2024年7月14日 5:08

「青い珊瑚礁」と次に入る職人さんのことを考えて仕事するか?しないか?

なるべく来年は能登半島の住宅復興工事をさせていただきたいな。と思っておりますが、まだまだ新潟市西区の液状化被害住宅の修復は続いています。
今は実感として新潟市内に40業者くらい集まっているかな?東日本大震災時の浦安市がピーク時で130業者だったけど。他の皆さんも今年は忙しそうです。


ちあきなおみ「喝采」のごとく♪いつものように幕が開き~とジャッキをセットしてゆきます。
NewJeansハニの歌う「青い珊瑚礁」がバズってますが、オリジナルの松田聖子の元気にしり上がりに「あなたが好きっ」と唄うのと、ハニの自信なさげに「あなが好き⤵」と下がるのでは解釈が全然違ってくるんじゃ!と細かいチェックをするプレ老人職人です。

そんなわけで細かいです!
配管があるところは、それを避けて枕木を組みます。
こういう細工をするために様々なサイズのジャッキを使い分けます。

水平になりました!
「曳家岡本」では、天端幅(120mm)より沈下量が大きい場合は、芯材としてのハードウッドを入れることはしますがそれは30mm角ほどの小さなものです。。
スペーサー(コマと呼ぶ業者さんもいます)は大きなもので受けた方が安定するだろう。と天端幅と同サイズのものを挿入される業者さんもいますが。それは基礎梁は水平構面である。ということを理解出来ていない不勉強な方です。大きなコマを挿入しているとコマの間に凸凹したモルタル基礎を造っているわけですから、横揺れに対しての基礎梁の強度が著しく落ちる。ことになります。

画像左側にある鋼製束は荷重を受けるためのものではありません。横筋を結ぶためのものです。
これらがモルタルに巻かれることによって、新築同様とまでは行きませんが基礎梁の水平構面が復元出来るわけです。

沈下量が100mm以下は三寸角のハードウッドを1箇所づつ計測してカットして挿入してゆきます。
既存構造材が檜であれば、檜で充分でないのか?と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、沈下修正工事は新築とは逆の工程で作業が進ます。完成して傷んだものをどれだけ修復するか?を突き詰める工事です。
1mmの精度を追いかけているのに、点で受けるわけですから負荷がかかった瞬間に1mm潰れるのは避けたいため、ハードウッドを使っています。


沈下量が200mm近い箇所は、普通に販売されている高ナットで繋ぐことも出来ます。
とにかく、出来る限りアンカーボルトを切らない。横から充てるだけの短冊プレートを取り付けて終わらすようなことをしないよう努力してます。

※こんな感じの施工です。これは以前、弊社がセカンドオピニオン的に再工事にご招聘いただいた宮城県仙台市での画像です。

さて、基礎修復が終わるまで小さな芯材と鋼製束で受けておくと、万が一の地震や強風で大事故を起こす可能性があります。
そこで長めの鉄板をブリッジさせて、また外周は反力をきれいに採るために長い枕木を敷き直し、
放置しておくと下がるオイルジャッキから、ギア式のジャーナルジャッキに交換してゆきます。
沈下量が120mmを越える部分は全て交換します。


ここからが今回お伝えしたいことです!!!

建てた時には在来浴室(普通のタイル貼りのお風呂)だったものは土台に湿気がこもって腐らせないよう高基礎になっています。
そのほとんどは高くなっている分はコンクリートでなくブロックで積み上げられてます。
基礎工事をする際に同じ高さで基礎を造った方が楽ちんだから。という理由ゆえです😿。
そんなわけでジャッキ掛けて持ち揚がると上からの重しが外れたことでブロックは、目地からグラグラ動きます。

↑青線部分です。

それに加えて、こちらはユニットバスに入れ換えた際に浴室を拡げるために、浴室への入り口部分を省いて、コの字型に存在していた土台を一方向、切断してしまってます。

↓この〇で囲んだ部分からカメラ側に向けてあった土台が切られています。

柱を支えるべき土台の代わりに100mm角の短い木が、ブロックの上に載っているだけの状態です。

浴室を拡げた分には土台を付け足していますが・・これがどこにも連結してなくて、土台なのに構造ではなく単なる下地材状態です。

↑ここつないでいるだけです。

構造材(基礎梁含む)が充分でないわけです。しかもこの浴室は下屋でなくて、2階が載っています。
本来だと、コンクリートブロックを撤去して、新たにコンクリート基礎を造りたいですが、ご予算もありますから今回は「新たに柱を2本入れて」荷重を分散させることと、ブロックは一部ですがつき直して、しかも穴は全てモルタル詰めします。

元請けである(株)ミライエ平田さんに状況を伝えて予算内で施工させてもらうことにしました。
世の中には自分の依頼されたことだけをやれば良い。という方も少なくありません。
私どもの昭和な感覚は「不適切な」場合もあるやも知れません。
でもなー。家は安心して眠れる場所であるべきなのは「適切」なはず。

ps
新潟市内にある昭和な商店街にある海老味噌ラーメンのお店に行ってました!
住学 書記長 庄司さんにアテンドしていただいて「海老寿DELAX」さん。


新潟はラーメン王国だし、味噌も美味しいんで。もちろん美味しかったですーーー。
新潟ライフ満喫?です。

ps
今夕から都内近郊での現地調査のため東京に戻ります。
今夜は家内がお出かけしますので、長女のために夕食にオリジン弁当買っておきます(笑)

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。