徳島県吉野川市で古民家(商家)の沈下修正工事:揚げきれませんでした。
吉野川市で古民家(商家)の再生工事。一旦 撤退しました。
全ての柱を持ち揚げて、水平に直しましたので、ここからは基礎工事にバトンタッチです。
と・・・書きたいですが。大黒柱とその隣の住居部分の柱が71mmジャッキアップ目標でしたが、47mm揚げましたが、
残り23mm揚がりませんでした。
前回のブログにも書きましたが、この商家は大黒柱が1階部分までで終わっていて、2階の荷重は今まで受けていませんでした。
今回の改修工事の過程で、これはいくらなんでも。と欠損部分を日浦棟梁に埋めてもらいました。
この商家は1階と2階の間に、70cm程度の屋根裏部屋のような空間が拡がっています。
これはお施主さん曰く「戦争時に、財産を隠した部屋らしい」ということです。
この空間には、当然、2階を支える「束柱」が入っているのですが。
その新たに挿入した埋め木も含めて「潰れる」ほど、ジャッキで押し揚げたのですが。70mmの沈下を50mm程度まで是正できたものの、重くて揚げきることが出来ませんでした。
これは力学的に考えておかしいです。
水平に直ってゆくにしたがって、荷重は分散してゆきますから、軽くなってゆくはずです。
しかし、実際には「無理に突き揚げている感触」がジャッキ棒に伝わってきます。
弊社では、大まかな部分は、堅田工務部長と宏くんがペアで両側のジャッキを建物の音を聴きながら押してゆきます。
しかし、「怪しい感触」の時のみ「親方、押してもらって良いですか?」と自分が呼ばれます。
昨年、淡路島で同じように、古民家の沈下修正工事を行った際も、「これ以上、押したら柱が割れる可能性がある」と伝えて、兵庫県在住の宮大工 広島さんが「これで収めましょう」と云ってくれて止めた経緯があります。
今回も建築士であり、お施主さんでもある(株)ハテナバコ クボタさんに事情を説明して「我慢」してもらいました。
本来なら、この原因を突き止める計算をして、正しい修復計画を探さなければならないでしょうが。
それは時間的にも費用的にも、実際の作業手間を遥かに越える費用が掛かりますので、重要文化財クラスでないと行いません。
自分に想像出来る原因は、ここはもしかして建立時に合ってなかったか?もしくは、隠し空間を造る時点で、沈下していたものに「束柱」を立ててしまったが為に、それが突っ張ってしまって揚がることを阻んでいるのではないか?
今回は少々、重い内容でしたが、現場の方は台風にも負けず、明るく愉しくやれました。
近隣で、このような工事が行われるのが珍しいことゆえ、たくさんの見学者が来てくれました。
鴨島の「松島組」さんのフィリピン人実習生が来てくれたので、流暢な英語でで「フィリピンなら、カリスティック(フィリピンの棒術)の ダン・イノサント師父 知ってるよね? ブルースリー と闘った人だよ」と話しました。
若い2人は、世代的に判らなかったようですが、御互い笑顔でした。
誰でも自分の国の文化を少しだけ知ってくれていると思うと嬉しいですよね。
以前に、東京で電車の中で、外国人の小学生くらいの女の子に席を譲ったら、可愛い笑顔で話しかけてくれて「ルーマニアって知ってますか?(笑)」と聞かれて、何も答えられなくて彼女がとても哀しそうな顔をしたことが忘れられません。
なので・・事前に見学者のプロフィール判っていれば、ネタを仕入れておくわけです><
早くも基礎工事が始まりました。
次回、この現場に据え付けに戻る際には、もしかすると「構造から直す古民家再生」セミナーを四国初開催するかもです。
ps
徳島県の隣、高知県は出身地ですので、終わったら遅い盆休みを採るつもりでしたが。
次の次の現場に備えて、廃業された曳家さんから頂いていたジャッキと、錆びた鉄骨の塗装をやってます。
気の合う仲間と皆さんに喜んでいただける仕事出来るのは幸せです。
ps
いつも長いブログ読んでくれてありがとうございます。
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