2023年5月14日 18:46

福岡でログハウスの沈下修正工事2

福岡県遠賀郡岡垣町で、ログハウスの沈下修正工事を行っております。
いつかログハウスの沈下修正工事をご担当される方たちの為に、自分の経験を書き残しておきます。

まず、ログハウスは心配してたほどは重くありませんでした。
実感としては、お寺や広島、淡路島あたりの土が載っている重い伝統構法の古民家が1坪6トンほどの重さがある場合ありますが。
ログハウスはその半分くらいです。せいぜい3トン程度です。


しかし、カナダ産杉は想像以上にやわらかく傷つき易いです。
なので、軽いからと云って、ジャッキのポイント数を減らして良いというわけではありません。
土台を傷めないように配慮しなくてはなりません。
2×4住宅より2割程度、ポイント数を増やしました。

ログハウスのアンカーボルト頭は座彫りされた土台の中にありますゆえ、今回は「伸ばしナット」を使うことが出来ません。
※大引き、根太は土台とは緊結されていません。それゆえ、シンクロして同時に揚げないといけませんゆえ、ジャッキの台数が必要になります。今回は、120台使いました。

それゆえ、アンカーボルトの緊結は全て溶接になるのですが。
いつもより長めに降りて来た部分で切断して溶接しています。
これは溶接時に、ボルトを通じた熱源が土台を焼いて発火しないか?を心配しての苦肉の策です。
良い工事をしたくても家を焼いては何にもならないです。

※東日本大震災の後で、浦安市で火災ありました。

さらに、ログを貫通して繋いでいる全ネジボルトの締め込み直しをしています。
これは弊社が作業する以前に既に緩んでいる箇所もありましたが、土台から揚げることでより緩みました。


自分たちは今日は型枠を組む作業に没頭してましたゆえ、今回3度目の見学?に来てくれた 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の斎藤先生と中山先生にボルト締めをお願いしました。
齊藤先生とは既に10年ほどのお付き合いです。
初めは、香川県丸亀市でのお寺の沈下修正工事にポリテクカレッジの生徒さんたちと見学に来てくださって、その後、千葉に転勤されてそこでもまたお逢いして、今回 齊藤先生が九州に転勤されたところに我々が来たので5年ぶりくらいの再会です。
でもあんまりプランク感じませんでした。

↑床下側から顔が見えているのが、斎藤先生。
外側が中山先生です。中山先生は31歳独身なんで、どんな女子が好みなの?と尋ねると「ショートカットの女の子」と云うので。
「あ~~鈴木蘭々みたいな感じですね」と答えると全く通じず。
妥協して、「内田有紀さんね?」も通じなくて、やっと「あのちゃん」で通じました(汗)

↑工具たくさん持参してきてくださいました!

また、曳家岡本では天端幅より揚げ幅が大きな場合(120mmを越えた部位は)、スペーサー挿入を小さなものにして、コンクリートで巻き込むようにしています。
これは地震時のスペーサーの横揺れ抑止の意味合いからです。
もちろん、小さなスペーサーだと、施工中に倒れると危ないのでブリッジの鉄板など支えは残しておいて、基礎修復が終わってから、
抜き出して、再び埋め戻し作業をする手間が増えるのですが。
天端幅より長いものを天端の上に立てておいてモルタルで化粧する人は、ろくでなしです。

縦筋に関しては、本来であればオリジナル部分を斫り出してそれに溶接して伸ばしたかったのですが。
探ってみると、被りが深くて、これを全て斫ってゆくと却って基礎を傷めるな。と話し合って、差し筋アンカーを使いました。


堅田さん、宏くんがアンカーボルトの溶接してくれている間に、自分はウッドデッキ側を沈下修正していたんですが。
解体する増築部分が邪魔をする部分が出てきたんで、元 解体屋の堅田さんに先に捌いて貰いました。
最近、解体屋としての技術が必要とされる場面が多いです。

解体屋と云えば「解体屋ゲン」です。
次号でいよいよ連載1000回を迎えます。本当におめでとうございます!
20年に亘る長期連載ご苦労様です。
曳家岡本も、爆破解体の見学にロクさんと出向く場面でチロッと出演させていただいてます><


今回の全景を撮影した画像はお施主様の許諾をいただいて使わせていただいてます。

お気軽にお問い合わせください。
hikiyaokamoto@gmail.com
ホームページは「曳家岡本」で検索ください。

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。