2019年4月14日 8:47

曳家バカ一代:またまた資材を増やす!

先代や家内からは、「もうこれ以上、資材を増やさない方が良いよ」と言われていたんですが・・またまた資材を追加購入します。

きっと、ずっと高知県だけで曳家を続けていたら、こんなことは無かったんでしょうが・・東日本大震災を契機に上京させていただいてから。

沈下修正工事以外にも大掛かりな古民家の修復工事をご相談いただくことが増えてきました。

そうなると、「土佐派の曳家」として大量のレールや枕木を使って荷重を分散させて丁寧な工事をさせていただくことを身上とする自分は、資材のやりくりにハラハラしておりました。

曳家が、古民家や社寺修復に呼んでいただく場合のほとんどは「基礎の造り替え」のために一旦、嵩上げしておいてください。という場合が多いです。

そのため、資材が出払っているために、泣く泣く諦めた現場もあります。

そこで昨年は、枕木1000本!H網 60本、金具80組を増やして、同時期に60坪と30坪程度の現場が重なっても自社資材だけで対応できるようにしました。

普通の地方の曳家さんとすれば枕木600本程度だと思いますので、昨年の時点でも既に枕木2200本は、かなりの資材持ちです。

しかし・・今回、またまた枕木1000本、H網200本、金具90組を増やします(汗)

実は、一旦、諦めていた登録有形文化財の家起こし(軸組補正工事)、嵩上げの仕事を正式にご依頼いただきました。

そうなると倉敷の和田先生にご紹介いただいた、夏から着工予定の奈良での古民家の曳家工事に資材が足らなくなります。

資材の購入費用や後々の保管のことを考えると、いっそ協力業者さんに御願いしてしまうことも検討するべきだと思うんですが「曳家岡本にご指名くださった方々」の期待を裏切らないように、資材を増やすことを選びました(汗)

枕木だけでも3200本の規模となります。これは業界を代表するような大手曳家さんが6000本程度ですから・・かなりの資材持ちと云えます。

幸いなことに、枕木とH網に関してはご高齢のため曳家を引退された方から購入させていただけることになりました。

明日の午後からは、怪我で入院していた安岡くんも復帰してくれますので。今の現場を終わらせたら、文化財修復のための準備を始めます。

建物の大きさとしては、1階が60坪程度ですから、かつて石巻市雄勝地区で施工させていただいた桑浜小学校(現モリウミアス)が150坪ですから、それよりはずっと小さいのですが・・使う資材量が、おそらく13・5トントラック4台分の資材で足りるかな?と思うほどの規模ですので・・曳家岡本史上最大の現場であることは間違いありません。

長期に亘る現場ですから、宿舎のことや、人員のスケジュールなどで悩ましいです。(※他の現場とどう回すか?)

高知県には、あちこちで良心市があります。現場のそばだと、「土佐文旦 3個100円」です。買ってきてはビタミンCを充填しています(笑)

画像は高知県を代表する河川、仁淀川。ここ川は水質日本一だとか?水面の蒼さから「仁淀ブルー」と呼ばれています。

50歳まで、四国ローカル(ほぼ高知県だけ)で曳家をしていた自分が、この8年間で急激に規模が大きくなってしまっています。

正直、怖いです。そして呑気にやっていられない立場になりました。

仲間に助けてもらいながら、気を張ってがんばります!

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。