2024年5月3日 4:58

新潟市西区山田、沈下修正工事すると建付け悪くなる?

クロス破れました!

なかなか丁寧な沈下修正工事をしている者として、たいへん悔しいですが。壁のクロスが破れました。
これは、実は自分たちが乱暴者なわけでは無くて、大きく傾いたお家の場合はクロスが引っ張らていますので、それを瞬時に戻す。とこうなることは、ままあります。
これは「沈下修正工事あるある」です。ご理解いただけますようお願いします。

それと、ジャッキアップ中にお家の建付けが悪くなることがあります。

もちろん玄関の鍵など、毎晩、きちんと閉めなくてはならないものは使えるようにして帰りますが。
トイレやリビング等への扉の調整まではご容赦くださるようお願いいたします。
そもそも土台揚げ沈下修正工事を行う際には据え付けのことを考えて、「柱直下より左右どちらかに逃がしたところで持ち揚げます」

据え付け時に、↓のように柱の下に芯材を入れるわけですから、よほど軽い部分でない限り、若干のたわみは起きてしまいます。

建物の90%は、柱で荷重を支えています。なので出来る限り柱の真下できれいに荷重を受けられるような細工ですから、ジャッキアップ中の3日間程度の不具合は広い心で、これはきちんと直す為ゆえ仕方ない。とお考えください。

ジャッキアップ微調整中です。
この画像を拡大してよーく見ていただくと土台下面から、10cm程度に赤と緑のレーザーポインターのラインが視えます。
これは、2台のレーザーポインターを床下でつないで拡い範囲を一遍にレベル具合を見ることが出来るようしているゆえです。


作業終了しての帰宅時は、基礎天端の上に枕木を通して楔を打っておきます。
ジャッキだけで受けていてその夜に震度6程度の地震が来ても心配無いように、バックアップして行くわけです。

可能な個所は、柱の真下にもジャッキを掛けてゆきます。

ジャッキアップ中は、毎晩このような受けを組んでゆきます。
この作業をろくでなしの岡本直也が、「ここまでジャッキをたくさん掛けているんだからそこまでやらなくても良いんでない?東日本大震災後の大きな余震が来た時は全てのジャッキを伸ばしていて、今まさにジャッキダウンさせようとしていたにも関わらず、ボウリングのピンが揺れて倒れなかった時のように遺ったことを身をもって体験してるじゃないか!」と呼びかけます(脳内で)。
しかし基本をおろそかにしてはいかんぞ。という岡本直也に岡本直也はしぶしぶ頭を下げてます(涙)

今回も「伸ばしナット」大活躍です。


良い業者の見分け方を教えてください。と質問されることがありますが、土台揚げ沈下修正工事に限ると「アンカーボルトの再緊結をきちんとしているか?」に尽きます。
アンカーボルトを安易に切断して、土台の側面から短冊金物で留めているような細工をする業者は良いとは思えません。
まあ、「安ければなんでも良いよ」と云う方はそれもありかもですが。

基礎修復です。今回も沈下量が120mmを越える部分の型枠組立は本職の大工さんにお願いしました。
堅田職長も出来るんですが、今は少しでも早く作業して1棟だけでも多くご要望に応えたいので、可能な部分では応援の職人さんに援けてもらっています。
今回はサトウ工務店の河田棟梁、金子棟梁に応援来ていただけました!

そして再び建付けのことを書きます。

沈下修正工事をしたら、家が歪んで建付けが悪くなった。という話が時々聞こえて来ます。
弊社 曳家岡本が施工させていただいた場合も悪くなることがあります。しかしそれは悪くなったんでは無くてお家の水平度が上がった為に「合わなくなった」のです。そもそも20年ほど前まで新築をどんどん建てていた時代の家は6mm程度の誤差は気にせず、建具の取り付け時に現場合わせしていました。
それを土台を基準に「新築時より水平に直す」と建付けが合わなくなります。
素人であるお施主さんが云うならまだしもプロの建築関係者がせっかく水平を直した我々に「建付けを合わせてください」と云うのは「悪くしてください」と言っているんだ。と判っておいてくださると円滑です。

猫土台でしたが、今回の工事で「基礎パッキン」を挿入して、現行仕様に近づけました!


新築時と違って下から基礎パッキンを取り付けないといけないので、速乾ボンドで貼りつけて楔を打って乾くまで待ちます。


乾いたら次は、下からモルタル詰めて目詰まりさせないようにガルバリウム鋼板を挿入します。

↓アンカーボルトの部分はこんな感じです。

で、楔を移動させながらモルタル詰めです。


そして・・柱勝ちの施工されているくせに、柱脚が基礎天端に載っていなかったのを依頼されてないけど、直しておきました。




ユニットバスを再設置するために、浴室の基礎修復を大至急、行いました。

ps
お施主さんとお施主さんの愛車と記念撮影。

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。