2023年12月3日 10:02

埼玉県白岡市で土台揚げ沈下修正工事+築古住宅を購入後、沈下していることが判明、相談を頂く

最早、芸術である(笑)

埼玉県白岡市での土台揚げ沈下修正工事現場。

休憩時間に堅田部長と話してたんですが。正直、自分らは曳家職人ですから、その技術の3割程度しか使わない土台揚げ沈下修正工事は、それほど腕の見せ所があるわけでも無いのでノリノリで、施工しているという訳ではありません。



しかし3年くらい前からかな?じわじわと「曳家岡本の土台揚げ沈下修正工事良いよね」とご評価いただくことが多くなって、土台揚げの依頼が多くなってきました。
地震の後を省けば、沈下修正工事は少なくとも6種類の工法があって、相場が判りつらいこともあるせいか利益を追いかけて参入して来られた方々もたくさんいるんで。まずまず受注を得る為の闘いがある中で依頼が増えているのはミラクルです。

3年後の引退に向けて現場ごとの打ち合わせ内容や見積書を堅田部長に転送しているんですが。

「親方の見積もりって見比べると判るんですが、どの現場も人工、出張経費とか日数に応じて掛け算されるだけで、変わるのは持ち込む工具の量で工具損料が若干、上下するだけですよね」

「普通は獲れるところからは獲って、仕事が切れそうな時は安くしてでも現場を続ける為に値下げしますけど、それをしないですよね」

あ~そう言われるとそうかもな~。だってほらっ。それなりの技術を提供しているんだから安くしないと依頼してくれないんだったら倉庫作業している方が良いと思うんだよな。

で、日々、土台揚げ沈下修正工事を繰り返していると、物凄く上手くなりました。

床下で建物のレベルを獲る。そして荷重を受けられるポイントを選んでジャッキを掛ける。アンカーボルトを伸ばす。ジャッキアップする。モルタルを詰める。書き出してみると、そんなに多い工程では無いのですが、一つ一つを丁寧に磨きあげてゆくと、美しい玉のような仕事が出来ます。

もちろん現場をしっかり施工してくれる熟練メンバーがいて、親方はクライアントに希望を聞きながらも「どうすれば良い施工が出来るか?を提案する」プレゼン力を持たなくてならないです。

さてっと。以下はこれから築古住宅を購入しようかな?或いはインスペクターさん必読の内容です。
親しくしていただいているインスペクターさんからのご紹介。
築古住宅を購入されたお施主さんから沈下修正工事の現地調査、見積書作成をご依頼されました。

一部、不同沈下もありながら、基本的には擁壁側に傾いていました。
お施主さんの要望としては地盤改良を伴う沈下修正工事でした。沈下の最大箇所が擁壁から60cm程度しか離れていない為、アンダーピニング工法は選択できません(擁壁のL型底板に杭の先端が当たると擁壁を倒してしまうため)
薬液注入は必須となりますが。それでは持ち揚げるのは、土台揚げと耐圧板工法のどちらが良いか?との選択になりますが。
こちらのお家は「べた基礎」ではありませんでしたが、後から防湿コンクリートを打っています。
それゆえ床下が30cmしかなく潜れますが、土台揚げ工事だと作業効率が悪いくなります。
ここは薬液注入と基礎ごと持ち揚げる耐圧板工法を併用する「ダブルロック工法」をお薦めしました。

↑沈下修正に関する入門書を出す程度には、各工法のこと知ってます。

しかし、この工事は実現しませんでした。
今回、大手不動産会社と交わした売買契約書には、「瑕疵が発見された場合、売り主が費用負担をして修理する」という一文がありましたので買い主は当然ながら納得ゆく修理を希望したのですが。
返された返答は「瑕疵となる1000分の6を越える範囲のみを修正する。それ以外は買い主の負担でお願いします」
というものでした。
えええええ!と思うのですが。そういうことなのです。

逆に売り主側の立場に立つと築30年近い築古物件の売買においてはよほどのもので無ければ、土地代金+200万円ほどが一般的でしょうから。沈下修正工事、薬液注入地盤改良400万円+付帯工事費50万円~100万円は出せないよ。となるわけです。
築古住宅を購入する際に、インスペクション調査(住宅診断)がいかに大切か?
そして沈下が発見された場合、それを修正するのにどれくらいの金額が必要になるか?の購入前の検討が重要であることを知っておいてください。

↑11月27日発売【建築知識ビルダーズ】️にサトウ工務店佐藤さんが、猛暑の中で施工した新潟での沈下修正工事について寄稿してくださってます。
各工法との違いや選択方法を、発注者目線で解説して下さってます。

尚、沈下が発見された場合のご相談は自分でも出来るけど。実務者ゆえ利益誘導となるのが嫌ですから、(一社)建沈連にご相談されるとフェアな提案が得られると思います。
特に行政や弁護士さんとか向きです。

ps
お気軽にお問い合わせください。
hikiyaokamoto@gmail.com

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。