2023年12月26日 6:14

上野で曳家工事!デビット・キャラダイン気分。

東京・上野駅のすぐ近くと云う都心の真ん中で曳家工事をご依頼いただきました。

「曳家岡本さんって、沈下修正や家起こしばかりで実際に曳家(動かす)工事は少ないですよね」とご指摘いただくことがあります。
言い訳させていただくと12年前に関東に拠点を遷してから、埼玉県や神奈川県では曳家のご依頼ありましたものの。
「曳家する土地が無い」大都会では「家が動く」工事のご依頼はまずありません。
それに加えて、「曳家はぼったくりだ」という負の情報もあって、建築士さん、大工さんたちもやむを得ないケースを省いて曳家に相談することがないままに解体、新築という流れになっています。


そんなわけで、久しぶりの曳家。しかも東京都内デビューです。


最早、ブルース・リーのキレはありませんが。
しかーし。ブルース・リー原案「燃えよカンフー」や後に「KILL BILL」のデビット・キャラダインのように(笑)
ゆらゆらとちっとも強そうにないのに、やれてしまうのは。
「酔拳」に於けるスウ爺さんのようなものです。じゃあ、堅田さんは若いジャッキー・チェン。

はっ!視よ!(視てね)建物を安定させる為の細工の幾つか。


↑この画像と。

↑この画像に痺れる方は、同業者か?構造設計者?
X軸に対しては鋼材の上段を通すことで荷重を受けていますが、Y軸方向の土台に載るほとんどの柱を、H鋼の耳に橋を渡した短い枕木と詰め物で受けています。
こうした細工も「土佐派の曳大工」に連綿と継承されてきたものです。

もちろんいつものように鴨居の吊り束も「押し揚げて」荷重を分散させます。


↑元々の地盤から60cmほど揚がりました。

若い建築士さん、大工さんに、曳家の技術で何が出来るか?を知っていただかなければ依頼は減り、やがて廃れます。
そうならないために、本を書いたり。セミナー講師をさせていただいてます。
2024年は、既に6回ほどセミナーをさせて頂くことが決定しています。
後2年少しで引退しますが、後輩のみんなの為にも頑張り火星。

amazonや楽天ブックスでも販売されてます。しかもまあまあ売れている(笑)
送料かかるけど、サイン入りでコレクションしたいなーという方はhikiyaokamoto@gmail.comまでメールください。



この画像は、今から30年前に高知県高知市で当時33歳の若い親方、岡本が隣地に児童公園が出来る為に曳家した時のものです。
画面中央、左に見える枕木は、曳家するにあたって風呂場の高基礎部分を解体しているため他の土台の高さに鋼材を揃えるために組んでいるものです。

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。