2019年6月15日 19:34

古民家再生のご相談に対する実際の返答メールを公開します。

古民家再生と一口に云いましても、とりあえず見た目だけを直して、数年間、カフェか何かに使えれば良いよね。

と云うものから、終の棲家として、構造からきちんと直したい。というものまで色々とあります。

弊社がご招聘いただくのは後者のパターンです。

特に家起こしは、壁や天井を解体しないと出来ませんので復旧費も含めると、かなりの金額になります。

どうしても、この家を遺したい。という強い気持ちで無いと

「新築の方が安い」

「建築士さん(或いは大工さん)に新築を薦められた←新築の方が制約が無いので施工者は楽」

と、なります。

それでも構造からの再生をされたいとご相談いただく場合の実際の返答メールを一部修正して掲載させていただきます。

かなり率直に答えさせていただきます。

専門家って、名乗る方はたくさんいます。

ですが、車だと、高級車と軽自動車の販売店など専門が目に見えてはっきりしておりますが、 建築はその線引きがとても曖昧です。

簡単に言って、鉄骨の専門会社が平気で木造住宅を依頼されたら引き受けます。

これは依頼する方も、喫茶店に行ってうどんを頼んで「専門店のうどんと比べてまずい!」とは言わないでしょうから。 良いのですが・・ 判らないまま、高額な費用を無駄に使うのは・・どうなのかな~~。となります。

しかし、私どもを信じて、全て任せてください。というのもお施主さまにとって公平性が欠けると思うからこそ、 信頼できる建築士さんがいらっしゃれば。と返信した次第です。

全ての建築士さんが伝統構法の古民家の耐震化の専門家ではありません。

お施主さんから相談を請けた建築士さんは、誠意をもって対応してくれたとしても、 経験もないまま「新築」を基準としたリフォーム耐震の数式をお施主さまのお家にあてはめようとするかもしれません。

これは悪意の不在なままの不誠実です。

それだけ伝統構法の建築物の改修に関しては数値化されていな部分が多分にあります。 また1棟ごとのコンディションで相当に数値は変わります。

かかりつけ医のように後々のアフターメンテナンスを考えればご近所で。というのは人情としてはよくわかります。

近隣で伝統構法の改修を専門にされている建築士さん(デザイン優先でなく、構造をきちんと考えられる)を探されるのが理想だと思います。 当職にご相談いただきましたら、●●県でのそういう建築士さんを探すお手伝い程度はできると思いますが、 一緒に仕事をしたことがあるわけではないですから。 最後まで友好的にお付き合いしていただけるか?どうかはもしご紹介させていただいたとしても・・・確約はできないのですが。

ですが・・・たぶん私どものネットワークで「あの人なら間違いないよ」という紹介をもらうのは、試してみる価値はあるかもしれません。 最後にどの程度まで直すか?ですが・・ 正直、現状の沈下を直す程度であれば弊社の施工費は300~400万円程度で収まると思います。

しかし・・土台のつぶれや、不同沈下を考えると、見た目だけ、水平に直しておいて化粧しても人間で云えば骨は弱く歪んだままのものを 表面にベニヤやスパンで隠してきれいに見せるだけですから。 長く残したいというのであれば、それは考えるところだと思います。

近隣で伝統構法の改修を専門にされている建築士さん(デザイン優先でなく、構造をきちんと考えられる)を探されるのが理想だと思います。

当職にご相談いただきましたら、近隣でのそういう建築士さんを探すお手伝い程度はできると思いますが、 一緒に仕事をしたことがあるわけではないですから。 最後まで友好的にお付き合いしていただけるか?どうかはもしご紹介させていただいたとしても・・・確約はできないのですが。

ですが・・・たぶん私どものネットワークで「あの人なら間違いないよ」という紹介をもらうのは、試してみる価値はあるかもしれません。

長くなりましたが、高い費用をかけられての工事ですので。 よくお調べになられてご納得されてご発注されるようされてください。

※時々、相場?を尋ねられることがあります。自分も実はかなり「相場」は気にしてますし、情報は集めているつもりです。それでもモノでなくて手間ですから、どの程度の施工品質を追い掛けるか?で、かなり違いが出ます。

まあ、自分が「これくらいはやっておきたい」と思う施工内容を書くしかないんですが。

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。