川崎で豪邸の沈下修正インスペクション
昨日は神奈川県川崎市の高級住宅の沈下修正工事のご相談をいただいて、現地調査に参上しておりました。
※今回の画像は全て参考画像です!!
もちろんせっかくなんで、千葉県市原市にある倉庫にも少し資材の運搬にも廻りました。
さてさて・・ こちらは築33年なんですが・・当時Mホームさんが、2億5000万円ほどで建てて、コンテストでも受賞をされたという大豪邸です。
それを昨年取得されたお施主さんから、「家が傾いていて、家内が心配しているんだ」とご連絡頂きました。
例の大規模現場の片付けのために、皆さん大型トラックと共に高知の倉庫に帰っておりますので。
ここは親方自ら・・出動です。
いや。違う。実は、防蟻屋さんが撮影された床下画像を拝見していて。 基礎フーチングの下の空洞や、土台?と基礎天端の間が7cmくらい浮いていてそこに、詰め物をしていたけど。現況はそれさえも浮いています。
これは自分なんかがいきなり出て行って「これはたいへんな状態でっせー。早よ直さんとあきまへん」と煽るよりは、第三者として、住宅診断をされているホームインスペクション会社さんに見ていただいた方が良いんでは無いでしょうか? と返答させていただきました。
しかしお施主さんからは「いや。工事するなら岡本さんにお願いすると決めているんだから。初めから岡本さんに見て頂きたい」と・・俺が悪徳業者だったらどうすんですか???!!なお言葉。
まあ、単純ですから、こう言っていただけるんでしたら、不肖 岡本直也、出来る範囲でインスペクションさせていただこうじゃないの! いや。すみません。プロには及びませんのでせめてインスペクターさんなら、こう言うかな?と云う視点でお話させていただきました。
まず、Mホームさんのお家です。 これは自分の本「曳家が語る~沈下修正ホントの話」の中でも書いておりますが。 Mホームさんのお家の土台は、基本2ツ割です。(通常の105mm角 3寸5分と云われる小口を半分にカットしたものです)
これはコンクリート基礎天端の上に載っているんだから、充分な反力が獲れているから構わないだろう。資材の原価も節約出来るし。と云う考えからだと思います。 土台に使われている集成材もしくはベイツガなど一般住宅の場合、原価はせいぜい5万円程度ですから、ここを半分に節約することで、どうなんだろ?と思うんですが・・ メーカーの方たちは、数で勝負ですから、少しでも原価率を下げるための研究をされているわけです。 要するに建築思想の違いでして。表層部以外のリフォームを前提としてないわけです。
で、お施主さんに、Mホームさんのそういう構造的なリフォームに適していない建物であることをご説明しながら。
もし沈下修正工事をするならば、土台が弱いんで折れると困りますからジャッキの数を増やさないといけない。すると初めにメールでお伝えしていた概算よりも費用も高額になる。
しかも、不動産屋経由でいただいていた間取り図では判らなかった、1階FLが段差ありまくりの「おしゃれ」空間なんです。
※水平構面としてはこういうのはどう力の作用が働いているのかな?
まず通常の敷居や天井からのレベル測定では見切れませんので、マーキングテープを使いながら、高さの違いを写しとりながら家を数字を見て行きます。
ここまでで既に4時間。 で・・床下に入るのですが・・人通口が大きめの風窓のような造りで、匍匐前進では入れません。 また、棺桶になっている部分もあります。
なんとか背中合わせになっている基礎梁から数字を拾って、答え合わせのようなことをしながら・・まずまず床上と数字も合っているんだな。
結論として、受注には至りませんでした。
約13mの長さで最大50mmの沈下でしたので、1000分の5(1mに対して5mm以内の傾きであれば瑕疵には当たらない)という説明をさせていただいて。
「もちろん、お家は真っ直ぐ建っていてこそ荷重は分散され危険も少なくなりますが。現状がたちまち危険かというとそうも言えないです。床レベルで直すのみでも使用できます」
お施主さんには、物凄く立派なユニットバスも、おそらくは新築時はタイル貼りのお風呂だったはずですから、工事をするなら取り外さなくてはならないこと。
玄関部分のタイルは造り替え。それと現状のサッシや襖の建てつけが全て調整されているのも直すと、逆に合わなくなるので、こちらも大工費用が発生することなどをお伝えいたしました。
このお家の大きさ、堀車庫の上に階段を全て手運びで搬入、搬出しないといけないことを考えると。 まずまずの金額になります。
お施主さんには「工事をしなくても良いと言ってくれるなんて良心的だよ」とお褒めいただきましたが・・で、「岡本さんお風呂使ってください」とシャワーも使わせて頂きました。
どうなんだろ?ホームインスペクター的な見方は出来ていたかな???
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