能登半島地震の住宅修復:尽忠報国

「1/6母死ス」
と、外壁にスプレーで描かれたメッセージ。
現地調査にご招聘いただいて、車載ナビで目的地に向かってゆくのだが、あちこちで「通行止め」の看板に遮られ迂回してゆく中で見たスプレーでの殴り書き。
誰にも気持ちをぶつけることも出来ず、忸怩たる思いで母親の生きた証を廃屋になった自宅に描いたんだろうか?
橋を渉れとナビには言われるけど。
橋の両側は地盤沈下が起きていて、接続が出来ていないままです。
※参考画像 (七尾市だそうです。)
2か月ぶりに来させていただいた珠洲市は主要道路はかなり改善されて、以前よりはずっと楽に目的地に行けます。
驚くほどに「転覆」しているようにしか視えない家だったもの。
↓このような状態のお家はいくらでもあります。
沈下修正工事をすれば、まだ住むことの出来るお家もあります。
石川県の補助金の制度により「直して住めるなら直したい」というお考えの方もいます。
その一方で危険判定を受けた建物で「公費解体」の申請が受理されたものは順次、解体されています。
過去の地震を経てダメージが蓄積していた能登半島の住宅は、ホゾが抜け柱が斜めになっています。
液状化で沈下したお家と異なり、構造的に心配の無いものを求める気持ちは痛いほど感じます。お伺いさせていただいたお施主さんのお家のテーブルには拙著をはじめ、佐藤実先生の「楽しく分かる!木構造入門(改訂版)」まで積み上げられていました。
実は熊本地震の際にも強烈な揺れで建物の接合部が抜けかかっているお家をたくさん視たのですが。みなさん「水平になれば良い」とばかりに、人間で云えば関節が抜けかかっている危ない状態にも関わらず、そのままコーキングで隙間を潰したり、壁紙を貼り直す。という「見た目だけのリフォーム」をされることを選ぶ方が多くてたいへん悔しい思いをしました。
考えてみると、重い荷物を積んだ大型トラックが過去何十年もの間、通過して「毎日、転圧されてきた」国道やバイパスが地割れして崩れてゆくわけです。
※2枚は参考画像です。
(一人で運転しているんで撮影出来てません。この横田ICの辺りは本当に酷かったですが、現在はかなり改善されました。)
毎日、転圧されていた道路が地割れして陥没するわけですから、最早、一般住宅での地盤補強などはほぼ効力を期待する方が難しいと考えました。
新潟への帰路にサトウ工務店佐藤さんのところに寄らせて頂きました。
佐藤さんは、能登半島復興工事に参加する職人向けの仮設ホテルの設計をされているそうです。
願わくば各部屋に洗濯機が設置されるプランでありますように。
長い出張でコインランドリーの争奪戦になって何度も何度も部屋を出たり入ったりする疲弊感は出稼ぎ労働者でないと理解出来ないと思います。
毎日、洗濯したきれいな作業着で現場に伺えますよう、よろしくお願いいたします。
ホゾが抜けたお家を引き締めて直すのは曳家職人でなくては出来ません。
また古いお家の書院の部分を解体させていただいて構造的には本来あるべき柱を新設できるようするのも曳大工の仕事です。
来年は、いよいよ能登半島に伺えます。
自分の遺された現役時代に本当に少しだけですが、世の中の為になれたらと思います。
お気軽にご相談ください。
ご招聘いただければ全国伺います。
hikiyaokamoto@gmail.com
- 千葉県松戸市で2×4住宅の沈下修正工事やってます!
- 疑似洋館建築のバルコニー柱脚、礎盤の取り換え
- 高知県佐川町の旧 青山文庫の修復 始まりました!!
- 2025謹賀新年 V-doscのように!
- 錦糸町で鉄骨4階建て完工 Tokyo is burning!
-
宮木寛信さん(2025/01/27)
-
宮木寛信さん(2025/01/26)
-
hikiyaoさん(2025/01/06)
-
まんぼうさん(2025/01/01)
-
hikiyaoさん(2024/05/23)
コメントを残す