2023年6月25日 7:32

南相馬市で難工事。

南相馬市の応援に入らせていただいているお家。

新築と違って、改修は思わぬ伏兵が潜んでいてなんとも先が見えなくなることがあります。
喩え、涼しい風が吹き抜けて、お施主さんが毎日、クーラーボックスに冷たく冷やしたペットボトルを入れて置いておいてくださるような快適な環境であっても。

流石は、「誰も引き受けてくれなかった」症状です。


画像で見ていただくと僅か2cmほどの隙間が、くっついたように視えるだけですが。
これはなかなか凄いことです。
おそらくほとんどのリフォーム業者は、「ああ、隙間が出来てしまったんですね。直せますよ」と言って、詰め物をするだけです。
しかしよく考えてください。
隙間があるということは、柱が斜めになっているということです。
それでは本来の強度は保てていないわけです。
直すためには、蛇人間にとてつもない努力を強いることになります。


床下にターンパックルを張るような原理で、4分の全ネジを繋いでゆきます。
外周側は水切りにナットが飛び出てはいけませんので昭和ボルトを使います。


その上で20台ほどのジャッキを斜めにかけて「かやし」をします。
ボルトで引き込むだけでなくジャッキの倒れる力を利用して動きを補助します。


しかーし!引き込みたい母屋側の大引きが突っ張って動きを止めています。
これは大手ハウスメーカー・リフォーム部の仕業です。
堅田部長が床下で絡む部分を苦労して切り欠きます。

さらに母屋側の何本かの柱には亀裂が!!

堅田部長案では、当初の計画では、増築部分と母屋では土台の高さが違うので新たに土台用の材木を購入しておいて、増築側と同じ高さに仮設の土台を剛床のように組み上げておいて、そこを反力として引き締めよう。というものでしたが。
これでは柱を更に傷めてしまいますゆえ、違う箇所から反力を獲る算段をしました。
その結果、2mものの全ネジを40本も使ってしまいました。

基礎修復も段取りを考えて同時に進めてゆきます。


差し筋を打ち込んだ後は長く出た分を宏くんがカットしてゆきます。

アップで見て頂くと判りますが、きちんとピンクのマジックペンで切断箇所をマーキングしてます。
細かい指示は堅田部長。

引き締めの完了したお家の中で、お施主さんの皆さまが「こりゃ、凄い技術だ」「きれいに直った」とご親戚と感嘆してくださっている声を聴くのは職人冥利に尽きます。

ps
想像を絶するような傷んだ土蔵の修復計画にお声かけていただいてます。
「どうですか?遺すべきか?解体すべきか?親方の意見をお願いします」と尋ねられて「解体です」と即答しました。

修復したいそうです。
凄すぎです。

ps2
真面目にやってますので、お気軽にお声かけください。
またコロナ禍初期のように現場切れないかと心配です。
どうぞよろしくお願いいたします。
hikiyaokamoto@gmail.com

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。