきます。

NHKの大河ドラマのセット設営に参加した友人に聞いたんですが、
「岡本さん。凄いですよ。大河の現場だと、大道具さん全く怒鳴らないんです。全員がプロだから静かだけど、物凄いスピードで進んでゆくんです」
まさにそういう状態です。

今回は工期がたいへん急ぐため、大滝神社や薬師寺改修に携わった宮大工に向かって、昭和ボルトや羽子板ボルトなど金物を使ってくれ。という失礼なお願いをしていますが。
それを呑んで、早く構造的に強度が確保できるか?に向けてまっしぐらに作業してくれてます。
本当に申し訳ないです。





隅柱も入れ換えました!
曳家岡本チームは大工さんたちの指示で、添え柱を取り外したり。
新たに入った柱に添え柱を取り付けたりバックアップに徹しています。

お隣のお家との間に、隙間も見えました!

ところで・・・プレ老人である親方は何をしているのか?

この2日間は、現場見学会でしたので、30名余の皆さまへのご説明などさせて頂いておりました。
雨漏り診断の神様 久保田仁司さんや、建築エコノミスト森山高至先生はもちろん、平等院の神居ご住職、宮城さんまで。
全国から社寺、伝統構法に携わる皆さまがお立ち寄りくださいました。
改めてこうした現場を施工させていただけるご機会を頂いた寺川徹建築研究所 (ttaarch.com) 寺川先生に心からの感謝を捧げます。

毎晩、遅くまで改修プランを練り直す真摯な姿勢に頭が下がります。
寺川先生と話し合って、スクリューウエイトサウンディングによる地盤調査も手配させて頂きました。

「岡本、お前は工務店業務しているのか?」とご指摘ありそうですが。ご紹介はしますが、工務店は無しです。

自分が担当した部分も知っていただきたいです(笑)
画像を大きくして見てください。
画像、上部には横架材に直接、ジャッキを掛けているんですが、それでは柱が自重で落ちてきますので、下にも添え柱を取り付けてジャッキを掛けています。
下でジャッキを押すことが出来るように下段は井形に組まず左右に振り分ける細工をしています。
曳家はこうした細工の連続です。

たくさんの方々が見学に来てくださいました。
中には「良い工事だけど、ここまでの施工品質を求めてないから、もっと簡易に安価な工事を提供した方が良くないのか?」と思われた方もいらっしゃいました。

もちろん選択肢は、お施主さんや建築士さんにあります。
我々は「構造的に安心して使える建物を求める方」の相談窓口であり続けたいです。


胸を張って気持ち良く死んでゆくため、
「単価を聞くとそれじゃあ儲からないな。と思いますが、それでもお施主さんにその価値を認めて貰うのは難しいですよね」と言ってくださった建築士さんもいらっしゃいました。
嬉しいです。
片思いは辛いですから、理解してくださる方が僅かでも増えてくださることを祈ってブログや原稿執筆しています。

お気軽にご相談ください。
メールでのご相談は無料です。hikiyaokamoto@gmail.com
現地調査をご希望される場合は、日程を合わせて頂けるなら交通費、税込み30000円です。
よろしくお願いいたします。

京都で弊社にとっては凄い工事を施工させていただいてます。
しかし!!写真には写らない大迫力のスケール感を観ていただけないのは実に残念です。

京都宇治で13cm傾いでいる古民家の家起こし工事の準備をしています。
本来であれば、さっさと解体して、鋼材を組んで家起こしするはずなんですが・・
外壁の収め方が悪かったためでしょうが・・すごく水による腐食が起きてしまってます。


遠目に見ると判り辛いですね。

鴨居が抜けていて、そこが空洞になってます。

とほほ。


反対側の柱は、鴨居の上の部分がほとんど残っていません。

しかも横架材の入っていない部位もあります。

そんなわけで、鋼材を組んで補強しながら少しづつ解体です。
曳家岡本に参加してくれる前は解体業の親方をしていた堅田さんがいるんで、一貫工事出来てます。
どこから解体すれば危なくないか?解体業と曳家の両方の知識があるので、丁寧な作業が出来てます。


↑この裏側に堅田さん登ってくれてます><

「古民家再生は壁をめくるな。めくるととんでもない状態を見てしまうので収拾がつかなくなる。
上から被せて包んで化粧で仕上げろ」という記事を書かれている方がいます。
それは「商売」とすれば正論でしょうが。人が安心して住むことが出来る場所を提供していると言えるのか?



