2022年2月20日 5:05

ミシシッピ河畔の輸入住宅の沈下修正工事と構造補強工事その後

どんなジャンルでも、「自分さえ利益が出れば良い」という考えの方はいるし。
それを全否定するつもりも無いですが、日々、死に向かっているプレ老人である自分としては、気持ち良く死ぬために適切な利益はいただくが、2度と逢わないから騙すように搾取するような経営はしたくありません。

前々回の茨城県守谷市の現場では、工事業者は、タイル貼りのお風呂場をユニットバスに交換するために、解体工事をした際に明らかに、土台が腐っているを見たはずです。

それでも無視して工事を進めるのは、「余計なこと」?を云って、「自分の」工事が予定通り進まなくなること。
或いは、お施主さんに「追加工事」を営業しているように思われることから避けたのかも知れません。

しかし、お家の化粧直し的なリフォームと違って、構造から直せる機会はめったにありません。
自分なら云うよなー。

ちなみに今回の工事でも、土台代わりの大引きを支えている束石は全て15cm角のピンコロでした。
これを今回は、全て30cm角のコンクリート平板に交換します。
接地面が大きくなれば安定することは素人でも判ります。

1個あたり、小さなものだと2ドル30セント。大きなものだと6ドルから8ドル程度です。
束石は、40か所ほどですから、全て大きな平板を使っても、差額は200ドル程度です。


↑手前の白ぽいのが90mm角の杉材で暫定で入れられてあった大引き。
奥に見えているのが、よれよれに傷んだ大引き、今回取り換えます。
この仮設的な杉材を入れる施工費にそれなりの費用を支払ったそうです。

今回、これらの白蟻被害部分の撤去と、2X4ならではの釘仕舞いにたいへん手間が掛かりました。

高い工事代金をいただくのに、使う資材をケチる業者さんもいます。
でもねー。お施主さんが知ったら「じゃあ、20000円(200ドルです)余計に払うから良いもの使ってよ」と云うに決まってます。
自分は、そういうやりとりをしたくないんで、初めから自分が使いたい資材を使えるだけの予算で見積もりを出させていただきます。

ちなみに前回のブログで紹介しました120cm角のオーストラリア檜ですが、1mあたり卸し価格で¥8000-です。
しかも固いから、丸鋸の歯が傷みます。従って大工さんは使いたがりません。
でも、使います。


↑最も荷重を受けるポイントは前回、弊社が持参したオーストラリア檜を使用しましたが、それ以外の部分はセランガンバツの105mm角を入れていただきました。

柱や壁の荷重を受けていない部分は、オリジナルサイズに近い大引きを、檜で入れていただきました。

自分らの工事は新築ではありません。総持ちさせることが不可能である以上、極端に一部分だけが剛構造に換わったことで地震時に偏心が起きる心配が無い部分であれば良いものに換えます。

※「教育的ウラ指導」「合格ロケット」の(株)イエサブユナイテッド荘司さんに、こうした改修プランも建築士さんが指導、管理してくれるべきでないのか?と、いつものようにお話したんですが。

「建築士が、こうした改修プランに関わり、問題解決するのであれば、修復する部分だけでは建物全体の構造的判断が出来ないため、500万円程度かけて、建物全体の構造計算を行います。」

「万が一、将来的に問題が発生した場合、建築士には重いペナルティが課せられますので。また、構造計算結果によって、修復する部分にどの程度の荷重がかかってくるのか、それを支えるためにはどういった補強が構造的にも、経済的にも合理的なのかを明らかにした上で、計算結果をもとに図面化も行い、それを建築主に提出し、保管・管理して頂きます。」

「ぶっちゃけ、構造計算だけでなく、純粋に、建物の現状と改修後の姿をキッチリ図面化するだけでも岡本さんたちの実務費より高額になってしまうでしょう。」

「そうなってくると建築主は依頼を諦めることになる。その住宅についての図面や構造計算書がしっかり保管・管理できていれば、そういった設計コストを下げられますが、この国の住宅のほとんどは、構造計算を行っておりません。図面すら残ってない住宅がほとんどです」
といったこの国の建築制度と建築主意識の問題点の話になりました(汗)

建築士さん責任重いから、参加してくれないよなー
AIの活用が必要かな?


輸入住宅の場合、窓に使われているガラスも全て日本とはサイズが違いますので、万が一、沈下修正工事していて傷めると代替品が手に入るのか?も確認しておかないと怖いですね。

by the way
スティービーワンダーを敬愛するボーイ・ジョージが「カーマカメレオン」のMVを撮影したのは、ミシシッピ川だと思っていたんですが。
実は、イギリスのウェイブリッジ、デスプラ島だと知ったように。
ここの現場も、ミシシッピ川だと思っていたら、実は千葉県いすみ市の夷隅川でした。
どうやら寒さに負けて、マッチ売りの少女のように幻視が見えていたようです(涙)

それでも、仕事はきっちり出来ているのは、身体に染み付いた習慣なんでしょうね。

ps
5月に、愛媛県での工事が決定しました。
どうぞ四国~近隣でのご相談ありましたらよろしくお願いいたします。
hikiyaokamoto@gmail.com

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

最近の投稿
コメント
アーカイブ
能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。