2018年8月29日 9:56

隣の家と10cmしか隙間の無い家を切り詰める工程

曳家をしてますと・・難問が飛んでくることがあります。

改修にあたって、隣の家との隙間が10cm程度も無い家。人間が入って行けませんので外壁をどうすれば良いのか?(30cm程度づつ切り張りしてゆけば出来るよーみたいなのは置いておくとして)その後のメンテナンスを考えると・・

人間が入れる程度に「建物を切り詰める」作業を検討する場面です。どーやって切り詰めるか?下手くそですが・・イラストに描きました。

柱と外壁を内側に30cmほど入れます。

こんな風に1階と2階の梁を受けて、切り落とせるようにします。枕木が1mに対して30本必要になりますので、2階までとすると約4mですので、1山=120本です。

上から見るとこんな感じで赤いラインに切り詰めます。

7山ですので、120本×7山=840本!約9トンです。実際にはこんなに単純ではなくて、使用する枕木の長さ(弊社の場合は1200mm)×2倍までしか安定して持ち揚げることは出来ませんので、途中の高さで1段は繋げたH網を使って、全ての枕木の山を連結させて揺れをすくなくする細工などもします。

※枕木の山を足場代わりに大工さんが作業しますのでしっかり組んでおかなくては危ないです。

 

こんな感じのイメージになります。(この画像だと1階部分だけですが、実際は2階までです)

通常であれば、こうした作業の後に無事に柱の位置を移動させ終わると、下の画像のように添え柱を取り付けて、基礎の造り替えが出来るように嵩上げをします。

ですが・・今回は敷地に余裕がありませんので、建物の外周にH網や枕木を組むことが出来ません。そこで、H網は重量物を曳家する際のように直接、柱を挟み込んで掴むようにして持ち揚げます。

↑こんな感じです。

で、やっと持ち揚げます。

上の画像と異なり、今回は土台は総取り換えになりますから、下記のような、据え付け方になります。

で・・実際には、こんな感じになる予定です。

※1

実際の施工にでは、資材を大量に使いますので搬入条件で費用が大きく変動します。

※2

建築士さん、基礎屋さんの要望で基礎造り替えのために一旦、高く持ち揚げてくれ。と言われると、ここでも予算がかなり異なってきます。床は一旦、撤去しているわけですから、あまり高く持ち揚げない形でご依頼いただければ費用を抑えられます。でも・・地盤改良などを考える、高く揚げないといけなくなりますね。

 

こういう案件は、きっと京都や川越あたりで需要があるのかな?

 

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。