2019年1月9日 9:44

古民家は耐震性が低いので販売してはいけないのか?

空襲の際に、焼夷弾による焼け跡が残っているお家の保存に、ついてのご相談を頂きました。

地元の名士の方が住まわれていたお家なのですが、現在は県外にお住まいとのことで、どなたかに活用していただきたい。との思いを古民家専門の不動産業者「どんぐり不動産」さんにお預けしてのご相談です。

たいへん風情があります。料亭や民泊施設としても検討できるようです。

御相談の中で「古民家は意匠として愉しむには良いけど、耐震性に難がある。と言われます。自分も地震が多くなってきた時代に危ないものを販売することは出来ません。親方は、どう思われますか?」とご質問されました。

確かに、これは明治期に来日したイギリス人建築家 コンドルの影響下で、剛構造による西洋式の建築設計が日本の耐震基準となっていることに一因があると思います。

たまたまなんですが、昨年10月くらいに到着した「建築士会」の会誌の中に、このことを建築家の増田一眞先生がもう少し掘り下げて書いていらしたのを読んだ後でした。

そこには日本の伝統構法と呼ばれるものが近代では簡素化され、石場建て=伝統構法のように認識されていて、昔のものより「水平構面」が減っている。という指摘がされていました。

※水平構面とは床材を含む水平方向に構造となる面を入れること。判りやすく書くと、クリスマスケーキ箱は、ふたを閉めている時は壊れ辛いですが、1面を開けると壊れやすくなりますよね?こうした原理から柱など縦方向ばかりでなく横方向も考えてゆけば家の強度は増してゆきます。

その他にも色々な補強方法を、検討して見た目はビンテージカーだけど。中身はハイブリットカーくらいの工事に挑戦させていただきたいです(笑)

こちらのお家は、両隣に一部が出ておりますので、建物の傾きを直すだけでなく、一部減築して30cm程度、曳家する。という案も出ました。

費用はかかりますが、将来に問題が残りませんから。それも選択肢としてはありです。

 

正月休みに、かつお親方に「閑だから、香川の島田兄さんとこに行きましょう!」とアポも採らないまま出発(汗)

「駄目だったら丸亀城を見てくればえいじゃないですか!!」           いやーーーん。城マニアの大工さんと行くと帰れなくなるよーー。

でも、良かった(笑)

島田さんいてくれて!!着いて早々に弟子を解雇した話や、受注するか?どうするべきか?悩んでいるお話など。あーー自分だけじゃないんだ。と、烈しく同意させていただきました。

その後は島田棟梁は片づけがありましたので、一旦、城大好き大工さんと丸亀城へ。三階からなる天守閣は通し柱が存在せずに、バランスを獲るために1層ごとにグッと内側に壁が入りながら。それらを固定するための梁の入り方をご教示いただきます(汗)  でも島田棟梁との夕食の約束がありましたので適度に切り上げて帰りました。

たぶん讃岐富士です。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

最近の投稿
コメント
アーカイブ
能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。