曳家って何ミリの精度で、据付け出来るのか?想像できますか?
時には何十メートルも動かすのだから、「車はすぐに停まれない!」ように、家も、ぴったり停まれないんではないか?と思われる方も多いと思います。
5cmくらいは、ずれてしまうんでない?それを左官さんが上塗りで誤魔化しているんでないの?と考えるのは普通だと思います。
でーそれで赦されたら楽だよなー(笑)実は曳家は追いかけるなら誤差1ミリくらいの精度まで追いかけることが出来ます。
自分の場合、だいたい1ミリから2ミリの範囲です。
もちろん1ミリだけだから修正費用は無料と言うわけでは無くて、ジャッキを斜め掛けして押して動かす為に危なくないよう、きっちりと枕木を組み直さないといけません。
だから「出来ない」のでは無くて、費用が出されていない為に「やらない」が正解なんです。
多くの工務店さんや、監督は、精度を追いかける癖に、その手間賃を正当に評価していません。
理解出来てないから金額だけで評価してしまいます。
あのねー!例えば総予算1300万円の曳家工事で、据付け微調整費30万円をケチって、土台が基礎の真ん中に座っているのと、片側に寄ってしまって、荷重をきれいに受けきれてないのだったら、どっちを選びますか?
きちんとお施主さんに説明出来てますか?究極のリフォームは建て替えですが。色々なご事情から曳家や沈下修正工事を選んで下さった方に精一杯の工事をさせてください!

さて、今やっている足立区竹ノ塚のお寺の据付けも、いよいよラストスパートです。
向拝柱を沓石に据付けるのですが、古い階段をそのまま利用しているため、据付けに際しての自由度がかなり限られています。
何しろ、このお寺は後方に23cmも沈下していたので、必然的に階段も斜めになっています。石屋さんは左右の高さを調整したりして持って来ませんので、大工さんが、柱の長さを変えたり、鉛を敷いたりしながら近いところに持って行きます。

で、まずまずのところにセット出来たら、大先生(俺です)が、ジャッキを斜めにしながら柱の角度を追いかけて行きます。これがなかなか動き過ぎないよう、上手く滑らせながら停める名人技が要求されます。
きちんと希望する位置に停止するまで手間を惜しまず何度でも、粘り強くやれよ!と思う方もいるかも知れません。まあ、車も狭いところで縦列駐車を繰り返していると、あちこちぶつけて傷だらけになります。
柱も同じように、動くからと、何度もいじっていると傷みます。必要最小限の細工で、望む場所に動かします。さらには、沓石の上に枕木やジャッキが落ちて割ったりしないように気を張ります。


一人で作業してますが、大工さんや、お寺さんなど5人が見てくれてます。うふふ。上手くやりますよ(笑)柱が3ミリ、5ミリ!と動いて行きます。うしし。
普段はただの疲れたオヤジですが、たぶんこの瞬間はちょっとカッコいいです(笑)世の中の娘さん!奥さん!あなたのパパは実は、あなたの知らないカッコいい顔を持っています!もう少し尊敬しましょう。(笑)

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