2023年3月13日 5:42

「吊り舞」レッカーで納骨堂を移設する!

どうしても建て替えで無く、現状のまま移設したいというご要望の納骨堂をレッカーで吊れる仕様にするお仕事をさせて頂きました。

吊り揚げるわけですから、根伐りからスタートです。
ここらへんは「耐圧板工事」と同じ要領です。




コンクリートブロック製の納骨堂の基礎ですから、もっと薄いベースが打たれているとイメージしていたんですが。
まるで「蔵」のベースくらい厚い40cmほどの棄てコンが出てきました!!
しかも、30cmクラスの玉石を並べた上に生コンを流しています。



なるべく平になっている部分を探して、尚且つ、楔や軍手で詰め物をして様子を探ってゆきます。

そのまま40cmほどジャッキアップした後に、玉石を避けながら底面を支える鋼材を組んでゆきます。
※ジャッキアップ一日目の終わりには、一旦、仮にH鋼や枕木を挿入して帰りました。

ここまで組めたら、後はまずまず簡単です。


自分の計画では、もっと大きくH鋼を組んで、H鋼の交差する部分のボルトや金具の押さえを悩まず仕上げるつもりでしたが。
お話をくださった(有)ゼネラル物流の片山社長からレッカー車の対応荷重をお教えいただいて、なるだけ少ない鋼材で組まなくては~となりました。
この組み方は、高知出身・名古屋在住の頼れる男 「曳家岡本」の堅田部長が考えてくれました。
自分は交差部分の逃げを作るために何本か?サイズ違いの鋼材を造ろうと翌朝、切断の手配をしていたんですが。
19時30分頃、帰省していた長女と「おむすびよこやま」で夕ご飯食べていると、電話掛かってきて。
「親方。あれから何度も測って組み方 考えました。大丈夫です。」
助かるな~(笑)


いよいよレッカー移動当日です。
ジグ、チェーンブロック、ワイヤー、養生材を持参して、(有)ゼネラル物流が4人で登場です。
前日には、我々の組み上げた鋼材の確認に来てくれた、(有)ゼネラル物流の池知部長が、交差部分のボルトの耐荷重の質問をしてくださったり、角度的にボルトを使い辛い部分をお借りしたブルマンで締めているのを説明しました。

棄てコン部分が2・5トン程度あったこともあって。レッカー車での計量では、8トンと出てます!
これは自分らが前日まで予想していた重さとぴったりでした。
で・・70トンレッカーで吊り上げます。

浮き揚がりました!
オペレーターさんがたいへん丁寧で、揺れることなく、本当に静かに揚ってくれました。

兵たちの夢の跡。です。

旋回できる距離が13m程度ですので、5回ほど降ろしては揚げてを繰り返して移設先に移動してゆきます。



ここで最後の据え付け位置の確認の為に、建築士さんと発注者の到着を待ちます。

主に四国島内で、重量物の搬入、据え付けを専門とする(有)ゼネラル物流の片山社長とは、自分が30年前、親方を継承したものの、若造すぎて受注が出来ず困っていた時代に、片山社長のお父様である先代様に作業員としてアルバイトに使っていただいていたご縁があります。徳島クレメントホテルのダクト取り付け助手もご先代様のご手配で行かせていただきました。
自分たち夫婦の結婚式にもご出席いただきました。
月日は流れ、今回、自分は、曳家岡本の親方として難工事のご依頼を頂きました。
事務所ではご挨拶させていただいたのですが、現場を見ていただけなかったのが残念です(苦笑)。

関係者が到着いたしましたので、工事再開です。

約100mほどの移動を半日で済ませました。

まずは、「鳥籠」の解体~撤去です。


ここから、最期の仕上げです。
鋼材の上に挿入した枕木、楔を抜いてゆきます。



今回の工事の反省点。
施工は問題なく完了しましたが、次回からは底面にモルタル補修を行って、平面をもっと作ってから持ち揚げる予算と工期を検討するべきでした。日々精進ですね。

ps
この工事は、4年ほど前に、この工業団地の開発担当である行政職員からの打診で現地調査に伺わせていただいたことがありました。
その際に、自分は「新築にした方が安価ですよ」とお答えしたところ。「やっぱりそうか。はいはい。ご苦労さん」と犬を追い払うように返された嫌な思い出があります。
それ以来、行政からの相談依頼は、有償対応しか受けつけない。と強く心に決めました。
コンサルにはプラン料を支払うのに、職人には無償というのはあまりにおかしいです。

 

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。