2021年4月28日 11:59

曳家岡本 淡路島 初現場です!

川崎市での現地調査に向かう途中で、文化財修復をされている宮大工の広島秀明棟梁(木匠和水建築)さんからお電話頂きました。
「淡路島で古民家の柱の根継ぎをしているんだけど・・添え柱を取り付けた金具が荷重に負けて滑っている」と・・。

どうやら、阪神淡路大震災の際に足固めの部分が揺れて折れていたようです。
ここに荷重が集まっていました。
曳家としては全体を少しづつ矯正して、水平を戻したいところですが、将来的なご利用計画も含めてそこまでの規模の工事は出来ませんので。
この柱のみを根継ぎする計画です。

広島棟梁は、一昨年の徳島での豪商の古民家修復にも何日間か応援に入っていただいていました。
その時に、使っていた柱を掴む金具等をご自分でも作られて利用されていたんですが、今回は重いので、自分が工具持参で、手伝いに呼んでもらいました。
上の画像のように、金具を増やしてジャーナルジャッキでガッチリと受けます。

柱下を一旦、真っ直ぐにカットして。

柱下に、ジャーナルジャッキを掛けます。
これで一旦は添え柱に頼ることなく、柱を安心して持ち揚げらます。


可能な限り、ジャッキを掛けたままの状態で作業します。

いよいよ仕上げですので、柱下のジャッキを外さないといけません。
でも、添え柱の金具が僅かに滑ります。
仕方ないので、鴨居の吊り束下にサッポードでジャッキ掛けて、荷重を分散させます。
古民家ですので、通風のために床下の真ん中あたりが地盤がすり鉢状に低くなってますので、枕木組み辛いのですが。
まあ、そこは42年もやってますから、「これはこの程度の組み具合で構わない」との判断くらいは出来ます。

いや~~。無事に根継ぎ出来ました。
自分はスタコラサッサと帰路につきましたが、広島棟梁はこの後、足固め等の復元もされていたと思います。
お疲れ様でした。

休憩時間に広島棟梁の出身地である東京亀戸や、砂町商店街の話で愉しく過ごさせていただきました。
曳家岡本は「高知の岡本さん」「千葉の岡本さん」と云っていただきますが、実は家族全員、江東区大島に住んでますので。
「江東区の岡本さん」でもあるんですが。それは意外と知られていません(笑)

五の橋をヒューレットパッカード本社方向に抜ける狭い道中にある「千鳥軒」さんとかにも行くくらいは、亀戸、砂町あたりに馴染んでます(笑)
今の時代にラーメン400円は凄い!しかも結構おいしいです!
もちろんおじいちゃんとおばあちゃんがお二人でやってます。


自分もセミリタイアしたら、他に特技も無いですから。
今回みたいな「柱1本だけ取り換えたいんで、工具持参で指導もお願いします」みたいな仕事をしようかな?と言っていると、広島棟梁に。

「こんなことやろうとする大工が何人いるかな?」と究極の現実を突きつけられました(汗)

まあ、一人でトラック運転して、あちこち行ける間はフットワーク軽く。
どこでも行きますのでお気軽にお声かけください。

hikiyaokamoto@gmail.com
まで~~。

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。