曳家のワイヤーの角度について
奈良県に戻りました!
おしゃれなカフェ・・では無くて、奈良県庁の6階の食堂からの風景です。
茶室の礎石の設置、地盤改良をされている間に、東京では諸先輩方の事務所に訪問させていただいて、本当にご親切にしていただきました。
ありがとうございました!
で、今回の上京は、「内装施工クリエイターズ」主宰の上野さんが、自分たちの千葉新倉庫の近くの病院跡を長期賃貸して、トライされている「いすみの森再生プロジェクト」の一環として、渡り廊下の沈下修正工事の監督をする。という約束を果たすためのものでした。
上野さんが、「せっかくならワークショップやりましょう!」と言って下さったんで・・
50代ラストデイを「人生初ワークショップ」講師をさせていただいたんですが。
意外と参加者も14名もいて、そして道具が無いと出来ないような再現性の無いものになったにも関わらず。
みなさん
「ここまで体験させてもらえて良かった!」
「(沈下していた)柱が揚がった瞬間の感動が凄い!」
「(斜めになっていた)柱が10cmほど動いた瞬間は鳥肌モノ!」
と喜んでいただけて、めでたしめでたしでした。
ご準備と後片付けをしてくださいました、上野さんと、後藤さんご夫婦に感謝です。
そして翌日の片付けにも来てくださいました「合格ロケット」「教育的ウラ指導」の荘司さんご夫婦にもいつもいつもの感謝です。
今回の注目ポイントは「逆曳き」です。
画面左方向に建物を戻すわけですが、引き込む側にウインチが置かれていません。
ウインチは進行方向と逆の後ろ側にセットされています。
これはどういうことか?と言いますと。
元の位置に近い側に曳くと、曳き終わると、ウインチ及び周辺工具を撤去するのが狭くなるため、出すのが面倒になります。
なので、後の片付けを考えて後ろ側でウインチを巻きます。
建物は離れてゆきますから、片付けが楽ちんです。
ところで、小さなレールを使う「土佐派の曳家」岡本としては、揺れないように車輪の下にも「鉄橋」のようにH鋼を通して、その上に枕木を載せてレールを敷いています。
ほとんどの方は建物の下に鋼材を使うことで枕木の不同沈下を抑止して水平に曳家する為に、こういう工法を選択しているんだろう。と考えるようです。
しかし、それは半分だけ正解です。
実際には、上のへたくそな図を見ていただきたいのですが、曳家するに当たって、台付けのワイヤーを建物に対して出来る限り水平に採れるようにするために、「鉄橋」を組んでます。
ついでに書き足しておきますと、
家を曳くために凧を飛ばす際に取り付ける糸のように「ふんどし」のワイヤーの角度も、建物より建物の長さの3割程度前に先端が来ていると、きれいに曳けます。
台付けが近くなってしまうと、やむを得ず、下図のようにふんどしのワイヤーの先端が建物の中に仕込まれることになりますが。
こうなると動かす際に、スムースに動きません。
もっとも、これらは素人の方が見てスムースに動いているのか?そうで無いのか?違いは判らないと思います。
ですが、判らないからと言って粗雑な仕事をすると気分が良くありませんので、出来る限り上図のようにワイヤーを張っておいて、近くなってやむを得なくなってからのみ、角度を小さくしています。
進行方向側に雨水枡と側溝があったので、それを回避するために、枕木をだぶらせて幅を採るという手間をかけています。
真っ平な場所を自由に曳家しているのでは無く、上や下に障害物がある中、曳家するのは手間が全く違います。
週末には据え付け出来る予定です。
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