それぞれの親方にこだわりがある!
NHKで放送された安楽死のドキュメント番組が反響を呼んでいるそうです。
自分も先代である父親の介護を通して、自分の終活を考えています。
大工さんの場合は「梁から落ちたら引退」と言う言葉があるそうですが、曳家の場合は、何なんだろう?
気を抜くと大事故につながる仕事ですから、「集中力が維持出来なくなったら終わり」なのかな?
自分がまだ坊主だった頃に高知と香川県で相次いで曳家施工中に、コロが違う方向に切れてしまい板から家が落ちるのを止めようと、床下に飛び込んで行った親方が相次いで亡くなりました。
香川県の例は新聞にも掲載されましたので50代の方の中には覚えている方もいるかも知れません。
自分も若い頃には、元請けの無茶な要求を断ることが出来なくて、GL(地面表層)から2m40cmも、嵩揚げしている状態で家を4cm動かしてくれ。と言われて、高い位置でジャッキを突き掛け(かやし)をしていて、枕木ごと崩れて吹っ飛んだことがあります。
枕木は高く重ねれば重ねるだけ揺れますから、こう言う危険は常にあります。建築士さんの中には、自分の描いたもの を現場の施工者に是が非でも、完全に再現させようとする方もいます。もちろん厳しく管理をしなくては手を抜く職人?も、いるわけですからそれは当然です。
甘い施工管理では赦されないところで戦っていらっしゃるのですから仕方ないです。
しかし逆に自分たち職人は、それに応えることで預かった建物や作業をしている自分たちに、どんな危険があるか?を正しく認識してそれを、お施主さんや建築士に伝えなくてはなりません。
こんな調子で仕事をしていると、安岡くんが「親方は(細かいんで)A型かと思ってたんですが、B型だったんですね。」と言います。血液型で人間性を分けるという何とも大雑把な考え方も、おかしいですが、何より仕事を細かく考えるのは当たり前なんだよなー。
細かいと云えば・・重くないところを揺れ止めに、少し枕木を請けておきたいな。という部分を、プレカット工場からお譲りいただきました、短い端材をうまくやりくりして、中クラスの枕木の山を組んだりしました。
Amazonで規格品を購入するのと違って自分たちの仕事は、それぞれの親方の「こだわり」を、依頼者に選んで頂くものですから。大きな相場感はあるとしても(感覚としてですが)2割程度の見積り金額の違いは、その親方の手間の掛け方の違いかも知れません。さて画像の解説です。
今から2ヶ月仮置きして おくわけですから、嵩揚げ作業中に出来たそれぞれ柱の誤差を再調整しています。柱によっては、添え柱を外して締め直す手間が発生します。
据え付けてしまえば結果は同じなのだから、仮置き中には、あまりこだわらない親方もいれば、そうでない親方もいます。
今朝はたまたまですが、びっくりするくらい大手ハウスメーカーさんから「曳家岡本」の施工写真をパンフレットに使いたいとお電話いただけました。一昨日は兵庫県の宮大工、広島棟梁からも同様のお申し出も!
自分のやっていることは画期的でもなんでも無いです。ただただオーソドックス。自分が当たり前と思うことをさせて頂いてます。自分は不器用ですから、今から体力や集中力の衰えに気をつけて、ご依頼いただける皆さまにご迷惑をかけない体制造りをしてゆかなくては!と、色々考えています。
PS 今日は現場を堅田さんに任せて、税理士事務所と自分の為の診察(日射しのせいなのか?ヘルメットのせいなのか?頭皮が痒い!)に行きました。引退したら房総半島で、ギャラリーカフェをオープンさせる。と強く決めてます ので、まだ元気でいたいです(笑)
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