2023年11月23日 7:34

さいたま市西区で沈下修正工事。そして出版記念イベント

さいたま市西区で、沈下修正工事をさせて頂きました。

神村真先生や千葉先生が視たらトップクラスの陥没資料画像だ!と言われそうな見事な陥没です。

まだありました!

フーチングの下も。

こちらのお家は、床下点検口がありませんでしたので、床下の状況は推測しか出来ませんでした。
現地調査にお伺いさせて頂いた際に、「室外機のそばにモグラの穴のようなものがある」と相談いただいたのと、沈下量が僅か3mほどの間隔で最大9cm(1000分の30)という極端な沈下傾向です。
しかも、この最大沈下部分はほぼ下屋ですので大きな荷重が受けていません。
それでもここまで大きく沈下しているわけですから、薬液注入工事で地盤を固める+万が一空洞があれば充填してしまう提案をさせて頂きました。

提案時には、ご自分たちの健康寿命を考えて、水平に直す以外の追加予算は控えたい。とおっしゃられましたので、こちらも日々、老人に近づいている身ゆえ、たいへんお気持ちは判ります。
なので、「モグラの穴のようなものは転圧して、もしフーチング下に空洞があればそれはセメントミルクを造って流し込むようしましょう」「幸い軽い部分ですから、水平に直るだけで随分と地盤への負荷も減りますから」と始めたのですが。
床を解体させていただくと画像のような穴です。
これをお施主さんに見ていただくと流石に、薬液注入を手配してください。となりました。

しかーし。それだけだと弱いんで・・・(弱くないけど)。薬液注入業者に来てもらう前に、保険の意味で最大沈下部分には耐圧板架台をセットしておいて、そこだけでも支えておこうと、堅田さんと宏くんに、またまた穴掘りして貰いました。

これで空洞部分の弱点を補いました。
じゃあいっそのこと全体を「耐圧板工事」で持ち揚げたら。というご意見も出るでしょうが。無筋コンクリート基礎であること。
さらに、2階が載っている部分から始まる急激な沈下により基礎クラックが入っている部分もあることから、それは無い。という判断をしました。
千葉県いすみ市の倉庫に在庫で置いてある「架台」を獲りに行ったところ・・充分な台数が無くて。
悪い先輩として、杉並にある同業者「野口工事」野口さんに急ぎ在庫を配達してもらいました。
野口さん本当に助かりました。次はうちが何かでお返ししますから言ってください!

フーチングの底部が大きなぐり石でしたので、接地面が小さくならないよう天端を詰める際に使う、接着剤入りのモルタルを造って詰め込んでゆきます。

急に依頼したゆえ、日程調整でたいへんご迷惑をお掛けした、いつもの俊成さん。

5ポイント打ってもらいました。
もちろん大量に打てばそれだけ地盤は固くなりますが、この24平米ほどの範囲、下屋であることを考えて充分だろうと考えました。当初の予算から大きく逸脱しないようというのもあります。

地盤の下地が出来たところで土台揚げ開始です。


きれいに揚がってくれました。
おばあ様が退院されるまでに、内部の復旧を終わらせるという目標もありましたので良かったです。


都会あるある。なんですが・・搬入条件や資材置き場に苦労してます。
近隣の空き家のお庭を借りていただいたのでそこから小運搬してます。

雨水処理についても、安田棟梁、お施主様と話し合って「再沈下の確率をどれだけ下げられるか?」のために相談しました。
まっ東日本大震災以降で、1棟も再沈下起きてないですが、アンダーピニング工法と違って保険が付きませんから「絶対はない」ですから、問題点を潰してゆくのみです。

現場させていただいている間に、制作に1年半かかりました「曳家岡本口伝 構造から直す本気の住宅再生」の出版記念イベントが続きました。


左から「構造塾」佐藤実先生、隣 伊礼智先生、肉体労働者、一人飛んでスーツの似合う日本一難易度の高い現場が好きな解体屋「創心建設興業」高信社長。 この4人が並ぶことは2度と無いだろうなー。

交流会の片付けを終わってスカイツリーを見ながら、堅田部長と浅草駅に向かって歩いた気持ちは一生忘れらないだろうな。
13年前に高知を出てきてから、今、自分たちがこんなふうになっているの信じれないです。


出版のきっかけを創ってくださった新潟「住学」のみんなとの記念撮影。
セミナーの方は事務局から放送禁止と指導をいただくほどのリアルな話が出来ました。
大工チームには絶賛だったんですけど。大人の皆さまには迷惑かけたかなー。
ps
本、売らないといけないんでセミナーのご依頼をお待ちしておりますのでお気軽にご連絡くださいませ。
お仕事もね。気のせいなんですけど、昔の知り合いから「曳家岡本、敷居が高くなったんで依頼し辛い」と言われますが、家は揚げてますけど。自分らは床下を頭低くして這ってますから、低いですよー。よろしくお願いいたします。
hikiyaokamoto@gmail.com

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。