能登半島地震で、社寺や伝統構法の建築物の修復をご検討されている皆さまへ
ただ今、新潟県中央区で土台揚げ沈下修正工事を行っております。
昨年に引き続きお声かけ頂きました「オーガニックスタジオ新潟」様には深く感謝いたします。
さて、石川県からの社寺、伝統構法の建築物の修復のご相談が増えてきましたので、石場建て建築物の修復に関する基本情報をお伝えしておきます。
まず石場建て建築物の場合、土台がありませんので。
ジャッキをセットするためには壁を落して添え柱を取り付けなくてはなりません。
また直下率が悪いところは、下から枕木を組み上げて、サポートしなくてはなりません。
地震で揺れて変形したもを「水平を直した後に、垂直を直さなくてなりません」
家起こしは建築物を起こす過程で「倒す」リスクとの闘いです。
たくさんの枕木を使用してバックアップします。
古い農家の家起こしをしている場面です。
↑家起こしをしましたら、元に戻らないように、仮筋交を入れてゆきます。
地震により歪んで変形した建物は癖が付いてしまっていますから、
「柔構造を剛構造に換えなくては正常な形を維持できなくなっています」
なので新たに嵩揚げをしておいて基礎を造って据え付け直さなくてはなりません。
据え付けが完了すると、耐力壁を挿入してゆきます。
地震の揺れで仕口が傷んでいるからです。人間で云えば関節が弱くなっているとイメージしてください。
ざくっと解説させて頂きましたが、石場建て建築物の修復には相当の費用がかかります。
例でいうと、例えば弊社が沈下修正工事と家起こし、嵩揚げを40坪程度の建物で行ったとすると、
1000万円~1400万円程度かかります。これに千葉県いすみ市から工具類の輸送費と宿泊費など経費がかかります。
さらには、木工事(工務店に依頼してください)に2000万円~3000万円かかるだろうと思います。
すると居住スペースとしてだけ必要としているなら近隣で被災されていない中古住宅を買われるのが安価になります。
もちろんローコスト住宅もありです。
社寺、古民家を修復したいと考える方は、それはアンティークやビンテージものを直すのと同じであること。をよくよく考えて検討するべきです。
昨年11月に「曳家岡本口伝 構造から直す本気の住宅再生」(創樹社)という本を出版しています。
こちらを読んでいただくとまずまず細かな細工についてや、見積書の内訳を記載しております。
amazonや楽天ブックスなどで販売されていますのでよろしければ読んでください。
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