生きている部位には、とりいそぎレバーブロックを掛けて、倒れている側により傾いでしまわないようにバックアップを採りながらの作業です。

親方としては、家起こしをお願いしている宮村棟梁に早めに現地を見てもらって、構造部材の調達。
※まずは仮組みしておいて、据え付けてから落ち着いて本復旧をしてもらう段取りを考えています。

建築士の寺川さんとの追加工事費用の話し合い。

10年に1度の寒波の襲来で徳島県から引き続き応援参加してくれる日浦棟梁が来れなくなった場合の挽回をどうするか?
などなど悩みどころです。


(株)イエサブユナイテッド荘司さんに、「岡本さん、怒りキャラを控えないと発注貰えませんよ」とご指導いただきますが・・。
その通りなんですが(汗)
曳家岡本は正々堂々と死んでゆける工事をやってゆきたいなー。

ps
曳家岡本、真面目にやってます!
どうぞよろしくお願いいたします。
hikiyaokamoto@gmail.com

京都府宇治(十円玉にデザインされている平等院のすぐそば)に来てます。

急遽、決まった現場です。こちらに来させていただく為に、千葉県松戸市と香川県高松市の現場を仲間に代わりに入って貰いました。
そんな中で気合い入れての現場です。


↑神事を行ってから工事開始です。

お家は、石場建ての2階建てです。
宇治抹茶を使ったスウィーツカフェに改修されるのですが、斜めに倒れているので、どう改修するべきか?アドバイス頂けませんか?と寺川徹建築研究所 寺川徹建築研究所 (ttaarch.com)寺川先生に言われて立ち寄らせて頂いたことから、ご縁を頂きました。


↑1階の鴨居下に合わせてます。
レーザーポインターのラインが見えつらいですが。この間で40mm程度です。
柱頭まで伸ばすと約130mmの倒れです。

2階建ての古民家を「家起こし」する工事は、「沈下修正工事」の3倍くらいの費用が掛かります。
時々、沈下修正工事業者の方が「家起こし」を「沈下修正工事」の別称と勘違いされてHPなどで宣伝していますが。
家起こしは垂直方向を直す工事で、沈下修正工事は水平を直す工事です。
但し、家起こしをしないといけない建物の場合、沈下もしていることがほとんどですから、実際には、沈下修正を行ってから家起こしをする。という手順になります。

※技術的な詳細は本年秋に出版予定の「曳家が語る 構造から直す古民家再生」に掲載しますので、ぜひご一読ください。


↑これは徳島県美波町での家起こし現場です。
今回は、建物は小さくなりますが、もっと凝った工事します!

寺川先生には、以前も別件で、家起こしをご相談頂いたのですが。
その際は、費用が掛かりすぎることから、お施主さんは「もっと融通の効く」建築士さんにご依頼されてしまいました。
傾いていても、歪んでいても、上から被せモノをして「見た目きれいに直してくれる」建築士さんを選んだそうです。
「恋するカレン」だな。

今回も、ご依頼頂けないだろうけど、選択肢として「構造的に正しく直す」とはどういう意味を持つか?をご説明させて頂きました。
その無私の姿勢が良かったのか(笑)ご依頼いただきました。感謝。

早くも工事は予想していなかった腐食やおそらくは改修時になんらかの考えで抜いただろう構造材がありました。


よーし!頑張ろう!みなさんに安心してスウィーツを愉しんでいただけるお店になりますよう、寺川先生のお手伝いをします!

ps
せっかく2か月も京都に滞在しますので、近隣の皆さまからのお声掛けよろしくお願いします。
社寺・古民家再生をご検討されている方はもちろん一般住宅の沈下修正工事。
具体的な案件は無いけど、名刺交換しておこう。という建築士さん、工務店さん。宇治駅近くのサイゼリヤで待つ(笑)
hikiyaokamoto@gmail.com

2023年始まります!

