2022年6月3日 18:08

世田谷「三体の家」通気の重要性を学ばせて頂いています。

中国発SF小説の傑作「三体」にちなんで、「三体の家」と呼ばせて貰っている特殊な造りのお家の修復工事が続いています。
「戦争は始めることより終わらせることの方が難しい」と書かれていますが、こちら「三体の家」も、どこまで直せば良いか?に迷うところです。


例えば「通気を確保するため」に大量の土で埋め尽くされていた土間を斫り、35トンもの、土を搬出してゆく中で予想外の傷みが現れてきます。

大量の石も出て来ます。


玄関側の日当たりの良い部分が飛び石のように白蟻被害がありました。

さらに、烈しい雨が降った日に、作業をしていて判明したのですが。どうやらこの周辺の基礎のフーチングと立ち上がりに、亀裂が入っていて雨水が床下に侵入していることも発覚しました。
これを問題点(の一つ)が判明したからある意味良かったと捉えるのか?見なかったことにしてチャンチャンと自分の工事のみを進めるのが良いのか?

自分は、土壁も塗り直して撤退の日に最後になって「あー。この2本の柱、根腐りしてるから気をつけてね」と言う大工にはなれません。

この亀裂がどういう問題を孕むのか?「構造塾」グループの掲示板で教えを募りました。
すると・・

福井市の福登建設、清水社長から以下のようなアドバイスを頂きました。

「単に柱を受けたり床を受けたりだけだったら、まぁ、そんでもいいかなーとは思います。ただしそのフーチング+立上りのラインで耐力壁を受けてるならダメっすw あと、直交してるっぽいんで、その直交してるラインでも耐力壁があればダメっすw

まぁ、要するに、水入ってくるってのは、フーチングと立上りが分離しちゃってるってわけで、正直、力の伝播はできひんと考えるべきなわけっす。直すなら、下のフーチングと立上りも含めて、全部をサンドイッチできるような配筋処理とコンクリート打設って感じっす。

僕が社長に頼むなら、「土台、ジャッキで浮かしといてw」ってゆって、立ち上がり作り直しますw」

 

独立の柱も、図面上は「鉄骨」ということになっていたんですが・・
檜(木材)でした!!しかも腐食しています。
しかし・・鉄骨で無いなら「結露」の心配は無くなります。


↑梁も鉄骨と説明いただいてましたが、木造でした。しかも白蟻被害あります。

「岡本は甘い。なんでも正直に言っていたら、費用が増大して依頼が無くなることもあるだろうが」とも言われますが・・・
漫画「正直不動産」ではありませんが、例え仕事を逃がすことになったとしても、
問題点を見つけたら隠すことなく伝えて、その上でどう直すか?はお施主さん(もしくは建築士さん)に決めていただく姿勢で生涯を終える覚悟です。


↑そんな、ゴーイングマイウェイぶりを新創刊の建築雑誌「木と建築」でインタビューして頂きました。

こちらのお家は、工事を止めてくれ。との連絡がありまして、
本日、一旦、清掃をして現場を抜けることになりました。

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。