曳家には流派があります!
曳家には大きく分けて2つの流れがあります。
一つは、重量物を動かすことから発展した「重量とび職」系曳家。
もう一方は、船大工、宮大工から派生した「曳大工」と呼ばれていた大工系曳家です。
どちらが上だと云うのでなく、それぞれに得意不得意があります。
「曳家岡本」は後者ですので、RCの建物など重いものは苦手です。
逆に土台のホゾ抜けを直す、歪みを直すなど上部構造の改修では力を発揮させて頂けます。
建築に携わる方であれば、誰でも、建物の荷重は柱が9割を担っていることは当然、ご存じなのですが。
石場建ての場合、柱を掴まずに敷居と鴨居の間にサッポードを入れておいて、敷居を土台代わりに見立てて、ジャッキを掛ける方々がいます。
それは、運よく建物を持ち揚げることが出来るでしょうが、ホゾに無理な負担をかけるわけですから「見えないところで」接合部が傷みます。
石場建ての建物を持ち揚げる場合に、↑の画像のように柱を掴みますが、土佐派の曳家は1本の柱に対して、両側にH鋼を通して、その上に枕木を通します。
柱に対しては添え柱を金具で取り付けます。
この添え柱にボルトを貫通させず鉄板で持たす方法を建築士さんは驚いてくださりますが、これは摩擦力で1本あたり約2トンまで対応できますので、自分はこの組み方が良いと思って続けています。
しかし多くの曳家さんは持参する鋼材を減らすために1本の柱に対して、片側にH鋼を取り付ける場合が多いようです。
それも添え柱を取り付けずに、柱にそのままH鋼をワイヤーで取り付けていることも多いです。
これでは、摩擦力が充分に採れると思えません。
以前のブログにイラストで説明書きましたが、曳家する際にも出来る限り建物に対して水平にワイヤーが張れるようします。
昔は、擁壁等に杭を打って、そこから台付けを採ってましたが、そうすると下に引きつけるので無理な力が家に働き、やはり微細に傷めます。
家起こし(軸組補正工事)をする際には、先に水平を直し、その後に何点かは梁を突いて動き易くしておいてから、足元が一緒に動かないように足元は逆方向に突きながら補正してゆきます。
今はコロナ禍で、「安くしないと受注できない」と無理して仕事獲って、下請け叩きが烈しいです。
自分は、もうそんなに長く現役を続けられない年齢ですから不満足な工事をするよりは、スターバックスコーヒーの価格でスペシャリティコーヒー並みの施工品質を心がけています。
しかし現実には、この2か月間は、ディスカウントストアのインスタントコーヒー並みの施工価格を望む問い合わせしか入りません。
でも、きっとこの手間を理解してくださる建築士さんからお声がかかる。と信じてます(笑)
先週、家内が乳がん検診のために帰省していた際に、祖谷温泉の近くのスーパーマーケットに寄りました。
わらじあげ、という大きな揚げが有名なお店です。
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