新年は、京都での石場建て家起こし、を皮切りに、三浦半島近くでの古民家の沈下修正+家起こし+曳家など大きな現場が続きます。
それゆえ年末は徳島県の商家の沈下修正改修工事から高知の倉庫に持ち帰った資材+京都行きの工具の荷造り。ゴミ焼きでした。

故郷高知のやなせたかし先生は、60歳まで全く売れなかったそうですが、自分も62歳でようやく売れて来たのか!!と勘違いしてましたが・・コロナ禍であれだけ閑な時間を過ごしましたが、今度はコロナ禍のお陰で、事業再構築補助金によって仕事が増えてきました。

自分は、親方業もあって、一旦、上京しましたが。
予定していた出発日23日は、高知県始まって以来の積雪!
自宅の周辺です。


なんとか上京して、千葉県松戸市へ現地調査に伺い、「やっぱ。プロは専門的な細工するんだなー」と驚いていただきつつ(笑)
午後は湯島へ!

29日からは、年末年始の休みとなりましたが。
領収書の整理や、見積書の作成、そして合間には新著「曳家が語る 構造から直す古民家再生」の執筆もしてます。
ほかにも、夏頃には「解体屋ゲン 曳家岡本編②」も出るかも?ですし、ある建築資料本にデータ提供で参加させていただくお話もあります。

今年は、家族4人で過ごす最期の正月です。


両国で、佃煮。

砂町銀座で、年越しそば用の天ぷらを買って、東京の下町ライフを味わいました。
↓自称「奇跡の56歳 」岡本和美さん。

ここ何年か、冬物の衣類を買うことに躊躇します。
夏物に比べれば全般に高額になる冬服を「来年も着ること出来るのかな?」と考えると、結局、安いものしか買えません。
しかし、曳家岡本の現場では「葉隠」について語り合うことが少なくありません。
せめて今夜は少しだけ良い新品の下着に着替えて寝ます。

持ち揚げて、基礎の造り替えと補強工事を準備して頂いていた徳島県吉野川市の現場に、据え付けの為に戻りました。

新しく壁を造る部分をご覧ください。


貫を入れて~

画面左上に写っているホゾの長さに注目してください。
我々の仕事は新築ではないですから、順番に載せてゆくことが出来ません。
逆の手順になります。多くのリフォーム工事ではこうした場合は、「一応入っている」程度の10mmほどのホゾしか挿れてません。



黄色の漢 島田棟梁が応援に来てくださってます。

いよいよ柱を立てます。
天端の高さまでジャッキで押し揚げます。

それを、かけやで叩き込みます。




どういう押し込み方をするか?これはそれぞれの職人のセンスです。
堅田部長は、この作業の最短距離を走ったと感嘆します。
我々は公式の無い夜明け前の野原を歩いているようなものです。
闘う技術をどう使うか?を試されるのは、スポーツに似ているのかも知れません。

みんな満足そうです><

もちろん高基礎を造った部分も柱を伐り上げて、土台敷けました!


スッキリです。

ここからは、日浦棟梁が耐力壁を施工してくれます。

日浦棟梁や島田棟梁のように「曳家岡本と仕事するの面白いなー」と言ってくださる大工さん、建築士さんが増えると嬉しいです。

曳家岡本チームは、撤退です。
昨日から四国では珍しい雪です。
道路怖いです。

ps
この現場の据え付けには、自分は社長業があって遅れて入りました。
ですので、この据え付け作業手順のデザインは全て堅田さんが仕切ってくれました。
もう自分がいなくても、曳家岡本の技術は堅田さんの身体に遺ります。
ジークンドーをダン・イノサントが発展させたように、堅田部長が更なる可能性を拡げてくれると信じています。
じゃあ・・自分はテッド・ウォンかな(笑)

