恥に耐えて連絡してみましたがご依頼いただけませんでした。
家だけでなく犬も曳きます。曳家岡本。
遅いGWをすごしておりました。
いよいよ福島県南相馬市に向けて出発です。
こちらは、一昨年の福島冲地震でお家が揺れて基礎天端に土台が半分しか載っていない。母屋部分と20mm程度隙間が出来ている。
基礎の大半がコンクリートブロックである。
と云うものを、水平を直し引き締めてから、基礎を全面的に造り替える仕事です。
※これは昨年の柏での現場画像です。
今回は施工範囲が拡いので、2か月弱の長期遠征です。
さて、遅いGWとはいえ、親方は社長業があります。
福岡を出たあと、京都で家起こし、修復を検討中のお家を現地調査させていただいたり。
大阪で先ごろの関西インスペクション協会でのセミナーを聴いてくださった不動産業「さなえ不動産」の廣瀬社長に来年2月に、今度は不動産関係者向けに同じセミナーを実施して欲しい+他の勉強会の方もご紹介したいとご挨拶させて頂きました。
そして、福岡での工事中に震度5クラスの地震があちこちで起きたことから。
通常、曳家岡本では現地調査+見積もりを提出させて頂いた後は、お施主さんからの返りが無い場合は一切の連絡しないのですが。
少々、看過できない物件がありまして、堅田部長に「親方。もしなにかあった時にあの時、言っておいたらと後悔するくらいなら、ここは(営業電話と思われる)恥に耐えて連絡した方が良いですよ」と励まされて、あるお施主さんにメールを打ちました。
そのお家は40坪ほどの立派な百姓家なんですが。母屋から2間(3・6m)ほど後ろに新築を建てて、地元の大工さんに幅1間の渡り廊下を造ってもらってから新築側に傾き始めた。というご相談でした。
見ると、廊下の開口部を造るために柱を2本抜いたように見えます。そして尋ねるとその通りでした。
「もともとあった3本の柱を2本抜くと、残りの1本が頑張っているけど重さに耐えかねて沈下してますが、それに伴って廻りの荷重バランスが崩れてお家が新築側に全体で60mmほど傾いています」と説明させていただきました。
連結部分周辺を解体して、柱を入れ直して。そのうえで全体の傾きを直すべきです。
しかし、拝見するとキッチン側もリフォームを進めている真っ最中でしかも、それは終わりに近づいていて床も貼り換えて、システムキッチンも搬入されたばかりです。
そして、この床下のみ土間を打ったので土台から下は10cm程度しかないので、進入出来ません。
もし沈下修正工事をするなら、ここも一旦、解体せねばなりません。
他のオリジナル部分もGLから土台下が10cmしかなくて、床下の土を掘り出して床下での作業スペースを創るところから工事を始めないといけません。
弊社としては、解体+柱の入れ直し+沈下修正工事(木工事別)で税込み570万円で見積もりを出していました。
お施主さんとしては、この金額をどう判断されるのか?難しいところですが。ご連絡がないまま福岡での工事をしておりました。
「ご無沙汰しております。曳家岡本です。先ごろのお見積りの件ですが、近ごろ多い、地震の揺れでたいへん心配しております。もし弊社にご依頼いただけなくとも、沈下修正工事をされなくても。どうぞ柱だけはなるべく早く入れられることをお薦めします。」というメールを送りました。
いやーカッコ悪いです。
それでも誠意が伝わったのか?返信いただきました。
1通目は「まだ迷っております」
2通目は「自分らの年齢を考えるとあまり大きな出費を控えたく施工は諦めることにしました。柱は入れます」
そこで自分からは。
「それだけでもかなり変わります。必ずジャッキで土台と梁の間をきつく持ち揚げておいてから柱を入れて貰って下さい。」
「下地のような柱を入れて貰わないように」
とアドバイスさせて頂きました。
まだまだ世の中には地盤と上部構造の一体設計という考えが一般化していないのだな。と残念に思う話でした。
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