2020年10月15日 20:37

茶室の曳家、家起こしの準備してます。

東大寺です。
現場近くを作業着で歩いていると観光客の方に「●●殿は、こちらでしょうか?」と尋ねられますが・・そんなこと言われても・・こちらは千葉県から来てる曳家さんなんで、???です。
すみません。

さて、石場建ての建物を曳家する場合の、曳家岡本の施工パターンとしては、大引きより鉄骨を低く組むとこから始まります。

もちろんここに来るまで、堅田部長と川崎くんが、土やコンクリートガラ、礎石の撤去を地味にしてくれています。

大工さんにも、嵩上げすると当たってしまう屋根を剥がしていただいたり。
切り離しや、頬杖を取り付けていただいたり、と、なかなか面倒です。

「ここは解体しないままで曳家してもらいたい」

「ここは家起こしをするために(解体も)やむを得ない」

などを相談しつつ。

200年前の建立ではあるものの近年の改修部分の細工の良くない部分、の補強や差し換えをどうするか?

「とりあえず見通しの良い位置に曳き出して、お施主さまに見ていただこう」

と、相談しながら・・

画面右側の川崎くんの右手のそばの柱を、造り物を遺した状態でどう持ち揚げるか?
ケンケンガクガクの思案をしながら・・

もちろん自分も大人ですから、堅田部長に「お任せしますよ」と委ねますが・・
さらに大人な返事が返ってきます。

「嫌ですよ。せっかく枕木組みの生き字引と一緒にいるのに、その技術の引き出しを見せておいてもらいたいですよ」

はいはい。
死ねと云うことですか(笑)死んだら勝手にやりますよ。ですね(笑)
それまでどうぞ搾り取ってください(笑)

もちろん、目立つ場所ですから、上部では掴めないです。

すると、夏に千葉県夷隅郡御宿で行った古民家の嵩揚げの際のように、足元を掴めば良いのか?

うん。これも一つの解決方法ではありますが・・
これは柱を掴むための金具が6セットも必要になります。

今回は、トラックの積載荷重の都合もあって、余分に持って来ている資材が、いつもより少ないです。
すると・・限られた金具や資材で同じ効果をあげる方法を考えなくなります。
限られた資材でやりくりしてこそ人間は成長します(←お前が言うか?!!)


ホームページ作成業者やコンサルタントの方たちは、
ビフォーとアフターだけを同じアングルで見せるだけで十分なんだ。と云われる方もいらっしゃいます。
でも、それは意匠系の建築士さんや、リフォーム屋さんのホームページではそうかも知れないですが。
我々は違います。
我々は、手間やどうすることでお家を傷めず、より良く改修できるか?を考え続けます。
その手間を知っていただくために、ブログを書いています。

ps
曳家岡本のホームページもよろしくお願いいたします。
お気軽にお問合せください。
今月26日頃までは奈良県、その後、東京~千葉におります。
近隣の方はぜひぜひ!

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。