曳家したら家は弱くなる?
再び古民家の曳家工事のお問い合わせを頂いています。
今回は、弊社の考える社寺・古民家など石場建て建築物を曳家する際の留意点を担当工務店様、建築士さんに説明するためにイラストを書きましたので、
それを使って、どこに拘っているのか?を解説させていただきます。
一般的に石場建ての建物は、土台がありません。
あったとしても、GL(地盤の表層部)から10cm程度しか上がっていませんので、近年の熱帯化で、ボロボロに腐っているのが一般的です。
ですので、柱を掴んで持ち揚げます。
柱は敷居の上で掴みます。
この時に、多くの曳家は、外側だけにジャッキを掛けてしまいます。
この工法の利点は床を剝がすことなく施工できますので、曳家中の水平構面が確保されていることです。
しかし・・・
よほど軽い建物なら大丈夫ですが。
両端だけでは「中ほどが垂れます」。
そこでこのイラストをよく見てください。
中の添え柱の下には、楔を打ち込んで建物を水平に保っているわけです。
ですが、これは実際には家を載せて運ぶために鋼材が水平でありませんから、
曳家する過程で微細なダメージが行かないわけがありません。
しかも、こう組むと、曳家する際に柱の下面がレールに当たってしまわないように、レールの上に取り付ける車輪の上にかませる枕木の量が増えます。
これは「揺れます」そして、角度を変えようとしている時に無理がかかると、かませた枕木が飛んで落ちるリスクがあります。
そこで曳家岡本では、石場建ての建物を曳家する際は一旦、下腰工法で曳けるように、
鋼材を組みます。
こう組めば、柱の下面に当たる心配がありませんから、自由に組めます。
但し、その代わり鋼材を組むにあたって、GLを掘らなくてはなりません。
こうしておいて、ジャッキアップした後にレールを敷けば、両端だけで支えているのと違って荷重を分散させられます。
さらに、曳家岡本では、揺れないように曳家するために、多くの場合、レールの下にも鋼材を入れて「鉄橋」のように組んでいます。
こうして曳家しておいてから、据え付けするために鋼材を全解体して、上腰工法に組みなおしています。
この手間をかける?かけないで、正直な話、40坪程度の古民家であれば60人工程度と、余分な鋼材を運搬、持参しなくてなりません。
なので、価格重視の方は、もし近隣に曳家さんいらっしゃれば輸送費と手間の多い弊社では太刀打ちできません。
逆に規模が大きくて、大量の工具が必要とされる現場であれば弊社をご検討いただければありがたいです。
ざっくりですが、小さな曳家さんの6倍程度の資材を保有しております。
全て敷居より上に組みなおした鋼材をジャッキアップして、基礎屋さんに一旦バトンタッチします。
そして、据え付けです。
自分は、たぶん日本で一番、小心者の曳家です。
もう現役でやれる残りの時間はそれほど長くありません。
終わる時まで「1度も事故を起こさなかったなぁ」と満足していたです。
いや~~。
大量の資材を全国運搬するのは、たいへんです。
宿や資材を降ろす場所の段取りも(汗)
どうぞよろしくお願いいたします。
お気軽にお問い合わせください。
hikiyaokamoto@gmail.com
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