2025年6月29日 6:12

猫土台の家の仕上げの工夫

猫土台のお家の沈下修正工事をやっています。


2階の隅柱が乗っている部分が重くて、両側に抱かせた添え柱だけでは揚がりません。

左側にも仮柱を立てて荷重を分けて持ち揚げるようにしました。
※土台が2つ割だから土台が割れる。というものありますが、荷重が大きいからです。念のため。


狭いところには「蛇人間」に入ってもらいます。
今回は小便器がひび割れあったようで、床下が臭っていて宏くんには苦労させています。
こんな苦労を強いているので、休日は「だいろの湯」で労ってます(真実)


色々ありましたが、ようやく揚げきりまして、いよいよ基礎修復です。
まずは、どう?御影石のパッキンを土台下面に定着させるか?を堅田職長が考えてきてくれました。

6cm以上の沈下部分については、低床型鋼製束で固定してゆきます。
このアムハード小西の鋼製束は1本あたり4トンの耐荷重がありますので、一般的な木造2階建てであれば、1・8mピッチでジャッキを設置したとしても1ポイント2トンありませんので充分なマージンがあります。
この細工でモルタルを充分に巻けますので、水平構面の再現もかなり上手く出来ます。
また、画像を視ていただくと一目瞭然ですが、水切りがありませんので上塗りをかける厚みを確保するために刷毛引きを全て剝がしました。

基礎修復については、今回は天端となりますのでジョイント部分にはハイフレックス接着剤を塗布しますが、若干の発泡性のある薬剤を混入したモルタルを使うと天端が、だんごのように真ん中が膨らみますので天端分のみ使いませんでした。

そして雨水を逃がすために天端を僅かに外に下げました。

おまけ・基礎修復画像

床下の狭くコの字になっている箇所などは宏くんが測って外にいる堅田さんにその都度、切ってもらって貼ってゆきます。



ゴム手袋しておいて小手で入れた後に、手で強く押してます。

在来浴室の高基礎部分は、ぼかしまで堅田さんが仕上げました。(堅田さんのお父様は現役左官職人です!!)


やりきってホッとしている堅田さん。

集落の他のお家の鎧張り桟を視ていると、鉤を作らず張っているお家もありますが。

自分たちが施工させていただいているお家はきちんと鉤を細工されています。

予算もありますから、簡単に悪くは言えないですが、この手間をかけるとかけないことの積み重ねで現場の施工品質は変ります。
この先、そう長く続けられないだろう老職人としては全てとはゆきませんが、出来るだけ自分を赦せる程度の施工をやってゆきたいです。

長野県でセミナーを開催していただきます!
「建築士が知っておきたい沈下修正工事+構造から直す本気の住宅再生」のフルバージョン70分です。
ビックサイトでは時間が短い為、心に残る言葉を選んだ結果、イッシーに「まあ、事実だから仕方がない」と評価いただく赤裸々な現場からの話です。
建築士・工務店として業者を手配した場合に考えなければならない責任の所在や悪質施工例の画像を見ていただきます。
7月4日(金)17:00~18:30
佐久平交流センター
長野県佐久市佐久平駅南4-1
申し込み先は
佐久市建築士会FAX 0267-78-3463
お名前、住所、連絡先をお願いします。
問い合わせ先 090-1690-8052
参加費¥500-(会員は無料)

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3件のコメント

  • 池田安信 より:

    下記名前の他有賀令雄、池田益男の2名が参加致します。何卒よろしくお願い申し上げます。

  • 友平裕三 より:

    家の傾きを直す沈下修正 を拝読させて頂きました。いろんな工法があることを知り、勉強になりました。
    現在DIYにて蔵の階下の柱20本くらいのうち、11本目を交換中です。作業内容はYouTubeにする時間も無くて、動画もあまり撮れてなくて…
    大工さんに相談しても、こちらの希望通りにはいかないし、予算も限られてるので自分でやってる次第です。

    それで、いくらネットで調べてもヒットしないのが、柱の突き揚げの具体的な方法です。
    残りの柱のうち数本は根継ぎにしようかと考えてますが、土壁と通し貫がそのままでは、胴差しをジャッキアップしても柱が上がりません。根継ぎのため柱も胴差しに付いた状態で上げるには、具体的に突き揚げはどのようにすればよろしいでしょうか。
    もし、具体的な内容が既に公開されてましたら、リンク貼り付けでも構いません。

    不躾なお願いで恐縮ですが、このメールに目がとまりましたら、宜しくお願い致します。

    • hikiyao より:

      友平さん
      ご質問にお答えします。
      以下のブログをご覧ください。
      www.hikiyaokamoto.com/archives/3879
      通常、金具で締め付ける(摩擦)で持ち揚げることが出来る重さは2トンまでとなります。
      従って一般的な在来工法の住宅であればこれだけで持ち揚げられます。
      しかし、屋根に土が載っている、そもそも瓦や壁が重い、広島や淡路島あたりの古民家の場合だと、6トンくらいの荷重がかかっています。
      なので、「添え柱」だけで揚げることは不可能です。
      このブログにあるように天井を解体して、梁を突かなくては揚げられません。
      その上で柱が柱そのものの自重で抜けて落ちてこないように、添え柱を取り付けてサポートしなくてはなりません。
      どちらにせよ、専用の金具と枕木が必要になります。
      枕木も、最低アピトン、近年のものであればイタウバか?ウリンあたりを使わないと折れます。
      日本の材木であれば、樫 一択です。櫻やけやきでは硬さが足りません。
      また「構造から直す本気の住宅再生」も併読してみてください。

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。