奈良で、土佐派の曳家ちやほやされてます(笑)
奈良県 法隆寺のすぐ近くで曳家の準備をさせていただいてます。
今回は、地盤を嵩上げ~その後、地盤補強(GRRシート工法)をした敷地に、来年、曳き戻して据えつけする。という、なかなか長期に亘る工事となります。
なので、長期の仮置きにも耐えられる手間をかけた仮設H網組みをしております。
壮大さでは、今、基礎工事中の徳島の現場ですが・・
こちらは本当に小技を効かせた良い仕事が出来ています。そして後で詳しく書きますが、奈良、京都は社寺が多いせいか?私ども「土佐派の曳家」の技術が求められる市場があるようです。
皆様に褒められて、嬉しくてノリノリでやってます(笑)
まず全体を30cmほど嵩上げしました。
やっと粘土質の地盤からH網が抜け出せました(笑)。
石壇があるので、一気にH網を貫通させることの出来なかった範囲。
持ち揚がったので、その上をH網を通すことが出来ます、
H網を通すために、一旦、柱を掴んでいた金具と廻りを囲んでおいた枕木を撤去します。
あ~~あれだけ苦労して組んだ細工があっと言う間に消え去ります。
そして、H網の耳を利用して丸柱の底部の荷重を受けます。
もちろん柱は掴んだままなんですが・・こちらでも2重に受けておくことで、より安心・安全で傷まないように出来ます。
隣家との狭い境界内で、H網が、はみ出さないように。四方に対して、およそ20cmづつしか出ていないように組み上げました。
これは「偶然そうなった」わけではなくて、2m50cm, 1m50cm, 30cmと3種類の長さのH網を持ち歩いて状況に応じて繋ぎ方を変えているからこそ出来ることです。
玄関のサッシ枠を取り外すと、以前のリフォームの際にカットされていた横架材跡が出来の悪い「埋め木」のように、なっている部分を発見!
柱の欠損率や周囲の改修計画の中で、根継ぎにするのか?抜き換えにするのか?は建築士さんと大工さん、そしてお施主さんのご判断となります。
曳家が大工さんと相判すると、嵩上げしますから、柱を抜くのは、かなり簡単です。
自分らとしては、どちらにせよ。この柱の荷重を抜かなくてはなりません。
さらに、曳家する際に柱が折れても困りますので、組み上げたH網の上に枕木を組み上げて、梁を突きあげることで、柱の荷重を逃がす細工をします。
↑これは、玄関部分では無くて、その1本、内側の梁です。
右側の大黒柱は、白蟻被害のために完全に抜き替えです。
白く見える矢印は、後日、光りつけしてもらって荷重を受ける箇所を伝えるためのもの。
現状の中心に見えるオイルジャッキは、大工さんが登って作業するのに、枕木が揺れないように仮に効かせてあります。
宮村棟梁が見学しておきなよ。と、声かけてくださる大工さんたちのご反応が嬉しいです。
今日は京都から、宮大工の中島棟梁が立ち寄ってくださったのですが、「ここまで細かな曳家さんを初めて見ました。これは後仕事が(大工としては)楽ですね」と宮村棟梁と話してくださってました。
自分が「自分らは昭和南海大地震や伊勢湾台風の復興のために興隆した、宮大工、船大工などの流れの中にある曳大工の末裔なんです」「今の重量とび職系の曳家さんとはまた、違う立ち位置なんです」とご説明させていただくと得心してくださってました。
ps
今まで、このような評価は、須賀かつお棟梁がずっと言い続けてくれていたんですが・・まあ、かつお棟梁は身内ですから、あまり本気にしていませんでした(笑)
ごめんで、かつお!
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