古民家再生
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- 古民家の修復工事
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曳家の技術で古民家や神社・仏閣等の修復も可能です。
この施工例は川越市小江戸地区にある大正5年に建てられた木造三階建ての鰻屋「小川菊」さんの耐震化に伴う新設の基礎を造るのと、沈下修正を一遍に行うために、鉄骨で仮の土台を造って、その上に枕木を組みました。
この作業によって、心配なく古い柱を取り換えて、且つ、基礎を新造出来ました。地元の大工さんや基礎屋さんとの協働作業になります。
古民家の修復 上腰工法で基礎の造り替え
古民家の修復 上腰工法
埼玉県飯能市上名栗にあります、元「名主様」の家の修復工事に携わらせていただいています。
坂の上には、蔵と立派な門がありまして、更にその奥の一段、上にお家が2棟あります。
さらにその奥には、敷地内に神社もあるという凄い広さです(汗)今回はそのうちの主家の古民家再生です。
1階部分が31坪のお家なのですが、基礎の立ち上がりが低いのと、昭和になってからの改修工事が不適切だったために、湿気で土台や柱が腐っている箇所があるので、曳家による「上腰工法」で持ち揚げて、土台や柱の取り換え、根継ぎをします。
土台の腐っている建物の場合、上腰工法(敷居より上で荷重を享けて持ち揚げる)で、「根継ぎ」「土台の入れ換え」「基礎の造り替え」が一遍に出来ます。但し、この場合、敷居より上に1mほどの開口部が必要となりますので、壁の修復費用がかかります。
この現場は、古民家再生の教科書の1頁のような作業内容です。
お施主さまのご厚意で「うちの家が役に立つのならぜひ使ってください」と言っていただけてますので、古民家再生に興味があって、見学をご希望される方はどうぞご連絡ください。
打ち合わせしていた高さにまで揚がりきりましたので、後は基礎屋さんが作業し易いように枕木を、基礎梁から逃がして組み直してゆきます。
約1カ月間、家を持ち揚げたまま仮設置しておくわけですから、安定して坐っていてもらえるよう最大限の努力をします。
しかし、本来の家の荷重を直接享けるためには、出来るだけ基礎の近くへ枕木を組むべきですが、そうすると基礎工事の邪魔になります。
ですので、相反する施工を成立させるためのせめぎ合いがあります。
今回は、「これだけスケルトンにしているのに、なぜ?こんなに重いんだ!」という部分があるため、享けるポイントを増やすために、揚げ切ってからも下段のH網(鉄骨)を2列増やしたり。短い枕木を使って、享ける「点」を増やしたりしながら・・
基礎屋さんが、危なくない状態で作業できるよう腐心しています。
15箇所、建築ジャッキを使用しています。
一旦、左側の2本の枕木でも荷重を享けていますが、それだと片荷になりますから、枕木の中心に据えたジャッキの方をやや効かせることで、荷重を枕木の中心で享けるようしています。
なんでも無いことなんですが・・なんでも無いことの積み重ねで、「安全かつ、家を傷めない工事」が出来ます。
飯能市のいごっそう(高知県の言葉で、がんこものの意味です)大工・油布さんは入れ替える柱の刻みが終わって取り付けに入られました。
うちの何種類かのジャッキを使いながら「便利ですよね。欲しくなります(笑)」とほほ笑む姿はとてもチャーミングです(笑)
これは白蟻被害にあっていた柱を途中から継いでいるところです。
正直、3寸5分角ですから、ここまで丁寧に「金輪継ぎ」でやらなくても!と書きましたが・・いや~やっぱりっきれいですよね。
そして既存の柱も、ホゾが弱くなっている部分もあるからと、全て刻み直しています。
これも丁寧です。簡単に金物で補強して「もう大丈夫ですから」と言っている人たちとは志が違います。
抜き替えた柱はこのような状態です。
古い基礎の撤去も終わり、床下はすっきりです。ちなみに油布さん(この現場の大工さん!お得です)には、何か所か、枕木が作業の邪魔なんで抜いてもらえないか?と指摘されましたが・・そこはご容赦いただきました。
やはり大きな台風も来ましたし、組み込んでいれば安心です。
良い大工さんとの古民家再生は楽しいです。なかなか味わいがありますよね。
古民家の場合、一般的なゴムパッキンより、こちらの方が風情がありますよね。
家の強度とデザイン性のバランスは建築現場の課題です。上腰工法で揚げると、ご覧の通り、基礎を「新築同様」に造れるメリットがあります。きれいですよね。
下腰工法でやると、鋼材を降ろすための開口部が必要になりますので、後から埋める手間はともかく、若干の強度の劣化がやむをえなくなります。
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- 古民家の家起こし
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家起こしをするにあたって、どう反力を獲るか?はそれぞれ工夫されるところです。
曳家岡本では、床下に鉄骨を組むことで、この問題を解決しています。
家起こしをスムースに行うために、先に不同沈下を直さなくてはなりません。
弊社では1本の柱につき、両側に1台づつのジャッキを設置して調整を行います。
片側だけで持ち揚げると、柱が持ち揚げた方に寄ってしまいますので、「後で直せば良い」では無くて、始めから傷めないように工夫しています。
家起こしを実施する際には、動き易くするために横架材まで枕木を組んでジャッキを掛けたりして荷重を分散させたりもします。
この現場は柱の入れ換えも同時進行で行ってました。
古民家の家起こし事例2
千葉県いすみ市での古民家家起こし工事事例
不同沈下を直した後で、必要な範囲の天井を大工さんに剥がしてもらいます。そして、床下に組んだ鉄骨に向けて反力を獲ります。
家起こしが、費用がかかるものの一つは屋根を剥がさないといけないことですが。
このお家の場合は、諸条件から屋根はそのままで施工できました。
家の片側だけに採用されていることで、構造バランスを損なっている丸桁に直接、サッポードを充てて押し戻しました。
建物の自重を利用して鉄骨を使って、反力の存在しない場所に押せる台座を造りました。
効果は絶大です。長年に亘って、斜めになっていた柱を起こした場合、
レバーブロックを取り外した途端に、再び斜めになる可能性が高いですから。
壁や天井を固めなくてはなりません。その作業をする前にとりあえず、敷居と鴨居の間に仮筋交いを入れることで「癖を直す」期間を設けたいものです。
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- 古民家の家起こし例2
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家起こし
「家起こし」だけであれば、足元を固めて梁にワイヤーを掛けて曳けば良いのですが、今回は土台が白蟻被害でかなり空洞化していることが判ったため、まず沈下修正を行い全体の水平を採って動かし易くした上で、次にそれぞれの柱にかかる屋根の荷重を取り省くために鴨居を枕木で享けました。
作業は慎重に
屋根が瓦では無く、銅板で軽いゆえ出来ると判断しました。
建物自体は重いものではありませんが、白蟻被害にあっている部位も多いので、作業は慎重に行われました。
そして、垂直方向が直ったところで、バックアップで取り付けてあった添え柱を利用して、土台や柱を入れ換えるために全体を30cm持ち揚げます。曳家の技術で古民家や神社・仏閣等の修復も可能です。
この施工例は川越市小江戸地区にある大正5年に建てられた木造三階建ての鰻屋「小川菊」さんの耐震化に伴う新設の基礎を造るのと、沈下修正を一遍に行うために、鉄骨で仮の土台を造って、その上に枕木を組みました。この作業によって、心配なく古い柱を取り換えて、且つ、基礎を新造出来ました。地元の大工さんや基礎屋さんとの協働作業になります。