2022年7月24日 6:03

建沈連をご存じでしょうか?

おはようございます。。
某所で、「これくらいなら、直さなくても良いですよ」とお伝えすると・・
「うちを直しても儲からないからやる気ないのか!」と言われている岡本です(汗)

では、逆に施工するべきなのに・・「決まらなかった現場」シリーズ最新作です(笑)

昔の商店などに時折あった、1階部分の3分の2程度を事務所などにして、残りを裏庭に荷物を運ぶための車が通り抜けることの出来る通路にしているお家。
2階は、その通路の上にも部屋があってそこで居住されているそうです。
当然、その通路部分は片面のみに土台と柱があるものの、母屋と、基礎も、土台も繋がっていません。

※画像は参考イメージです。

それゆえ構造的に堪らなく弱いわけですが・・・その脆弱部分の隅柱が沈下+風雨で腐っているので直したいと大工さんから、ご相談入りました。

※画像は参考イメージです。

この大工さんは、とても真っ当な考え方をされていて、「これは大工の手だけで揚げていては建物を壊すリスクがある」と、共通の知り合いの大工さんからのご紹介でご連絡くださいました。
その後、サクサクとメールで画像や図面を送って下さいました。

自分の見立てとしては、梁を露出させて、枕木を組み上げて、その上でジャッキをセットして~柱や基礎を入れ換える間。危なくないように細工をする必要性があると考えました。
弊社の費用だけでも「200万円程度はかかるのでは?」と概算をお伝えしておきましたが。


※画像は参考イメージです。(香川県三豊市での施工例)

後日、大工さんから電話があって、お施主さんから「そこまでの予算を考えて無かった。近隣で一式100万円で施工してくれる業者さんが見つかったのでお断りします」と言われました。とご報告いただきました。

安価であることは大事ですが。この案件は地震が来たら、あっという間に倒壊。居住していると命の危険もあるレベルの話なのに・・業者の施工実績やプロフィールを調べることも無く「ただ安い」というだけで、施工者を選ぶというのはいかがなものなんだろうか?
願わくば、この「100万円で施工します」と言った業者が、それなりに誠意のある仕事をしてくれることを祈ります。

ところで・・皆さまは「建沈連」という団体をご存じでしょうか?
正式名称は、一般社団法人 建物沈下修正業者連合会 – けんちんれん (kenchinren.or.jp) と云います。

昨年9月に発足したばかりですが、何社かの沈下修正業者と地盤の専門家の方々が創設しました。
これまでは、紛争案件などの場合、沈下修正工事の専門窓口が存在しませんでしたのでコンサルさんが個々に沈下修正業者から見積もりを採って判断したりしていたんですが。第三者機関として工法(及びその工法の手抜きしない正しい施工の基準作り)の選択や積算業務を提供する団体です。

自分は、地盤補強を伴う工事をしているわけでは無いですから、入会の資格は無いんですが(涙)。
(たぶん)上部構造の修復を伴う工事(白蟻被害による土台の取り換えなど)の専門家としてゲスト参加させていただいています。




※画像は参考イメージです。

自分も、弊社で施工出来ない、或いは向いていない工事は信頼できる業者さんを紹介させて頂いてきましたが。
こうした団体の創立でより公平性が、担保されるようなりました。弁護士さんとか、行政の方にはお薦めです。

その「建沈連」さんの会議が終わっての懇親会で、事務局の方が呟いた言葉がものすごく印象に残っています。

「一般の方ですけど、そんな出張費がかかるような県外の業者さんじゃなくて、もっと近所の業者さんを紹介して欲しいんですよ!って言われたんですよね。
なんか、一般のリフォーム会社に相談しているような感覚なんです。
特殊な専門性のある工事だから、専業業者数が少ない。と云うことが判っていないんですよ」

そうなんですよね。
自分も、ごく僅かですが、出身地の高知県の工務店から電話かかってくると、ものすごく簡単に考えていらっしゃる方との会話に憤慨することがあります。
ちょっと器用な大工さんが少ない工具で不陸調整(沈下修正工事)をするのを、「ありがたい」「助かります」と喜んでいるような方は弊社に連絡してこないで下さい。



※下2枚は「野口工事」さん提供です。

自分らは専門職です。これだけで生活してます。資材や工具も選びぬいて日々精進しています。

「失敗したくないから出張費払ってでも、曳家岡本さんに来て貰いたい」と言ってもらえるよう、その言葉の重責に応えられるよう曳家岡本一同、頑張って行きます。

ps
お仕事のご相談よろしくお願いします。
hikiyaokamoto@gmail.com

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2件のコメント

  • 坂本 欣也 より:

    北側部分を池の上に盛土してた家が沈下して土台が割れています。耐震0.44と評価されました。南側に移動させるか。耐震補強するか。悩んでいます。延べ床面積240平米。昭和52年築、平屋建てです。

    • hikiyao より:

      坂本さま
      大きなお家ですね。
      そこまで大きいと、曳家するとなると、かなりの金額を覚悟しなくてはなりません。
      地盤補強+土台の入れ換え等も検討するべきかと存じます。
      もし、当職へのご相談であればhikiyaokamoto@gmail.comにご連絡くださいませ。

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。