2023年8月23日 6:05

新潟 土台揚げ沈下修正工事「凡事徹底」

新潟なかなか苦戦してます。


↑ここは下屋部分なんで、この程度、ジャッキの間隔を飛ばしても揚るだろう。と考えていたんですが「重い!!」

↑諦めて2階建て部分と同様にジャッキを追加セットしました。

この間隔なら「建物を揚げているんだから少しくらい壁は傷むもの」と考える方もいると思います。
自分たちは見た目の傷みだけでなく、構造材が傷むのをすごく嫌います。
これは土佐派の曳家が大工をルーツとするからだと思います。

施設の事情を配慮してお盆休みを利用して斫り作業を進めましたが。やむを得ない部分が出てくると昼休憩や休日に作業進めています。

来館者向けに自動ドアのフレームの下は斫った後に、楔で仮受けして、さらに砂を詰めました。


従業員出入り口や洗面台をなるべく普段通り?使えるようと、復旧時の為に配管を遺したい箇所があるので、
どうしても枕木の組める箇所が限定されます。

それゆえ、バックヤードに関しては壁を解体して「伸ばしナット」をセットさせて頂いたりと、あの手この手です。
少しでも建物を傷めたくない気持ちと、お施主さんや来館者へのストレスをかけないようにの間で苦心してます。




まずは最大沈下部分から揚げ始めてます。


なるべく基礎梁を斫らないように配慮しつつも。風窓も「応援ジャッキ」をセットします。
ここも、そのままセットするんでなくて、外側にも枕木を組んで揺れないように配慮します。

玄関ポーチ部分は丸柱をカットしました。



なんと!8月20日、21日とサトウ工務店さん、お施主さんのご厚意で見学会+体験会を実施して頂きました。
これは新潟県で建築業に関わるもの同士での学びあう「住学」の勉強会なんで建築のプロオンリーの参加です。

今回は床下が70cmもあるんで、皆さんに入って頂けました。

みなさん。「伸ばしナット」に驚愕してくれます。
でも次の改善も考えているんですけど、まだまだ~。



今回は建物が1階60坪ほどもありましたので、自分のレーザーポインターでの測定がどこかで写し直しがあったら恥ずかしいなーと心配してましたが。
堅田さんが「あれだけ小まめに測っていて間違いあったら辞めないといかんですよ」とプレッシャーをかけます(笑)
結果は見ての通りで、「凄いですよ。ぴったりです。レーザーでの確認いらないくらいです」やるけどね。

最期に芝生側で記念撮影。
次に新潟に来る時は、堅田さんが「あの夏は暑かったな」「あの頃はまだ先代も生きていたな」と思い出してくれるかな。

最期にFUJI ROCKに参戦して、骨折している中、無理して来てくださった住学3代目校長、ユー・ハウス工業の五十嵐直樹さんの嬉しい感想を掲載させていただきます。
「岡本さん、今日は現場で学ばせて頂きありがとうございました! 宮崎さんも言う通り地味ですが、だからこその「凡事徹底」 金額などを理由に誤魔化す事をしない岡本さん達のお話、背筋を伸ばされました。 精進します」

サトウ工務店佐藤社長、住学 事務局の庄司さん ありがとうございました。

 

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。