参考価格

参考例1

  • 2階建ての木造住宅(在来木軸か2x4建築)
    1階部分の床面積が18坪
    最大沈下部分 14cm 液状化により全体に傾いている場合
    約250万円前後
  • 【含まれる工事費】
    沈下修正・基礎補修・束調整(もしくは交換)
  • 【含まれない工事費】
    左官・配管・ガス・溶接・廃材処分他上記に含まれないもの全て

参考例2

  • 2階建ての木造住宅(在来木軸か2x4建築)
    1階部分の床面積が18坪
    最大沈下部分 8cm  不同沈下により家の半分が傾いている場合
    約150万円前後
  • 【含まれる工事費】
    沈下修正・基礎補修・束調整(もしくは交換)
  • 【含まれない工事費】
    左官・配管・ガス・溶接・廃材処分他上記に含まれないもの全て

上記それぞれの参考例を目安としてくださいませ。
住宅のデザインにより(例えば玄関部分に独立柱や壁がある)等で幾らかの+が出ます。
また遠隔地の場合は出張費が発生します。

工務店からの視点で感想を頂きました

web上で、曳家に対する疑問をいただきましたので、やりとりしたんですが。

ぜひ読んでいただきたたくて、質問者さまの投稿を少し割愛させていただきましたが、やりとりを読んでいただければと思います。

  • A氏

    長らく工務店をやっている私でも、曳き家を見ることができるのはごくまれで実際に携わったことはありません。

    ペイするかどうかの判断が実に難しく、木造建築の中でも更にニッチな業種ではないかと思います。

  • 岡本

    Aさま そうだと思います。

    自分は関東ではまだ4年しか働いていないので関東の相場が完全には判らないですが・・
    弊社の場合だと、新築の3~4割で仕上がるくらいの施工金額が目安になります。
    曳家は、業者によって使う資材や技術のばらつきが烈しいです。

    それゆえ、「曳く」のはまずまずの価格だったけど、修復費用に追加が随分かかった。とweb上でも叩かれています。
    ですが、私に言わせればそうした粗悪な工事をするのは「本物」の曳家ではありません。そういうのは土木や他の業種と兼業でやっていて、依頼があればやっている方たちです。

    そして、比較できるケースが少ないゆえ少々、傷めても「曳家だからこんなもの」と釈明しています。
    曳家には2通りの流れがあります。重量とび職から来ている家を「重量物」と考えて動かす方たちと、自分のような船大工や宮大工の流れから来ている曳大工の流れから来ている流派です。

    どちらが良いというわけではありませんが、一般住宅だと私どもの方が細やかな細工をする分、傷みません。自分は曳家が伝統文化財くらいしか活躍の場が無いように書かれることが哀しいです。

    自分は「まだ使える家」を再利用するためにたくさん曳かせていただきました。
    これからもそうでありたいです。特殊な事情が無い限り、建て替えと同じくらいかかっては曳家の意味がありません。

    まぁ、需要と供給が少ない訳ですね。

    農家のかたで年ゆきのかたは施主として曳き家の経験がある方がいて「建て替えと曳き家と同じくらいかかったな」と言っていたのを聞いたことがあります。値段のがわからない職業です。

  • A氏

    費用、コストと技術が一般のかた(工務店でも)に理解しづらいからでしょうね。

    まぁ、値段が有って無いようなものです。

  • 岡本

    少なくとも高知市では、35年前には13業者もいて。決してニッチな職業ではありませんでした。
    人口30万人の地方都市にです。理由は昭和南海大地震と伊勢湾台風等で修復するニーズが多かったからです。なので「相場」もありました。

    ただ、その中で「安かろう悪かろう」はいけませんので、先代から「丁寧な工事」を教えられました。

    また日本曳家協会の代表である恩田組さんも、曳家工事の施工単価の可視化のためにあえて、価格表を掲載されています。

    もっとも恩田組さんは規模も大きいので、必ずしも小規模な曳家とは同じ土俵ではないと思いますが・・・。
    なかなか関東で曳家工事のニーズは少ないので、すぐに見に来ていただくことは出来ないですが。決まりましたら、こちらでもお知らせさせていただきます。

    ちなみに現在のある程度の規模の曳家による相場としては、在来で1階坪数が20坪程度まで、2階は関係なく。で、直線に20mくらいであれば、曳家だけであれば300万円~400万円ではないでしょうか?これに配管や基礎工事などを+して、600万円~700万円程度で仕上がるのが普通ではないでしょうか?なので、例えば坪あたり50万円のお家なら、新築の3割程度になります。

  • もちろんお家は1棟1棟、違いますので、ここに書かれているのはあくまで参考価格です。
    さらに高知県、東京都以外の場合は宿泊費、資材の運搬費など出張費が別途発生します。

能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。