猫土台の家の仕上げの工夫

猫土台のお家の沈下修正工事をやっています。
2階の隅柱が乗っている部分が重くて、両側に抱かせた添え柱だけでは揚がりません。
左側にも仮柱を立てて荷重を分けて持ち揚げるようにしました。
※土台が2つ割だから土台が割れる。というものありますが、荷重が大きいからです。念のため。
狭いところには「蛇人間」に入ってもらいます。
今回は小便器がひび割れあったようで、床下が臭っていて宏くんには苦労させています。
こんな苦労を強いているので、休日は「だいろの湯」で労ってます(真実)
色々ありましたが、ようやく揚げきりまして、いよいよ基礎修復です。
まずは、どう?御影石のパッキンを土台下面に定着させるか?を堅田職長が考えてきてくれました。
6cm以上の沈下部分については、低床型鋼製束で固定してゆきます。
このアムハード小西の鋼製束は1本あたり4トンの耐荷重がありますので、一般的な木造2階建てであれば、1・8mピッチでジャッキを設置したとしても1ポイント2トンありませんので充分なマージンがあります。
この細工でモルタルを充分に巻けますので、水平構面の再現もかなり上手く出来ます。
また、画像を視ていただくと一目瞭然ですが、水切りがありませんので上塗りをかける厚みを確保するために刷毛引きを全て剝がしました。
基礎修復については、今回は天端となりますのでジョイント部分にはハイフレックス接着剤を塗布しますが、若干の発泡性のある薬剤を混入したモルタルを使うと天端が、だんごのように真ん中が膨らみますので天端分のみ使いませんでした。
そして雨水を逃がすために天端を僅かに外に下げました。
おまけ・基礎修復画像
床下の狭くコの字になっている箇所などは宏くんが測って外にいる堅田さんにその都度、切ってもらって貼ってゆきます。
ゴム手袋しておいて小手で入れた後に、手で強く押してます。
在来浴室の高基礎部分は、ぼかしまで堅田さんが仕上げました。(堅田さんのお父様は現役左官職人です!!)
やりきってホッとしている堅田さん。
集落の他のお家の鎧張り桟を視ていると、鉤を作らず張っているお家もありますが。
自分たちが施工させていただいているお家はきちんと鉤を細工されています。
予算もありますから、簡単に悪くは言えないですが、この手間をかけるとかけないことの積み重ねで現場の施工品質は変ります。
この先、そう長く続けられないだろう老職人としては全てとはゆきませんが、出来るだけ自分を赦せる程度の施工をやってゆきたいです。

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hikiyaoさん(2025/06/30)
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友平裕三さん(2025/06/30)
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友平裕三さん(2025/06/29)
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hikiyaoさん(2025/04/17)
3件のコメント
下記名前の他有賀令雄、池田益男の2名が参加致します。何卒よろしくお願い申し上げます。
家の傾きを直す沈下修正 を拝読させて頂きました。いろんな工法があることを知り、勉強になりました。
現在DIYにて蔵の階下の柱20本くらいのうち、11本目を交換中です。作業内容はYouTubeにする時間も無くて、動画もあまり撮れてなくて…
大工さんに相談しても、こちらの希望通りにはいかないし、予算も限られてるので自分でやってる次第です。
それで、いくらネットで調べてもヒットしないのが、柱の突き揚げの具体的な方法です。
残りの柱のうち数本は根継ぎにしようかと考えてますが、土壁と通し貫がそのままでは、胴差しをジャッキアップしても柱が上がりません。根継ぎのため柱も胴差しに付いた状態で上げるには、具体的に突き揚げはどのようにすればよろしいでしょうか。
もし、具体的な内容が既に公開されてましたら、リンク貼り付けでも構いません。
不躾なお願いで恐縮ですが、このメールに目がとまりましたら、宜しくお願い致します。
友平さん
ご質問にお答えします。
以下のブログをご覧ください。
www.hikiyaokamoto.com/archives/3879
通常、金具で締め付ける(摩擦)で持ち揚げることが出来る重さは2トンまでとなります。
従って一般的な在来工法の住宅であればこれだけで持ち揚げられます。
しかし、屋根に土が載っている、そもそも瓦や壁が重い、広島や淡路島あたりの古民家の場合だと、6トンくらいの荷重がかかっています。
なので、「添え柱」だけで揚げることは不可能です。
このブログにあるように天井を解体して、梁を突かなくては揚げられません。
その上で柱が柱そのものの自重で抜けて落ちてこないように、添え柱を取り付けてサポートしなくてはなりません。
どちらにせよ、専用の金具と枕木が必要になります。
枕木も、最低アピトン、近年のものであればイタウバか?ウリンあたりを使わないと折れます。
日本の材木であれば、樫 一択です。櫻やけやきでは硬さが足りません。
また「構造から直す本気の住宅再生」も併読してみてください。