ps2

職人って本当にバカですよね(笑)
3月の現場で、私たちが使うジャーナルジャッキに痺れた島田棟梁は、曳家岡本のものより断然軽くて使い易いアルミ製のジャーナルジャッキを購入して、持ってきてくれました。
見ての通り指1本で持てます。いや・・怪物くんでも無いし、レア・カイルさんでも無いですよー。
もちろん、奥さまには叱られています。
島田棟梁との現場のブログは、こちらです。
香川県三豊市で、古民家の沈下修正工事を特急でやりました! -曳家岡本- (hikiyaokamoto.com)

どうぞ、お気軽にお問い合わせくださいませー。
hikiyaokamoto@gmail.com

 

東京都台東区(上野もある)谷中銀座、谷中霊園のそばで、嵩揚げしてましたお家を据え付けました!


基礎施工前は、こんな感じでした。


詳しくは、こちらのブログを見てくださいませ!
都市部での工事あるある。 -曳家岡本- (hikiyaokamoto.com)

 

それが、今回、戻って来たら!こうなってます。


美しすぎます!!
この悪条件下で、立派な基礎工事、本当に頭が下がります。

今は全国を廻るようなりましたので、それは無くなりましたが。
昔は、工務店側が基礎屋の言い分を鵜呑みにして「高く揚げないとミニユンボも入れることが出来ないから、工事出来ない」と、
GLから2m揚げてくれ。と依頼されることが度々ありました。
もちろん基礎工事をされる側に立てばそれはそうなんですが。
高く揚げるということは、余分に枕木を持って来て、ジャッキアップする手間、ジャッキダウンする手間、持ち帰る輸送費が掛かるわということです。

今回のように、スケルトンリフォームだから・・という理由はあるにせよ、仕上がりより20cmだけ余分に揚げておいてくれたら良いですよ。と、判断していただけると、全て節約出来ます。

さてさて・・
今回の「節約ポイントその2」は・・・またまた「伸ばしナット」です(笑)


建築関係者の方は上の画像を見て、「あれ?アンカーボルトが何故か長いぞ?」と気が付かれていると思います。
これはオリジナルの「伸ばしナット 直ジョイント」をアンカーボルトで仮接続してもらって、そこに同じ径の全ネジボルトを繋いでもらってます。

据え付けが完了しましたら、土台天に「伸ばしジョイント」が出てきますので、それは回収です。

こうして降ろすにあたってガイドを仕込んでおけば、据え付け時に、「微調整」と云ってお家を何ミリか?前後左右に動かす手間が節約できます。
微調整は、今回のお家なら1日、前回のブログのお家くらいだと2日掛かりますので、この現場を最初に視た瞬間に、この細工を御願いしました。


据え付けにあたっては揺れないように、完成した基礎立ち上がりの近くに枕木を組み直します。
こちらの隣のお家や室外機と近接している側での施工はたいへんだったろうなーと感じ入ります。
つくづく現場は自分たちだけでは良いものにならないよな。と改めて教えて頂けました。

撤退は元請けの「熊井商店」さんに、道路使用許可とガードマン配置を御願いして、7トンユニックで行いました。

そして、千葉県いすみ市の倉庫に降ろします。

今回の現場の機会と、多くの建築士さんにご紹介いただくご高配を頂きましたトゥイズムデザインスタジオ様  twism.jp/
に、感謝を込めて、ブログを終わります。

ps
今回のように、土台の取り換えが発生した時のために、杉の黒をストックしてゆくことにしました。
以前に宮村棟梁から「黒は安いけど、硬いし、虫にも強いですよ」とお教え頂いてたんで。
色々と調べて岐阜森林アカデミーの先生のレポートなど拝見してコレクションを始めました(笑)

ps2
ヤフーニュースに採り上げて頂きました。
本当に色々と人生のボーナスです(笑)
曳家職人が実名で人気マンガに 傾きをミリ単位で調整…弟子からも厚い信頼【高知発】(FNNプライムオンライン) – Yahoo!ニュース