2020年4月8日 19:33

曳家岡本 京都初上陸!

曳家岡本初京都です。

今まで町家の家起こしなどの現地調査に呼んでいただいたりで、何度か京都には足を運ばせていただいてましたが。 とうとう今回は資材も運ばしていただけました(小笑)

これで既に12cm揚げた状態です。



でーー。 このお仕事は京都を中心に地盤業界では有名な「株式会社 伸洸」の西村社長直々のご依頼です。
www.e-jiban.co.jp/concept.html

西村社長と「まだまだ世の中のほとんどの人は、地盤や基礎にお金を掛けることを(勿体ない)と考えているよなー」などと話します。
確かに我々も、沈下して傾いている家を床で直してしまう工務店や大工もいますし。
プロで無い方が少ない道具で、乱暴な揚げ方を 建物を傷めている画像をあちこちで見ます。
多くのお施主さんにとっても「見た目」や「使いかっての良さ」とかが大事であって、建物の強度とかはあまり関係ないようです。
地盤もさらにそうだと思います。

残念ながら、大工さんでさえも「N値」って何ですか?と聞かれる始末です。

「構造塾」佐藤先生が提唱されている「地盤と上部構造の一体設計」には、まだまだ遠いのが現実です。
まあ、そういう地盤にお金かけたくない方がいるんで、沈下修正業者は仕事があるわけですが。

まっ世の中の誰もが健康に気を使って野菜をたくさん食べて適切な運動していると、医者も閑になるんでしょうが。
少なくとも、自分が引退するまではまだまだ沈下修正工事しないといけないお家は無くならないかと思います。

さてさて、せっかく地盤の神様と一緒にいられる機会ですので、 今更、聞けない素人丸出しな質問をぶんぶん投げさせていただいてご指導いただいています。
最高だよな(笑)

「やっぱり岡本さん。そばに湿地のような池があるとか。そりゃ駄目じゃない。俺なら鋼管打つな」

「レッカー入るようなら吊って鋼管圧入機を入れるしかないやろ。」

「搬入条件悪ければシート工法も検討したらえいけど。あくまで重くないことが前提やからな」

「平米あたりの荷重を出してくれたら、ピンの本数を出せるよ」

「●●工法よりは●●工法だよ。出来るなら」

などと、いぶし銀の渋いお言葉の数々に痺れてます(笑)

自分がこれまで現場で何となく知っていたことを、丁寧にお教えいただいています。 でーーーー。

現場の方ですが・・ まあ、ご覧の通り、しつこく枕木組みまくりー。
光つけお願いしまくりー。です。

いやぁ~。本当はこんなにも枕木組むつもりで無かったんですが・・ 予想外の?の白蟻被害もあればで、「ここも組んでおいた方が良いな~」を繰り返してゆくと、こうなりました。

堅田さんに「ちょっとしつこすぎたかな?」と聞くと 「いつもと同じじゃないですか」と笑われました(汗) そうかーそうかー。そういう評価なわけです。

まあ、根性無しなんで仕方ないです(笑) 今回の現場は、おおよその方針は考えながらも現場判断でがんがん変えてゆく必要性のある作業です。

日本の職人のブリコラージュの凄さを京都からお伝えしました(笑)
まあ、「大きな」「重い」家では無いですから、余裕の反射神経で、ばしばし打ち返してゆけました。

それと(株)伸洸さんとのJV現場ですので普段は我々が使わない「ジャッキ架台」(耐圧板工事とかで使用します)をカットした柱の下に設置してゆくのも新鮮でした。

桁が白蟻被害を受けていた箇所は、この架台を使って直接、柱を揚げることが出来たんでなかなか便利でした。
柱の足元は元請けさんの方針でコンクリートで巻くことになってますので、含水しないようガムテープで養生されてました。

ここらへんは各建築士さんで方向性の分かれるところです。

 
ps
京都で古民家、空き家の再生工事を専門に手掛けていらっしゃる寺川徹建築研究所の寺川代表が覗きに来てくれました。

で~「曳家岡本さんって、こういうクラスの現場にも対応しているんですか?」

してます。してます。大好物です。
すんげー立派な文化財やお寺だけじゃないです。
もう呼んでいただいたら柱1本から揚げに行きます!!
と云う訳で明日で現場は一旦撤退なんですが、自分は寺川代表に連れられて急遽、京都市内で、他の古民家の沈下修正相談に出向かせていただくことになりました。


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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。