2020年7月18日 7:53

浸水被害から住宅を守るための嵩上げ工事の可能性

8月初旬より千葉県夷隅郡御宿町の古民家を、据え付けします。

※画像は昨年の徳島県の豪商の古民家の据え付け時のものです。

最後の据え付けでは、揚げていた間に「踊っていた」柱を正しい位置に引いたり押したりして入れてゆきます。

ところで、近年、豪雨災害で床上、床下浸水が増えて来ました。

こうした事態に対して我々、曳家が出来ることと云うと「嵩上げ工事」です。

かつて、酷い水害に遭った京都府福知山では行政支援もあって、地域全体で、順番に嵩上げ工事をされています。
同一敷地内であれば、嵩上げできるのはせいぜい1m程度までかと思います。
※技術的には3mとかの嵩上げも出来るのですが、安定性が脆弱になるのと、玄関までの階段の取り合いなど考えると難しいかもです。ここらへんは建築士さんの判断にもよると思います。

もし敷地に余裕があればお家の裏側に地盤そのものを嵩上げしておいて、お家をそこに曳きこんでしまう。
もしくは、一旦、曳きこんでおいて、今度は元の位置の地盤を嵩上げしてから元の位置に戻すとかも可能です。

ただ、こうした嵩上げ工事は曳家的には手離れの悪い工事です。
嵩上げしておいて、一旦、基礎工事のために現場を抜けて、2か月後ほどにまた降ろしに戻るわけです。

ですので、どの現場も結果4か月ほど資材を使われてしまいます。

弊社もかつては、資材が足らなくなるので、現場のやりくりに苦しみました。
今は、資材を大量に増やしたので、床面40坪程度の建物なら同時に3棟の施工が可能です。
一般的なお家なら5棟程度平気です。

嵩上げ工事の概算を参考までに書くと、

曳家工事  約400万円(輸送費、宿泊など含まず)
基礎工事     約200万円
設備等    約50万円
外構工事  約200万円
その他     約200万円

合計  約1000万円

程度ではないでしょうか?

すると、ローコスト住宅ならば新築が建ちますので。
これは、そのお家に思い入れがあったり、まずまずの立派なお家であれば検討の余地があるかな?ということになります。







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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。